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商品を見せる前にお客様の話をとことん聞けばアピールポイントが分かって効率がいい

営業活動において、商品やサービスの魅力をしっかり説明したい気持ちは多くの営業マンや技術者に共通するものです。特に、自社の技術や商品の開発に携わってきた人は、その製品の素晴らしさや独自性をアピールしたい気持ちが強くなるでしょう。自社の商品に対する情熱や自信があるからこそ、どんなに小さな特徴でもすべて伝えたくなるものです。

しかし、その気持ちを優先してしまうと、結果的に一方的な「売り込み」になってしまう危険があります。営業の場では、お客様のニーズや課題に基づいたコミュニケーションが重要です。自社商品のアピールポイントを一方的に伝えるだけでは、お客様の心をつかむことは難しいのです。

一方的なアピールは自己満足に過ぎない

営業マンや技術者にとって、自社の製品やサービスを詳しく説明することは、誇りを感じる瞬間でもあります。しかし、それが「単なる自己満足」に終わってしまうことがあります。お客様にとって必要な情報と、営業マンが伝えたい情報は必ずしも一致しないからです。

たとえば、技術的な優位性や細かい仕様について、営業マンとしては伝えたいと思うかもしれません。しかし、顧客の抱える課題やニーズが解決されなければ、いくら製品の素晴らしさを説明しても、お客様には響かないことがあります。お客様が最も重要視するのは、自分の問題が解決できるかどうか。その解決策として、製品のアピールポイントが自然と浮かび上がるべきなのです。

お客様の視点に立ったアプローチが成功の鍵

営業の成功は、お客様の立場に立って話を進めることにあります。まずは、お客様が抱える課題やニーズを十分に理解することが最優先です。お客様の言葉に耳を傾け、丁寧に話を聞くことで、その人が何を求めているのかが分かります。商品やサービスを効果的に提案するためには、その課題に対して自社の製品がどのように役立つかを明確に伝えることが重要です。

たとえば、住宅の購入を検討しているお客様がいる場合、その方が重視しているのは、家の広さやデザインだけではないかもしれません。予算、アフターサービス、住みやすさ、さらにはエコフレンドリーな要素なども含めて、さまざまな視点からのニーズがあるかもしれません。営業マンは、そういったニーズを引き出し、それに対して自社の製品がどう対応できるかを説明する必要があります。

お客様の話を聞けばアピールポイントが見えてくる

お客様の話を十分に聞くことで、適切なアピールポイントが自然と見えてきます。たとえば、お客様が「コストパフォーマンスを重視している」と言った場合には、価格に対する優位性や長期的なコスト削減の要素を強調するべきです。また、操作のしやすさを重視しているお客様には、直感的なユーザーインターフェースや簡単なメンテナンスができることをアピールするのが効果的です。

商品を見せる前に、お客様の課題をしっかりと引き出すことで、より的確な提案ができるようになります。これにより、お客様は「この商品が自分の問題を解決してくれる」と感じやすくなり、購買意欲を引き出すことができます。営業マンとしての役割は、お客様の問題を解決するためのパートナーとなることです。そのためには、まずお客様が何を求めているのかを理解することが不可欠です。

効果的なヒアリングのためのテクニック

お客様の話を聞く際には、いくつかのテクニックを活用すると効果的です。

  1. 共感の姿勢を示す
    「なるほど」「おっしゃる通りです」など、共感の言葉を使ってお客様の話に対する理解を示しましょう。これにより、お客様は安心して話を続けることができます。

  2. 質問を投げかけて深掘りする
    「具体的にどのような点にご不満を感じていますか?」や「この部分について、もう少し詳しく教えていただけますか?」といった質問をすることで、お客様のニーズを深掘りすることができます。

  3. 沈黙を恐れない
    話が途切れた時に、すぐに次の質問を投げかけるのではなく、少しの沈黙を恐れずに待ちましょう。お客様が考える時間を与えることで、より深い話が聞けることがあります。

  4. 非言語コミュニケーションを活用する
    うなずきや表情などの非言語コミュニケーションも、効果的なヒアリングには欠かせません。お客様の話に対して、視覚的なリアクションを取ることで、信頼感が高まります。

まとめ

営業の基本は、まずお客様の話を十分に聞くことです。商品を見せる前に、お客様のニーズや課題を引き出すことで、より効果的なアピールが可能になります。一方的に商品を説明するのではなく、お客様がどんな問題を抱えているのかを理解し、その問題を解決するために自社の製品がどのように役立つかを伝えることが重要です。お客様の話を聞くことが、結果的に成約に繋がる最も効果的な方法です。


参考

  • Tamir, D. I., & Mitchell, J. P. (2012). 自己に関する情報を開示することが内在的な報酬となることを示した研究。Proceedings of the National Academy of Sciences, 109(21), 8038-8043.

  • Cialdini, R. B. (2009). 説得と影響力に関する心理学的理論をまとめた名著『Influence: Science and Practice』。Pearson Education.

  • Kahneman, D. (2011). 人間が意思決定を行う際のバイアスを解説した『Thinking, Fast and Slow』。

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