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退職読書日記 #32 お出かけ日記と少し読書 2024.6.15

6月15日(土)
週末である。夜から雨予報だが、朝のうちはピカピカに晴れている。友人とのお出かけの日。楽しみにしていた展示を観に行くので早朝からすでにココロオドル。

6時前に早起きし、洗面台とトイレの掃除。白湯を飲んでからストレッチとピラティスを軽くした。その後珈琲を淹れて溜まっていた手書きの日記を書いて、タスクの整理も。調子のいい朝。

昨夜洗濯して浴室に干していた服を片付け、さらに2回洗濯。うち1回は子供の体操着やら給食着やらで相当汚れていたので除菌モードで長時間徹底洗いをした。

子どもと夫は9時からスイミングへ。私は家中掃除機かけてから水拭きクイックルワイパーで床拭き掃除。乱れた家族分のベッドも整えて、棚やテレビ裏はハンディワイパーで掃除。シンクも磨いて、キッチン台も丁寧に拭き上げ、グリルもお手入れして、あとは家の中の気になるすみっことか壁などをちょこちょこ水拭き。

お猫様の体調も様子見つつ、食器を洗ってトイレ掃除して、ごはんをあげる。しっかり食べたので安心した。

本当はもっとやりたいこともあったが、キリがない。時間なので切り上げて10時過ぎに出発。待ち合わせの三茶へ。

まずは昔住んでいた辺りを懐かしく散歩する。だいぶ変わっていてSFみたいだ。スタバへ移動して1時間ほど仕事。その後友人と合流してお散歩にでる。

ぴっかぴかに晴れていて気持ちいい。初夏!って感じである。サンダル履いてきてよかったな~

まずはかわいい世田谷線沿いの小道を歩いて太子堂八幡へ。こんもり茂った新緑と、その木々が石畳に落とす陰影が「初夏」の輪郭をはっきりさせてくれる。今日は、初夏の、良い一日。

少し早めの茅の輪もあった。八の字にくぐる。本殿にお参りして胃痛の治癒を強く願う。境内にお住いのうさぎ様にご挨拶して、授与所でかわいらしい招き猫柄のてぬぐいを買った。安西水丸風のやついる。かわいい。木のベンチに麦藁帽子を置いたら絵になった。

安西水丸が村上春樹を描いた風の招き猫

八幡様を辞して、友人に案内してもらって住宅街にある可愛い佇まいのcatsmeowbooksさんへ向かう。

猫の店員さんがいる、猫好きのための猫だらけの本屋さんである。うちの子、ちゃんと元気にお留守番しているかしら。。。と思いつつ猫本を物色する。店員猫さんは寝ていた。睡眠学習ならぬ睡眠店番であり、すばらしいマルチタスク。優秀。

見る本見る本かわいくておもしろそうで気になった~、が本日はPCを持っていて荷物が重かったのと、夜まで歩くので買い物は我慢。本屋で財布を開かないのは珍しいことである。耐えた自分を褒めつつ、課金しなくてごめんと猫店員さんに念力で謝る。

友人とともにたっぷりと猫空間を堪能してから、次はあじさいを見に目青不動へ。これまた友人に案内してもらう。でくの坊のようについて歩くだけのような思考停止の私。持つべきものは三茶に詳しい友である。

住宅街の狭い道路や築古でかすれたような色彩のアパートは寂れているというよりむしろ瀟洒でメルヘンな気分になる。ベランダに干されたぬいぐるみ、陽の当たる小道、家の敷地からはみ出した威勢のいい木の濃くて若々しい緑の葉っぱ、気まぐれにひらひらするちょうちょ。ジブリっぽい「日常が非日常」な鮮やかさ。

ジブリっぽい。新海誠っぽい。サマーウォーズっぽい。たくさんの「ぽい」に私の思考とイメージは助けられる。もしかしたらそれは自分の脳みそが大量生産された市販のヴィジュアルイメージに飛びついたイージーな展開なのかもしれないのだけど、でも、すべてに独自性なんて、私はいらない。

自分の信じる方法で現実を再構築してくれたあらゆるクリエイターさんに私は感謝して、これからもたくさんのイメージをもらって、自分のなかに溜めていくつもり。

青目不動さんの本当の名前は最勝寺で、教学院とも言われているらしい。アジサイは、今が盛りとこんもり開いているものもあれば、少ししょんぼりと萎れ始めているものもあって、思えば生命の絵巻のようだ。日本の絵巻物って、生死がすぐ隣に描いてあったりして面白い。

