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豚がくることは分かりきっていたのに、東に干してある洗濯物を取り込むこともせず。 豚はやはり東から、パリパリの洗濯物をのれんのようにくぐってやってきた。 どろがついてしまいますよ 豚のいうことはいつでも正しいので、パリパリと音を立てながら全てしまいこむ。豚はいつでも小綺麗だ。 子供はいないのかと聞いても、いるのかいないのかぼくにはよくわからない、と呟くだけで。 でも、いつも東からくることだけははっきりしていて。 西にはクナファがいるんです、と目を細めて微笑う豚の背中を
「もみじがいつつに分かれてるのは誰が決めたことなの?」 昨日生まれたばかりなのかどうかという幼きいもむしが、私の手を引っ張って木の下に連れていくので、私はこう言った。 「それじゃあ、お嬢ちゃん。あなたがいもむしなのはどうして」 いもむしはしばらく考え込んで、もみじをぴりぴりとふたつに裂いた。 「こうやって、誰かが、もともとここのつあったもみじを半分にしちゃったから」 「その通り」 私は目を細めて、いもむしの小さな額に手を置いた。 「でもね、もうあなたは蝶になれな