【ブログ】ハッピーオーライ!(忘れ物を回収しに行く北陸信濃旅、最終章)
寝床にごろん、と横になり、ツーリングマップルを開く。今日走った道を指でなぞって、明日の旅を組み立てる。この道にしようかな。あそこに寄ったら日が暮れちゃうかしら。寝落ちることはわかっているのに、地図を開かずにいられない。そんな旅の夜が好き。
旅の最終日の天気は下り坂。家まで200キロ弱。昼頃までに高速に乗れば、濡れずに家に帰れそうな気がしている。ホテルの朝食を軽めに済ませたのは、早めの昼ごはんでこの旅を締めくくるためだ。
塩尻から諏訪まで下り、ずっと来たいと思っていた「太養パン」! お目当てはこれ。
100年以上続いているこちらのパン屋さんで一番人気というサバサンド。鯖好きサバージョとしては一度食べてみたかったのだ。パリパリと崩れる香ばしいカスクート、1時間以上かけてオーブンでじっくり焼かれたふわっとジューシーなサバ様、サニーレタス、たまねぎ、一味マヨネーズのハーモニーに悶絶サバージョ!
しかし何より、このパン屋さんの漂わせる幸せな空気感がすっかり気に入ってしまった。同じ古いビーエム乗りということで、思いもよらずお近づきになれたオーナーさんとのおしゃべりも楽しく、つい長居。
そこへ、コバユリの雑誌記事を昔から読んでくださっているというライダーさんが偶然来店されたり、最後にはオーナーさんファミリーがほぼ総出で見送ってくださったり、去りがたさマックスだけれど、行かねばならぬ。残されたミッションをコンプリートするために。
山梨県「道の駅はくしゅう」でお水汲み。いつもサウナーGパイセンからのお裾分けで味わっていた白州の名水を、初めて自分で汲みに来た。富山の水に負けず劣らず美味しいなー!
右に10kg、
左に6.5kg+重量調整のために詰めた諸々で、
左右のバランスも取れたことだし、そろそろ帰路に着きますか。
「お気をつけてね」
声がして顔を上げると、真っ赤なワンピースを着た白髪のマダムがにっこり私に微笑みかけて、隣のクルマに乗り込んで去って行った。
なんだろう? 道の駅で、ガソリンスタンドで、スーパーの駐車場で、スラッペと旅していると本当によく話しかけられるのは、スラッペが珍しいからだけなのか? ひょっとして、スラッペとの旅を愛するあまり、私のどこかからハッピーオーラがダダ漏れてしまっているのか!
だとしたらそれはもう、垂れ流して走るしかない。それで誰かが微笑んでくれるのならば本望だ。そんな幸せな落とし物しかしない、そういう人に、わたしはなりたい。(無理?)
(完)
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