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ありがとう!『かえってきた堀川國廣』展

古河歴史博物館で3/18~5/7まで開催されていた、『かえってきた堀川國廣』。
今回は刀剣乱舞とのコラボ展示です。特に私の推しである刀剣男士・堀川国広君の初コラボ展示ということもあり、かけがえのない大切な思い出となりました。

古河歴史博物館と刀剣乱舞コラボ

*こちらの章は刀剣男士・堀川国広のいちオタクによるコラボ歓喜の文章になります。ご了承ください。
*堀川国広の漢字表記についてはそれぞれ展示(刀工)とゲーム(キャラクター)の表記に則って書いていきます。


『かえってきた堀川國廣』の展示が発表されたのは昨年11月。堀川國廣の名を冠したそのタイトルを目にしたとき、私の胸は大きく高鳴りました。なにを隠そう、私の刀剣乱舞の推しは「堀川国広」だったから。
まず第一に、堀川國廣という刀工の刀を沢山観ることができるというのは非常に興味がありました。それに加えて、自分の推しの名が主役として取り上げられているのです……!それゆえ私は二重の喜びを感じてしまい、この時点でかなり歓喜しておりました。ゲーム内に登場する脇差・堀川国広は非現存の刀ですが、堀川國廣の刀を観たら刀剣男士の堀川君がどんな刀だったのかを少しは想像出来るようになるかも、とも思いました。
当初はまだ刀剣乱舞とのコラボは発表されておらず、そこまで目立った話題にはなっていないようでした。でも私、思ってたんです。刀剣男士・堀川国広がコラボするならここしかない……!!って。

少し話が逸れますが、私が日本刀そのものに興味を持ち始めたのは丁度昨年の今頃。そこから一気に刀の沼に落ち、刀剣乱舞のコラボの有無にかかわらず展示に足を運びはじめました。そのため、展示会がとうらぶとコラボをしているのか、という点は私にとってさほど重要な要素ではなくなっていました。
とは言いつつ、やはりコラボ展示でキャラクターのパネルが飾られているというのはファンにとって嬉しいもので。刀剣乱舞とのコラボ展示は、日本刀を観る楽しさにプラスして、キャラクターの魅力をより感じる事ができる機会だと感じていました。実際の刀を観たあとにキャラクターのパネルを見ると新しい発見があったりもしますし、見方や感じ方も一歩踏み込めるような気がするんです。
そうなるとやはり、自分の推しのパネルに会いたくなるんですよね。それも展示会という場で。私の場合、その推しというのが刀剣男士の『堀川国広』だったわけです。堀川君は私を刀剣乱舞の世界に引きずり込んだキャラクターであり、私にとって特に思い入れの強い刀剣男士。
でも彼は「土方歳三が所持していたとされる脇指・堀川国広」の付喪神であり、現存していない刀となります。だから展示会とコラボする機会は今までありませんでした。
それが私は、(いや、私だけじゃなくきっと堀川国広推しの全オタクは)淋しかった……!というか、ほぼほぼ諦めていたように思います。堀川君が展示会とコラボすることは無いんだろうなって。私もそのひとりでした。
でも、だからこそ、古河で堀川国廣展が開催されると聞いたとき「堀川君のコラボがあるとしたらこの機会しかない!!お願い!!!!」と本気で思いました。前例として大加州展での加州清光のコラボがあったので(加州清光も非現存)、希望はあると見ていました。

そして今年1月。なんと『かえってきた堀川国廣』と刀剣乱舞のコラボが発表されたんです。もう本当に本当に本当に…………嬉しかった!!!驚きと興奮でスマホを持つ手が震えて、たくさんの人の歓喜のツイートを見て、私も嬉しさを言葉にしてツイートして。心臓がばくばくして。嬉しくて嬉しくて堪らなくって。そして、ちょっとだけ泣きました。