青紫の静かな花は見ていると心も静まるようで、青の色の持つ鎮静効果を体に染みわたらせた。

境内には大きな木があり、葉っぱは元気もりもり茂っていて、白のぽわぽわした花がたくさん咲いている。まっしろな花だけど、太陽の下ではクリーム色に見えておいしそう。この木、よく見るけど、あなたは誰なの?と近付いてみればチシャノキと記された札が木の根元あたりにあった。チシャノキさんですか。

私は植物の知識が全然なくて、植物園に行ったり図鑑を見たりしても全然覚えられない。でも、今日は覚えたぞ。これからは梅雨の時期はアジサイだけでなく、チシャノキの白い、ぽわぽわした花も愛でようっと。季節を楽しむ知識が一つ増えて、私はまたひとつお利口さんな大人になるのだ。

アジサイとチシャノキに別れを告げて、三茶の街へ。小腹も空いてきたので友達と二人、ふらふらとカロリーを求めさまよう。今日はまだまだ長いので、腹ごしらえが必要なのだ。

朝は全然食欲がなくて何も食べていなかったけれど、気の置けない友人とのんびり歩いて、大自然ではない、生活の中のかわいい自然に触れて私は元気になって、食欲がわいてきた。

雄大な自然も好きだけど、自分の生活と地続きの等身大の自然、といいましょうか、ふらりと入る神社やお寺の木々とか、ふと入った公園の土とか、散歩で小高い丘に登って開けた場所で吹き抜ける風とか、そんな小自然が大好きだ。

体がそろそろビールを欲してきた。胃腸の顔色もよくなってきている。パン屋ミカヅキ堂さんを物色したり、あちこちのおいしそうな飲食店をパトロールして胃袋の士気を高めてから沖縄バルに突入した。

友だちがちょいと検索して出てきたお店で、ノーマークで入ったお店だったけど、おいしくて居心地よくて当たりでした!お料理はこつまみ、って感じのちょっとしたものをいろいろ味わえる。ど真ん中沖縄料理ではないのだけど、アレンジをきかせた創作沖縄料理が楽しかった!

友達とお酒もちょっと飲みながら堪能。友人のお仕事の話を聞いたり、近況を話すなどして、ちょっとのつもりがじっくり腰を据えて長居してしまう。

おしゃべりが楽しいと、あのコートを着た灰色の男たちが知らないうちに時間泥棒をしていく…

時間に余裕あると思ってもいつもあっという間なんだよね、とケラケラ笑いながら移動。三茶から六本木へ場所を変えます。これから、本日のメインである「花とゆめ展」へ行くぅ!

チケット取るのが遅くなったので19時からの回しか残っておらずナイト展示会へ。六本木ヒルズはマジで魔窟で、展示にしても映画にしてもお茶するにしても目的地に最短距離で行けた試しがない。何度も同じ場所を通ったり、無駄に遠回りさせられたり、カフカ的遠回りをさせられて、やっと行きたい場所に辿り着ける。

今日も都会GPSがぶっ壊れた私は友人に頼りっぱなしで森タワーの展示会場へ。入場まで時間があったので一旦スタバで休憩する。まだずっとおしゃべりをする。時間になったので会場へ。

花ゆめ展、最高でした。。。実は私は花ゆめっ子ではなく、履修していない漫画も多いのですが、それにしても伝説的なプロ漫画家の丁寧な仕事、生の原稿を間近で見られるのって、まっこと贅沢でした!

もちろん、今の時代のデジタル画も綺麗でかわいくて、ポップで、いいところはたくさんあるし好きなんだけど、細かい手描き時代の大御所漫画家さんの絵の美しく繊細で迫力のあることよ。。。職人であり芸術家であり、教養人でもある神様!

