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第ー666話 奇跡体験アンビリバボーな話。


連続して馬鹿な話ばかり書いて本当に馬鹿な大人なのかと思われるのも嫌なので今回はとある少年が体験した奇跡体験の話をしようと思う。一ついいたいのはこれはまじめな話で笑って読んではいけないものだ。


そして、信じられないかもしれないが全てノンフィクション、現実に起こった話である。
当事者はこの話は触れられたくない過去ということになるので名前は仮名にしておくが世の中にはこれほどまでに奇妙な出来事もあるのだと世間にも知ってもらうことが大事だと思い記事にする次第である。
決してnoteに書くネタがなく暇していたからではない。







遡ること十数年前、某県のとある閑静な住宅街でその事件は起こった。当時高1から高2になる頃の春、サッカーに明け暮れていた少年の話だ。

当時16歳のその少年の名前はしゅんさん(仮名)という。


しゅんさんは当時部活に明け暮れる毎日でサッカーのために学校に通っているようなものだった。

春休みで部活に燃えていたしゅんさんはこの日も数日後に迫る関東への遠征に向けて夕方まで熱心に練習をしていた。

そしてその日練習が終わると当時付き合っていたマネージャーである彼女と帰ったのだ。

しゅんさんは彼女のその熱心な仕事ぶりに心を打たれ彼女もまたしゅんさんのサッカーに対する熱い姿勢が好きだったのだ。

「もうすぐ遠征だね。がんばってね」


「うん、すげー楽しみ、結構強豪校とも試合できるみたいだからね。あと合宿一緒にいれる時間も増えるね笑」


「そうだね。私も楽しみ」

そんな恥ずかしい会話をしていた当時しゅんさんは童貞で彼女は処女だったという。
半年ほど付き合っていたがしゅんさんの家に遊びに来ても途中まではいくがセックスが恐いという彼女のDFを突破できずに性交できずにいた。


サッカー部ではチームのストライカーとしてゴールを量産していたしゅんさんも彼女の強固なディフェンス、カテナチオは突破できずにいた。

※カテナチオとはイタリア語で錠前から由来されたもので60年代のサッカーイタリア代表のサッカーの戦術。全員で引き下がってゴール前を強固に固めてカウンターを狙う戦術である。現代サッカーではカテナチオの戦術はなく、鉄壁の守備を形容してカテナチオと表現されている。要するに守備がとても固いのだ。


この日しゅんさんは彼女を自宅に招いていた。
そこには

「今日こそはカテナチオを打ち破りフ◯ラチオくらいには変えてみせる!」


という想いがあり自宅に彼女を呼んだのだった!

当時のしゅんさんは若さもありただセックスがしたいだけの猿で同じく初めての彼女に安心感を与えることもムードを作ることもできないダメな男だった。
結果彼女に恐怖心ばかり与えてしまっていたのなもしれない。


家に着くとベッドの上で2人で横並びになって座りテレビを見ていた。
そして学校のこと、サッカーのこと、友達のこと、進路のことなど色々話した。部屋の電気をつけずに夕暮れが沈み部屋が徐々に暗くなっていく。あえて電気はつけなかったのだ。
明るい所では彼女の前で性器も出せない!
かと言って「さぁやるぞ!」と言わんばかりにカーテンを閉めて部屋の電気を消すなんて当時のしゅんさんにしては破廉恥すぎてできなかった。
なので自然と太陽が沈み部屋を暗くしてくれるのを待つルーティン「お日様任せ」を使ったのだ。
しかし何度もこの作戦を使っていたがいまだ童貞喪失は達成できずにいた。