それからは、博物館で堀川君に会うために仕事でもなんでも頑張りました。恥ずかしながら、堀川君に会うために新しい服を買ったり、何年も染めていなかった髪を染めてみたりしました。それぐらい嬉しかったんです。私にとってはそれぐらい特別なコラボでした。だって土方歳三が持っていたとされる堀川国広を観ることは、今や叶わないのですから。だからその分、刀剣男士・堀川国広のパネルに会えるのが本当に嬉しかった。近藤勇が書いた手紙の一文のみを存在の証とする彼が、こうしてキャラクター(刀剣男士)としてふたたび日の目を浴び、たくさんの人に愛されている。彼がどんな刀だったのかは今はもう誰も知らないのに。それって、すごいことだと思うんです。もし近藤勇が堀川国広の名を手紙に残さなかったら、もしくはその手紙が紛失していたら、土方歳三が脇指の堀川国広を所持していたことは現代には伝わらなかった。堀川君の存在は歴史上から消えてしまう可能性があったんです。でも、手紙が残されたおかげで、その事実は歴史上にとどまり、こうして刀剣男士として堀川国広が描かれている。すごいなぁ、歴史はつながっているんだね……。

傍から見たら、「ただキャラのパネルが置かれるだけでしょ」と思われるのでしょうが……。それは私がオタクなので……致し方ないと思って頂ければ幸いです(苦笑)

ここまで長々と語ってしまいましたが、今回刀剣乱舞の堀川国広のコラボを企画してくださった関係者の方々には本当に感謝しています……!!!展示会で堀川君のパネルに会う夢を現実にしてくれて、堀川国広という刀剣男士のことを大切にしてくれて、本当に本当に嬉しかったです。ありがとうございました!!!



ではここからは少し落ち着いて、刀の話をしていきます!(^^)

新刀の祖・堀川国廣

堀川国廣は新刀の祖とされる人物。新刀とは、主に戦国時代の終結から江戸時代明和期までに作られた刀のことです。
ここで、新刀について簡単におさらいを。古刀と新刀の違いのひとつとしては、鉄の地域性の有無があげられます。人々の移動が簡単では無かった古刀期(慶長 [1596~1615] 以前)では、材料や作風が産地ごとに異なり、それぞれに特性がありました。要は、五箇伝と言われるものですね。それが江戸時代に入ると人々や物資の移動が盛んになり、それまで別々の場所にあった特性が入り交じっていきます。そのため、それまで存在していた地域性が薄れたのが新刀期というわけです。
堀川国廣はいろんな土地を巡っていたという印象が強いので、そうしたなかで様々な地域性を吸収していったということなのかもしれませんね。

ここからは展示されていた刀の感想です。なお、銘が國廣のみの刀が多数あり区別が付きにくいため、展示番号も共に表記します。

1 刀 日州古屋之住國廣作 天正六年八月彼岸

トゲトゲした刃文が物々しさを感じさせる刀。ツンと先がとがった炎がいくつも並んでいるように見えました。刀全体の姿もとっても大きくて、長い!反りも深くてかっこいいです。
全体的に見ると鋒は小ぶりで、幅は鋒に向けて細くなっていきます。そのせいか、割と細身に見えました。
こちらの刀は入ってすぐのトップバッターに一して位置していたのですが、刀が放つ威力がとてつもなくて、とても存在感がありました。正直、私はこの刀を初めて見たとき、すごく怖かった……。最初に書いたように刃文がとげとげしていて、とにかく戦闘力高めって感じです。でも初めは「怖い!」と思ったのに、不思議と目が離せなくなるんです。もっといろんな顔が見たくて、いろんな角度から舐めるように観てしまいました。
戦場でこの刀を振るっていたら、とても強い武人に見えるんだろうな。

2 短刀 國廣

こちらは観るすこし角度を変えると、いろんな表情を見せてくれる短刀でした。それに気がつくと、もう観るのが楽しくて! 夢中になって観てしまいました(^^) 刃中の働きも豊富で、刃文のそばにぽつぽつと飛び焼きがあって可愛かったです。
刃文は互の目とのたれが混ざっており、もこもこしていて可愛いです。彫りは、刀剣男士・堀川国広の刀身にも刻まれている大黒天。初めて見ましたがまるっとしていて可愛い……! 先の「刀 日州古屋之住國廣作 天正六年八月彼岸」のお隣さんだったせいか、こちらの短刀はなんだか愛嬌があって可愛らしい印象を持ちました。