入口すぐにあるフォトスポットで調子に乗った写真も撮ったし、最後にはメッセージカードも書いた。夜の回だから時間が遅くなる~、と思っていたけど、入場した19時ちょい前はこの時期まだ陽が沈んでいなくて、眼下に夕暮れの街が見下ろせた。そして、見終わって出てきたら、夜景がきらきらと…。

いつも展示を見た後って不思議な浮遊感があって、ここって現実だっけ?って感じるんだけど、今日は特に入ったときと出た時で周りの景色もガラッと変わっていて、トリップ感が増した。

ほんとうの話、入った時と出た時では、私は別の人間になっているわけで、それまで自分のなかになかったものを取り込み、インプットして出てきた私は、入り口で夕暮れを眺めていた私とは、もう違う。

夜景はほんとうに綺麗だった。タワー上階での展示なのに、夜の回にしたら夜景が見れるな、なんて一切思っていなかったから、これは想定外のごほうびだった。

グッズも冷かしてから、六本木から麻布十番の方へ歩く。最後の最後まで友人に案内を任せきりにする田舎者の私。セーラームーン聖地だぁぁと、鼻息を荒くして歩む。

道中、アーバンでスタイリッシュでシティでラグジュアリーなお店で、自分が華やかな場所にいることに一切の居心地悪さも感じたことがないだろう眩しい人種がパーリーパーリーしているのを眺める。ガラス張りでスケスケの店内と私には深くて長い川が流れている。

ふと、あの縁のない世界に、今ぽんっと置かれたら私どうなるんだろう、と想像してみて胃に緊張が走った。

パーリーパーリーの世界を後ろに流し、友人のおすすめのお店に向かう。非ギラギラ系のあたたかくおいしいおでん屋さんに連れて行ってもらう。飲む、じゃなくて吞む、という味わいのお店。

おちつく~、そしておいしい~。瓶ビールでおでんを味わう。胃に染みわたるお出汁の滋味。野菜のうまみ。幸せはここにあった…!

大根とともに幸せを舌の上で転がしていると夫からLINE。子どもが風呂に入らないから、帰ってきたら入れてくれという。私、今日は遅くなる言っておきました。知りません、風呂くらいなんとか入れてくれ。

ごちそうさまをして、気持ちよく夜の街を駅まで歩く。おしゃべりに夢中になりすぎて、大江戸線の地下ホーム階に1回降りたのに、そのまま改札脇を通り過ぎてまた反対側の地上に上がってしまって、2人して笑った。

地下に戻って地下鉄に乗って乗り換えて帰路。一日中しゃべり倒した(そしてアテンドし続けてくれた)友人とも別れ、23時帰宅。夫と娘は無事に風呂に入って寝ていた。

今日、電車の中では谷崎純一郎の「神童」を読んでいた。最近、角川文庫から「100分間で楽しむ名作小説」というシリーズが出ていて、どれも表紙がかわいい。

このシリーズ、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」とか、太宰の「走れメロス」、漱石の「文鳥」、最近の作家だと恒川光太郎さんの「夜市」などのラインナップだ。

どれも可愛らしい表紙だが、私は「神童」を読んだことがなかったのでチョイス。ところでこの表紙って誰の絵?と思って裏表紙を見ると、上野リチだ!!!

以前、三菱一号美術館で展示を見てから大好きになったデザイナー、上野リチ・リックス。1983年にウィーンに生まれ、日本人建築家である上野伊三郎と結婚し、母国と京都で活躍した方。調べてみると、角川の100分シリーズ全作が上野リチ装丁らしい!欲しい!!

帰宅後、サンダルで足元が意外と冷えていたので熱めのお風呂に浸かる。先に入った子供と夫が入れた入浴剤が私の気分に合ったものだったので喜ぶ。

湯船で簡単なヨガのポーズをする。いつも湯舟ではサギのポーズ、ゆりかごのポーズ、花輪のポーズ、(顔がお湯に着かない程度の)真珠貝のポーズをしている。好きな香りの中で何呼吸がするとじんわりと落ち着く。

お風呂上りに簡単な筋トレをして、あしつぼシートに乗りながらドライヤー。たくさん歩いた足を労わる。日に焼けたのでビタミンC多めのスキンケアをしつつも「あんまり意味ないとは思うけどな」と信用しない。

朝に干していった洗濯物を片づけ、洗っていた子供の体操着や給食着、上履き、絵具やプールセットを準備する。私がいないうちに汚されたトイレを掃除して(朝晩トイレ掃除しとるがな)、水分を多めにとって、寝室でお灸をしてから寝た。「神童」は読み終わらない。

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