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天王寺・新世界・西成 写真報告

 いつのまにか5月も中頃になってしまった。緊急事態は延長されたものの、日に日に過ごしやすい陽気になるのも手伝って、どこかこの状況に慣れてしまった。感染者が抑えられてきたこともあり、徐々にコロナに飽きてきてしまっているように思える。検察庁法への抗議のハッシュタグが拡大した一因も、コロナの話題に飽きたことと、政権への不満が広がってきたことが重なったからではないかと、新世界を歩きながら考えていた。

 今回は5月11日に、天王寺から新世界、西成一帯を昼過ぎから23時前にかけて歩いた。写真と共に報告する。

※新世界では、成人映画館の外観、成人映画のポスターの写真がある

14時~15時 天王寺

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(14:34 天王寺ドン・キホーテ前)

 野暮用で久しぶりに天王寺に来た。5月に入ると、もう人が少ないことに何の感慨もわかなくなってきたが、あべのアポロシネマ休業の文字を見るのは、やはり辛い。シネマと隣接する、あべのルシアスビル15階には漫画や書籍が読め、イベントも催されるシネマサロンがあるが、イスやテーブルは撤去されている。サロンでは『えんとつ町のプペル』を読んだ。作った大人がカッコつけているだけの、予想通りの一冊だったとだけコメントする。

 16階に上がると、レストランは営業している。A5ランクの黒毛和牛と蟹が売りの高級ダイニング(筆者比)の看板にランチ営業をはじめたとの文字。なんと税抜きで500円。普通なら絶対に入らない店だが、せっかくなのでワンコインランチを注文した。出てきたのは牛生姜焼きにサラダとごはん、玉子味噌汁と、なかなかのクオリティだ。この手の店では通常あり得ない価格設定だが、コロナ禍で四の五の言っていられないようだ。

 人通りのある1階ならまだしも、この状況で16階まで上がる人がいるとも思えない、オフィス階の社員が頼みの綱だそうだが、口コミでもなかなかランチを始めたことが伝わらないという。13時過ぎだったが、筆者以外の客の気配はない。16階の家賃はいくらだろうか。

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(ドン・キホーテ前から新今宮へ続く歩道)

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(14:49 新今宮駅近くのパチンコ店)

 天王寺から新今宮方面に歩く。自転車の割合が多い。人通りは、広い歩道でも自転車が徐行するくらいにはある。現在の梅田の商店街程度だ。

15時 新世界

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 新世界はシャッターがやはり目立つ。観光客はほとんど見当たらず、地元住民も最低限といった人出だ。この辺りは古いアパートなど住宅も密集しており、酔ったおっちゃんも見かけるが、生活感が漂っている。

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(15:02 新世界)

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(不要不急の外出自粛を呼びかけていた)

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(メインストリート以外は閑散としている)

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(休業する新世界国際劇場。入れ替わりで通行人の男性が休業の張り紙を見つめていた)

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(この並びが見られる映画館はそうはないだろう)

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(休館延長への理解を求める張り紙)

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(15:39 通天閣本通商店街)

17時 西成

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(17:24 荻之茶屋本通商店街、左のパチンコ店は盛況だった)

 喫茶店で休憩後、南下して西成へ足を向けた。関心はあったものの、来るのは初めてだ。近づくにつれ、明らかに高齢男性と自転車の量が増えていった。

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(荻ノ茶屋駅前)

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(17:34 奥が三角公園)

 適当に歩いていたのだが、引き寄せられるように荻之茶屋南公園(三角公園)に着いていた。ブルーシートの小屋が並び、日雇い労働で暮らしていると思われる人が大勢集まっており、下調べがなくてもこの一帯の中心だと分かった。何となくカメラを向ける気にならなかったので写真がグーグルからなのはお許しいただきたい。写真とは違い、この日は30~50人が公園周辺に集まっていた。

スクリーンショット (67)

(三角公園北側からの景色 グーグルストリートビューより、下記にリンク)

 三角公園から北上する。1泊1,500円程の安宿が密集している。通行人は、昨年7月撮影のストリートビューで見るよりは少し多いくらいだ。コロナで仕事がなくなっているとすれば、通常より人出があってもおかしくはない。

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(そこら中に大量にある自転車は主要な交通手段と言える)

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(これもアートと言えるのではないだろうか)

 歩いていると、シャッターなどに描かれたアートが街をカラフルにしている。ただの落書きもあるなか、完成度が高いものもある。これまで幾度かアートイベントが西成であったというが、その時のものと思われる。西成一帯が外国人も含めて大阪の観光地と化していることは、以前から言われてきた。シャッターアートが一役買っていると思われる。

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(西成シャッターアートは隅に座っている人がいて完成する)

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 ホームレス、日雇い労働者、貧困街としてダーティーで雑多な雰囲気が観光客にうけるのは理解できるが、やはり釈然としないものがある。今、観光客が消えた街は、本来の姿と言えるかもしれない。

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(動物園駅近く 筆者一押しのアート)

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(観光客向けの真新しい預かり所と、地元臭ただよう酒店が並んでいた)

18時 天王寺駅前

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(18:00 あべのハルカスからの反射光が影を増やす)

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(阿倍野区と隣接する下町、この先には飛田新地がある)

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 18時以降は天王寺周辺を歩いた。あいりん地区から10分ほど歩き、阿倍野区に入ると小綺麗なマンションが立ち並び、大型商業施設が増える。

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(18:20 街の風景の落差に頭がついていかない)

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(大型商業施設内 一部雑貨、アパレルショップ以外は休業していた)

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(イトーヨーカドーあべの店前にて)

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(18:52 キューズモール向かいのアーケード)

21時半 天王寺

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(21:45)

 少しネットカフェに長居しすぎたかもしれない。辺りは息を止めたように暗く静かになっている。路地に一本入れば、天王寺だと忘れるほどの人気のなさだ。

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(22:09 JR天王寺駅の改札前)

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(22:13 駅を抜けて北側に進んだ、居酒屋が建ち並ぶ一角。開いている居酒屋は4分の1ほど)

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(22:19 天王寺駅北、谷町筋沿いの商店街)

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(人が少ないのを見越したのか、ランニングするグループが通りかかった) 

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(煌々と光るホテルのネオン)

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(天王寺公園入口付近には、日雇い労働者風の男性が10人以上たむろしていた)

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(22:33 天王寺駅歩道橋からあびこ筋を西に望む)

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(あびこ筋をまたぐ円形歩道橋)

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(22:44 キューズモールから地下鉄へ続く地下道)

 気づけば写真が45枚になってしまった。少しでも雰囲気を感じていただけただろうか。緊急事態宣言の解除が目の前に迫っている。またこの写真に人があふれる日は、そう遠くない。

(文・写真 有賀光太)

画像出典

グーグルストリートビュー

(https://www.google.co.jp/maps/@34.6449548,135.5009033,3a,60y,218.76h,79.4t/data=!3m6!1e1!3m4!1saitYaSnj330szqNqTJhv8A!2e0!7i16384!8i8192?hl=ja&authuser=0)



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