夏の終わりの畳が冷たい。
お風呂の時間のにおいがする。
ただの石鹸でもなくて、シャンプーの香料でもなくて、夕方の風にのってやってくるお風呂の時間のにおい。
台所の音が交ざる。
いつかの母の指先が、今の私の体を作った。
必然と偶然のアンサンブルで生きてきたのに、孤独が休符になっていつでも傍にいる。
声に出して読んでみると目に見える。
形をなぞって色をのせて、沁み込んだり通り抜けたり、どうしたいのかなどうもしないのに。
読む度いつまでもひとりで潜っていたくなるし、けれど今すぐに誰かと話したくなってしまって、ああなんて私はつまらない人間。
風が吹いても恋には落ちない。
本を読んでも賢くなれない。
私にあって彼女にないもの。
彼女にあって、私にないもの。
息を吸い込んだら呆気なかった。
5秒前の私は、私の過去を背負ってくれているの。
ああどこかで今も、いつかの今日も、ただ、同じだけ。
子供の就寝後にリビングで書くことの多い私ですが、本当はカフェなんかに籠って美味しいコーヒーを飲みながら執筆したいのです。いただいたサポートは、そんなときのカフェ代にさせていただきます。粛々と書く…!