されどもお日様任せにより暗くなった部屋でしゅんさん達はキスをすることに成功した。




しかしここで状況が一転することになる。

何度かしてるうちに彼女が変なことを言い出したのだ。


「しゅんくん大丈夫?顔物凄く熱いよ?」


しゅんさんは彼女とのキスに興奮していた。
なので「そらそうよ」くらいにしか思っていなかったという。

構わず続けるしゅんさん。
下半身はもうパンパンだ。


…が、彼女が遮る。

「ちょっ、ほんとにやばいよ?具合悪くないの?」


ちっ、へいへい、またお預けですか。

そう思いながら



「いや、全然悪くないよ?」

と答える。

「ちょっと電気付けてよ」

不審がる彼女にしゅんさんはふーっとため息をつき、何も言わずに部屋の電気をつけに入り口のスイッチに向かったという。



その時始めて自分の異変に気付いた。
フラフラしていたのだ。
頭が異常に重たかったのだという。

…何かがおかしい。


明らかにいつもと違ったのだ。


パチっ


電気のスイッチを入れたが点灯しない。

パチっ

再度やっても同じ。

電気の紐の方を引っ張ったけどやはり電気はつかない。

あれ?あれ?と何度かしてたらついたが電気が点灯するしないよりも彼女はしゅんさんの顔が普通じゃないくらい赤いことに驚いていた。

「顔超赤いけど大丈夫?」


「うん、立ったら物凄くふらふらした」

そう言ってしゅんさんは彼女の側にパタリと倒れこむ。それからは自分の体調の異変に気付き彼女の相手もできずただ寝ているだけになってしまっていた。


心配する彼女だったが平気平気と言って聞かずとりあえずその日はもう帰ってもらうことにした。


ただの風邪だと思いしゅんさんはその日はご飯を食べずに薬を飲み安静にして眠ったのだった。


体調不良によりまたしても童貞喪失はお預け。
本来ならここで話は終わりだ。










しかし、この後事態は思わぬ展開になる!




深夜

苦しさから目が覚めるしゅんさん。


意識は朦朧としており通常じゃありえないほどの量の汗をかいていた。
言葉にはできない怖い絶望する夢を見て魘されたのだいう。






ここからはその時のしゅんさんが断片的に覚えているものと家族の目撃証言によるものになる。


何かに怯えたのかしゅんさんは部屋中の電気類のコード一気に引き抜き、それらをまとめた。


そして、それらを放り投げたあと部屋に胸ほどの高さに取り付けられた二層になった窓ガラスを


飛び蹴りで割ったのだ








二回も。


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家族はしゅんさんの部屋からガラスが割れた音、床にしゅんさんが地面におちる音を二回聞き、何事かと思いしゅんさんの部屋に向かったという。


後に右足ふくらはぎやスネにガラスで切ったあとがあることからしゅんさんはライダーキックのような体制で飛び上がりガラスを貫き地面に落ちたものと考えられる。






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※ライダーキック

ライダーキックとは仮面ライダーの必殺技の代表格。基本的にはジャンプから放つ跳び蹴りであり、モンスター(怪人)との戦闘における決め技として用いられる。
特撮作品ではウルトラマンのスペシウム光線に並ぶ国民的必殺技である。


常人には到底できない技を高熱にうなされたしゅんさんが繰り出していることからこの状況の異常さがうかがえる。


しゅんさんの部屋の騒音を聞きつけ真っ先に駆けつけたのが当時大学生でしゅんさんの隣の部屋にいた兄だった。



この後、部屋を開けると常識的には考えられない光景にスタジオにも戦慄が走った。












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しゅんさんは首倒立をしていた。




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そして

「ラン♪ランララランランラン♪ランランラララン♪」


風の谷のやつを歌っていたと言う。


その光景を目にしたしゅんさんの兄はしゅんさんの首倒立をやめさせて頬を数回叩いたという。

しゅんさんの目は視点が全く定まっていなく激しく揺れていたそうだ。

そしてしゅんさんは狂ったように怒り出して兄の片口、ドラキュラが血を吸うあたりに噛み付く。出血するほどに。


遅れて父、母がしゅんさんの部屋に辿り着き慌てて引き離す。
大人3人の静止を振り払い廊下を走り出したしゅんさんはその勢いのまま父、母の部屋のドアに




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低空のライダーキック。

本日3度目。


勝負を決する必中の瞬間に使う必殺技をこの正味3分程度の間に3回。
ドアの下部分を貫く。
右足をドアに突っ込んだまま抜けなくなり悪魔に取り憑かれたしゅんさんはそこで仰向けになり力尽きた。
動けなくなったしゅんさんは何かをつぶやいていたらしい。