3 刀 日州古屋住國廣山伏時作(以下切)

こちらも迫力のある刀!刃文が動的なリズムを刻んでいるように見えて、結構荒々しい印象(もちろん良い意味で)を受けました。肌が立っていて、加えて飛び焼きが多いのもそう感じる要素の一つかもしれません。書いてて気づいたのですが、飛び焼きはどんな刃文についているかでかなり印象が変わりますね。上では「飛び焼きかわいい~」って言っているのに、こちらの刀では「飛び焼きが荒々しく見える」って真逆のこと言ってますもんね。笑
それと最近気がついたのですが、私は「肌が立っている」刀を「男らしい」と感じるみたいです。これって他の方にも通じる感覚なのかな。ちょっと気になります。

また銘からも分かるように、こちらは堀川國廣が山伏だった頃に作られた刀です。そういう情報を銘に刻んでくれるのは、後世の私達にとってはかなり有り難いことですね。堀川國廣の刀は仏的な彫りが多いという印象を私は持っていますが、それは彼が山伏だった期間が大きく影響しているということなんでしょうか。

6 脇指 表:日州住信濃守國廣作 裏:天正十八年八月日 於野州足利学校打之

布袋國廣と言われる短刀です。「夢香梅里多」の文字の下に布袋の図が彫られているためそう呼ばれています。その布袋の彫刻は、展示期間の途中までは裏側になっていて見られませんでしたが、それが終盤反転しました……! 何でも布袋の彫刻が見たいとの要望が多く、博物館の方がその声に応えてくださったみたい。なんとありがたいことか……!おかげで裏表どちらも見ることが出来ました。

布袋の彫刻が丸くて可愛らしく、穏やかな印象を与えてくれます。短刀ですが、どっしりとした雰囲気も感じました。「夢香梅里多」は「夢ハ香(カグワ)シ 梅ハ里ニ多シ」と読むそうですが、そこに込められた意味は定かではないようです。
見た瞬間は「可愛い短刀だな~!」と思いましたが、見れば見るほど引き込まれて、刀にぐいぐい引っ張られるような感覚を覚えました。目が離せないというか、そらせないというか……。するとだんだん「可愛い」なんて言えなくなってきて。浮かれていた気持ちが落ち着いて、ただじっと目の前の刀に目をこらしてしまう、そんな時間を過ごしました。
彫刻にどんな意味が込められているのかは本人のみが知るところですが、何らかの意図があるのはきっと明白なこと。堀川國廣が何か強い意志をもってこの刀を打った時間があったのだと思います。この刀を見ていると、そんな遙か遠い時に自然と思いを寄せてしまうのです。

7 脇指 國廣

邪鬼を踏んだ毘沙門天の彫刻が施された一口。(前回まで「一振り」と表記していましたが、日本刀の世界では「口」と書いて「ふり」と読むのが一般的だそうなので、今回からは「口」表記でいきたいと思います!)
彫りが細かくて、観ていて楽しかった~……!彫刻を見るのは結構好きです。単眼鏡のつかいどころですね!(^^)
でも、こちらの脇指で私が一番驚いたのは『造り』でした。造りとは、刀の形状のことを指します。鎬造り(刃と棟の間が山のようになっている形)とか、平造り(その名の通り、横から見ると真っ平ら)とか。実は割と種類があります。
で、私は初めこの刀は「冠落としだ!」と思ったんです。でも帰ってから図録を見ると「鵜首造り(うのくびづくり)」の文字が。え?鵜首造りってなんだ?聞いた事無い!って大興奮しました。だってどう見ても冠落としにしか見えなかったですし、図録を見返してもやはり違いが分からない。
調べて見ると、こういう違いでした。

冠落とし:棟の中頃から鋒にかけての肉がそぎ落とされている。
鵜首造り:棟の中頃から鋒手前までの肉がそぎ落とされている。

そんな造りがあるなんて、私知りませんでした……! 展示ケースの下から覗き込んで確認したかったなぁ。正面から見ると、冠落としにしか見えなかった。。。刀剣ワールドさんによると、鵜首造りは『鎌倉時代、南北朝時代の短刀、脇差に多い』とのことです。なので、その時代の短刀・脇指を観て「冠造りだ!」と思ったら鵜首造りを疑ってみることにします……! 次出会った時は見落とさないようにしよう。


