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読書日記 #54 伊藤潤二と森杏奴   2024.7.17

水曜日、暑い。出勤のお仕事はお休み。
今日は以前から友人と約束していた、世田谷文学館の「伊藤潤二展」へ行く。お互い小学生の子供がいるので、下校までには帰宅しようと早めの集合である。

そうはいっても相変わらず登校渋りの娘は支度もたもた。やきもきしながらなんとか登校させる。夏休みはもうすぐそこ、なんとか頑張ってほしい。

10時半集合で世田谷文学館へ。入口前の水路で悠々泳ぐ鯉たちが清涼。それと対峙するように物々しいポスター。集合体恐怖症の肌を泡立たせる刺激的なポスターから展示はスタートです。

顔がぁゾワゾワ、、、

私は伊藤潤二さんは読んでこなくて、というかホラーカルチャーをあまり通ってこなかった者なのですが、同行の友人に誘われてホイホイ。

友人とは大学からの付き合いですが、漫画とかサブカルの知識がすごくて、そのセンスに絶対の信頼を置いているので教えてもらったものを履修していけば必ず世界が広がる。今回も友人が好きというなら間違いなかろう、と楽しみでした。

予習としては、(本気の伊藤ファンからしたら軟弱からもしれませんが)「よんあんどむー」という猫エッセイ漫画だけ読んできました!めちゃ口おもしろかった。。。奥さんの石黒亜矢子さんと猫との暮らしを描いた漫画なんですが、ダーク&ブラックユーモアのふりして愛情メロメロ。

バンドのライブに行くのに5年前のCDのカップリング曲しか聴いたことない、というレベルの知識量で展示に向かいましたが、結論としてすごい楽しめた!

グロめの奇形異形ナンセンスホラーのイメージでしたが、そしてその一面はあるのでしょうが

なんていうの?全体的に知識と教養と賢さとユーモアと優しさがある。ハイセンスなのに諧謔ナンセンスにしたって感じで。

おもろい
こまかい

絵もひたすら丁寧で細かくて、職人だな、と鳥肌立ってしまった。

キャプションに表れる伊藤さんの妙に味わい深いユーモアセンスにも頬緩む。

お茶を濁すキャプション

ちょっと森見さんぽいユーモア温度じゃないですか?

お部屋再現もあって、じっくり見てしまいました。原画の展示量も多くて、人の頭の底に沈んでいくような、だんだん酩酊状態になっていって、そのクラクラ感がなんともいえず気持ちよくすらあった。

どれだしの思索と思い付きとアイディアの深掘りを繰り返してここへ辿り着いたんだろうと考えると途方もなく思えてきて。きっとどのクリエイターさんも自分一人の戦いなのだとは思うけど、この分野で描き抜くって、孤独すぎんか??と勝手に思ってしまった。それなのに余裕のあるユーモアがあって、ご本人も穏やかに素敵な紳士で、伊藤さん最強だな。漫画もっと読まないと!

ミュージアムショップも笑かしにきてんの?っていうグッズラインナップで、楽しすぎた。でも、誰かにお土産にするようなものじゃないから、ポストカード1枚だけ購入。るん♪

ついでに?同時開催のコレクション展も冷やかす。こちらはノーマークだったけど、森鴎外の娘っ子である森杏奴の「巴里土産 小堀杏奴油彩画展」をやっていた。おお!喜んで見る。

去年、鴎外記念館で見た森茉莉展では、その筆まめさと鴎外の子育てメソッドに唸ったものだけど、杏奴もまたスーパー筆まめで、鴎外も癖のある教育をしててウームとなった。

巴里から兄弟姉妹や母に送った手紙のびっしりした文字、旅先でもサボることなく量産していたデッサン・絵画。

これは私の勝手な想像というか印象だけど、自由人森茉莉より杏奴さんのほうが勤勉で真面目な感じでした。留学先の巴里でしっかりきっかり学んで時間を無駄にしない!って風に思えた。そんでまた、美人ですらっとしてて、持ってる~!って感じ。

このコレクション展をやっている展示室、なぜか部屋の中央に仕切りで作られたスペースがあって、「ムットーニコレクション」ってのをやっていた。誰ですか?と思ったんだけど、自動人形師らしい。本名・武藤政彦。日本人だったんかい。天才アラーキー方式の名前だったんかい。

ちいさな箱の中で動く仕掛け人形劇が展示されてました。題材は「猫町」「山月記」「月世界探検記」「蜘蛛の糸」の4つ。

私と友人は時間の関係で「猫町」と「山月記」だけ鑑賞。(なんせ下校時間があるもんで)

どちらもファンタジーといえばファンタジーだし、人形劇が合うね!

最後にライブラリーもみて、過去の展示で展示されたものを見て悶える。岡崎京子展とか植草甚一展とか、過去の自分が見逃してしまった展示の残り香を嗅ぐように見た。

あっという間にタイムアウトで暑い昼間に辞す。堪能堪能。

友人が伊藤潤二さんの漫画を貸してくれたので読むの楽しみ。

一人で遅めのランチをとるか、カフェで少しでも休憩と読書するか、と迷ったんだけど、短時間のために支出する決断ができず、時間をうまくつかえず。結局スーパーによってから、帰宅。ランチ食べ損ねの空腹でおかしくなってスーパーでたくさん買ってしまった。

子供は本日が一学期の給食最後。明日からお弁当だ。
夕方は習い事のピアノに送迎したり家事をして、暑い暑いといいながら寝た。


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