家族がまずしたことはしゅんさんをドアから引っこ抜くことだった。
三度のライダーキックにより力尽きたしゅんさんはおとなしくなり伏していたという。


その後救急車を呼び寄せ事態の異常さに怯えて泣きわめく妹をなだめたという。

約15分ほどたって救急車がやってきた。

意識のはっきりしない中、救急隊員がしゅんさんが倒れてる部屋までやってきて家族に状況を聞く。


そして隊員はしゅんさんに意識確認のため名前を尋ねたという。


すると


「グレート草津。」



と答えたそうだ。





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※グレート草津さん


隊員や両親達は困惑しました。


兄は不覚にも笑ってしまったそうだ。

驚くべきはしゅんさんが後日その話を聞いた時にグレート草津なる存在を知らなかったこと。


グレート草津さんは元ラグビー選手でありプロレスラーだそうだ。


グレート草津さんを知らないしゅんさんにグレート草津という名前は出せっこない。
だとするとしゅんさんはグレート草津を知る悪魔にでも取り憑かれていたのだろうか?


もしくはグレート草津さんそのものに取り憑かれていたか…。

だとすると全ての説明がつく。
調査によるとグレート草津さんの得意技にドロップキックとスライディングレッグシザースというものがある。最初の2枚の窓ガラスを割ったあれは実はライダーキックではなくドロップキックで両親のドアの下部分を破壊したあれはスライディングレッグシザースかもしれない。
そして大人3人を振り払うあのパワー。それはラグビーとそっくりである。
しゅんさんがグレート草津に取り憑かれた説はますます強くなる。


他の要素も検証する必要がある。


あの首倒立はどうだ?

噛み付きは?


ナウシカの歌は?


ひとつずついこう。


首倒立は首の太いレスラーやラグビー選手がトレーニングとしてやっていた可能性もある。


噛みつきは?
ラグビー選手が噛み付いては即退場だろうしグレート草津さんが噛み付きなどする反則レスラーだという記述はどこにもない。


そしてナウシカの歌に至っては全くもって謎である。
もしかしたらグレート草津さんは風の谷のナウシカの大ファンかもしれないが真相は闇の中だ。

てゆうか事件当時グレート草津さん生きてたし。

つまり結局真相は今でも闇の中だ。
今ではグレート草津さんの生霊に取り憑かれていたという説が最も有力視されている。

しかし実際しゅんさんの身に何が起こったかはもはや誰にもわからない。
救急車に運ばれた車中でしゅんさんは正気を取り戻し病院では熱も全くなく平熱、言葉、表情も普通に戻り何事もなく帰宅したという。





近年テレビでも何かのオカルト番組で悪魔に取り憑かれた事例を挙げられていることがある。

しかしもし本当にプロレスラーに取り憑かれたとなれば前代未聞の話になる。
前述した通り真相は闇の中、もはやどう解明することもできないが……。

その後、しゅんさんはその奇跡体験を語らない。
いや、正確にはその後仲間や彼女に話したのだが仲間達には馬鹿にされて笑われ、彼女には気持ち悪がられ最終的に振られたという。
当時のピュアな恋はグレート草津の力によって終止符を打たれたのだ。

しかしその後から今に至る十数年、しゅんさんは
何かに取り憑かれたということはないらしい。

ただしその後何かに取り憑かれたかのようにナンパやコンパを繰り返すダメな大人になったようだ。



もしかしたらグレート草津さんは女が大好きでまだひっそりとしゅんさんの中に居着いて静かに彼の心を侵食しているのかもしれない。



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