10 脇指 國廣

これは可愛かった! 全体的にコロンとしていて優しい雰囲気だなぁ、と感じました。刃文は直刃ぽい。帽子(鋒部分の刃文)も綺麗にくるんと曲がっています。
私がこれまで観たことのあった堀川國廣の刀から受けた印象は、「刃文が大胆で、強くて迫力がある」という感じだったので、こちらの脇指を観て彼はこういう刀も作れるのだなぁと思いました。今回の展示を観て思った野ですが、國廣って結構作風に幅があるというかバリエーションが豊かなんですね。

16 刀 国広

こちらの刀は、沸がよーーく見えてすごく楽しかったです。最近ようやく沸が分かるようになってきたので、見えるととても嬉しい……!鋒も大きくて迫力があり、見応え抜群です。


今回の展示について

ここまで、私にとって特に印象深かった刀の感想の書かせて頂きました。今回の展示で一番嬉しい点は、なんといってもひとりの刀工にフューチャーしているところですよね! 刀工集団を取り上げた展示などはこれまでいくつか足を運んだことがありましたが、ひとりの刀工の刀のみを展示しているというのは私は初めてでした。一度にひとりの刀工の作をたくさん観ることが出来るのは大変勉強になりますし、刀を通してその人の人生を感じることが出来るような気がしました。そして、國廣の刀がこんなにもたくさん残っているのだということにも感激致しました。これからも後世に引き継がれていくことを願います。

館内にいたおもちと


古河のまち

最後に街の思い出を少し。
古河は『かえってきた堀川國廣』に際して、町ぐるみで盛り上げてくれましたね!スタンプラリーも勿論参加しました(^^) 私は今まで街歩き企画に参加したことが無かったので、新鮮で楽しかったです。 

スタンプラリーののぼり
3月末に伺った際の写真
博物館のそばの桜が綺麗でした


街を歩いているなかでも、店先に刀剣乱舞のマスコットが置かれていたりして嬉しかったです。 そういう心遣いに胸が温かくなりました。堀川君の初コラボが古河で行われて本当に良かった……。ファンとして心から感謝したい。
そして街並みや古河の歴史なども素敵で興味深くて、古河ってこんなに良いところだったんだ……!と思いました。

さて、今回私がランチにうかがったのは、『SUNROSE』というお店です。結論から言いますが、私はこちらのお店を本気でおすすめしたいです。

もともとは下駄問屋として昭和八年に建てられたお店だそうで。外観も内装もすごく素敵なんです……。良き古さはそのままに、今っぽさも取り入れられていて落ち着く空間になっています。
ちなみにこちらのお店も、展示期間は刀剣乱舞のグッズを置いてくださっていました。

私は野菜カレードリアを頂きました。めちゃくちゃ美味しかったです……!ごちそうさまでした。

他のメニューも全部美味しそうだったので、また行きたいなぁ。


ありがとう!『かえってきた堀川國廣』展

今回の展示は私にとって本当に思い出深いものになりました。展示だけでも大変面白くて、楽しかったです!!そしてそんな素晴らしい展示が刀剣男士の堀川君とコラボしてくれたことが本当に嬉しかった……。元々私はコラボが無くても足を運ぶつもりではありましたが、コラボがあったおかげでより楽しめました。今回の展示に関わってくれた方々、本当に、本当にありがとうございました。古河の商店の方々も盛り上げてくださって本当に嬉しかったです。
ここに書いたところで、その方々に伝わるのかは分かりませんがネットの海は広いのでいつか届いたらいいな、と思います。

大好きな刀がある場所で刀剣男士・堀川国広と会えたこの春。この思い出を宝物にして、いつまでも心の中にしまっておきたい。春が来るたびに、きっとこの思い出が顔を出してくれるんだろうな。
そう思わせてくれた全ての方々に感謝を込めて。

ありがとう!『かえってきた堀川國廣』!

堀川君、またね。




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