見出し画像

惜しゲーを推す vol.1『WORK×WORK』

世間の評価がイマイチだろうと関係なし。
筆者がピンと来た作品について、しっかりと選評をまとめるスペース。
第一回は『WORK×WORK』。

<筆者のWORK×WORKプレイ状況>
・本編クリア済み
・DLC購入+クリア済み
・プレイ時間:50時間弱


アクが強すぎるキャラクター達が織りなすストーリー

本作は、勇者さまーランドで働いているバイトの主人公が高級なツボを壊してしまい、借金返済のために勇者さまーランドに訪れる様々なキャラクターをハラハラドキドキのアトラクションでおもてなしする、というところからストーリーが始まる。

主人公を含め、登場人物は一癖も二癖もある人物だらけ。そんな曲者だらけの中、主人公はバイトとして奮闘するのだが、長い間主人公は王子に名づけられたあだ名「ポチ夫」として雑に扱われる事となる。

せっかくプレイヤーが名づけた名前を、ゲーム中
ろくに呼んでもらえないというナゾの仕打ち。

全体を通して見るとシンデレラストーリーと言えなくもないものの、長期間に渡ってポチ夫の境遇が酷く、遊んでいて「自分は一体何を見させられているんだ…」と思う状況もしばしば。

各方面へケンカを売っていくスタイルの
ギャグが目立つシナリオパート。黒いなー、黒い。

ストーリーパートは全編通してギャグテイストで、悲壮感が漂う感じでは無いのだけれど、ギャグの内容はブラックジョークやセンシティブなネタが多い。作品のノリについていけない人にとっては悪ノリに映ってしまい、全く好みに合わない可能性がある。

ポリコレというワードを
2019年時点でネタに組み込むあたり、
世間のトレンドに対する感度は鋭い。

ストーリー終盤、勇者さまーランドにまつわる秘密が徐々に明らかとなり、主要キャラのポチ夫に対する評価が上向きだしてからは結構アツい展開となる。…のだけれど、そういうアツい展開に冷や水をぶっかけるようなギャグが差し込まれたりして、何とも締まらない感じは否めない。

終盤にかけてシリアスな展開が増すごとに
ポチ夫への信頼感もまた、増していく。

序盤から中盤にかけて、ポチ夫がずっと燻っている状況を抜けるまでストーリーを受け入れられるかがどうかが本作の評価の分かれ目と言える。

シンプルながら遊びごたえのある戦闘

メインとなるRPG部分は、ソシャゲに寄せたクエスト形式。勇者さまーランドのツアーガイドとして、様々な組み合わせのパーティをクエストクリアへと導いていく。

一見して探索要素が無いと分かる
アトラクション(クエスト)画面。

クエストのUIがソシャゲっぽい事もあって、「ソシャゲライクなゲームをわざわざ家庭用で遊ぶ必要はあるのか」と疑問に感じるかもしれないが、いわゆるオート戦闘放置ゲーとは違い、ポチ夫がサポート役として戦闘に干渉する(アイテムを使用する、客のコマンドを指示する)事でパーティーの勝利につなげる事ができる。

オート戦闘中に適宜プレイヤー操作を割り込ませてディレクションを行うシステムは『FINAL FANTASY XII』を彷彿させる。
本作はポチ夫のサポートに対してクールタイムが発生。無計画に連発できないような調整がなされていて、ユルい見た目に反して適度な緊張感を持って遊ぶ事ができる。

アトラクションの客がオートで戦う中、
ポチ夫がちょうど良いタイミングで割り込んで
適切な指示ができるかが勝利のポイント。

難しすぎず簡単すぎない調整は地味に技アリのデキで、本作の戦闘システムとバランス調整は筆者が最も評価しているポイントである。
本作の評価はすでにある程度固まってしまっているものの、戦闘の面白さについては太鼓判を押したい。
2024年現在、本作はセール時にワンコイン(500円)で購入する事ができるため、セール中にスナック感覚で買ってみるのもおススメ。
もし好みが合えば、かなりお得な買い物になるだろう。

戦闘の面白さが目立たないのが惜しい。
それが、本記事を企画したきっかけでもある。

プロモーション先行ゆえに損しているゲーム

本作のメーカーであるフリューはプリクラのメーカーとしては国内業界トップクラスの会社で、昨今のアーケード業界においては確固たる地位を築いているメーカーの一つである。
また、家庭用ゲームについては、『カリギュラ』や『モナーク』など、今どきでオシャレなジュブナイル系のゲームを製作。一定の評価を得ている。

プリクラ機・ジュブナイル系のゲームメーカーとして見た場合、フリューは「アトラス」ブランドにインスパイアされているフォロワーメーカーであると言えるかもしれない。

一方、フリューは年齢層やや高めのターゲットユーザーに向けてノスタルジックなゲームを手掛けており、かつて名作ゲームを手掛けた名だたるクリエイターを集めてゲームを製作する事がしばしばある。本作もその一つ。

そういった作品をリリースする際、いつもフリューはクリエイターを前面に押し出すプロモーションを行っている。その結果、クリエイターのネームバリューに対してゲーム部分が相対的に低い評価がなされてしまい、作品全体が過小評価される傾向にあると常々筆者は感じている。
(もちろんプレイヤーの評価に落ち度も異論もないのだけれど。)

『WORK×WORK』の公式サイトには名だたるクリエイター陣が名を連ねているものの、評価は芳しくなかった。その後、彼らクリエイターのSNSアカウントで業務実績に本作が掲載されないという憂き目にあっていたりする。
クリエイター陣から見て本作が黒歴史という烙印を押されているのだとしたら不憫だ。とは言え、ゲームの全体的な評価からすると仕方のないところなのかもしれない。

それでも筆者は、戦闘の面白さ、エッジの利いたテキスト、脇を固める聴き心地良いサウンドなど、本作ならではの遊びどころを評価する。
本記事をきっかけとして、本作に触れる人、気に入る人が一人でも増える事を心から祈っている。

セールの割引率が作品の絶対的な評価ではない事を、
本作を遊べば教えてくれると信じている。

おわりに

本作は多くの人に愛される名作を手掛けたクリエイター達が集結して生み出された作品でありながら、クセの強いキャラクターとストーリー、ゲーム全体の完成度の面で著しく人を選ぶゲームとなった。
ただし、プレイヤーが気に入るであろうポイントや、本作ならではの魅力を内包するゲームである事は、筆者として念を押しておきたい。

本作を一言で表すならば、
「有名シェフ達がそれぞれの得意な素材を持ち寄って作られた闇鍋」
である。(筆者は美味しく頂きました)

DLCを購入するくらいには筆者はハマりました。
メタスコア?星の数?知らん!
面白いかどうかは自分で決める!

本作の記事は以上。
今後も、筆者がこれぞ!と思う作品については折を見て紹介していきたい。
次回もよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?