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「人は自分のことを話すのが大好きで、一生懸命に自分の話を聞いてくれる人を好きになる」という心理を活かした営業術

営業の現場では、お客様とのコミュニケーションが何よりも重要です。そして、そのコミュニケーションを円滑に進めるためには、まずはお客様の話をよく聞くことが成功の鍵となります。なぜなら、人は基本的に自分のことを話すのが大好きで、相手が自分の話に耳を傾けてくれると、無意識に好意を抱きやすくなるからです。この記事では、「人は自分のことを話すのが大好きで、一生懸命に自分の話を聞いてくれる人を好きになる」という心理を、営業活動にどのように活かすことができるかを解説します。

1. 人はなぜ自分のことを話すのが好きなのか?

まず、なぜ人は自分の話をするのが好きなのでしょうか?これは心理学的にも脳科学的にも裏付けがあり、自己開示や自分のことを話す行為は、脳にとって快感を伴う行動であることが分かっています。脳の「報酬系」と呼ばれる部分が活性化し、話をすること自体がポジティブな体験となるのです。この快感が得られるため、人は無意識に自分の話をしたくなります。

営業の場面では、この性質を利用して、まずお客様に多く話してもらうことが重要です。お客様が話すことで快感を得ると、その快感を与えた営業マンに対して好感を持ちやすくなります。

2. 上手に聞くことで信頼関係を築く

お客様に好かれるための最も効果的な方法の一つは、話を「聞く」ことです。しかも、ただ耳を傾けるだけではなく、積極的に関わることでより深い信頼関係を築けます。例えば、以下のようなスキルを活用することで、営業の成果を高めることができます。

  • 相槌をうまく使う
     話を聞いている際に「そうなんですね」「なるほど」といった相槌を適切に打つことで、相手に安心感を与えます。お客様は、自分の話がちゃんと受け止められていると感じ、さらに話を続けやすくなります。

  • 質問を交えながら話を引き出す
     ただ黙って聞くのではなく、「その時はどう思われましたか?」や「具体的にはどのようなことが気になっているのでしょうか?」といった質問を投げかけることで、会話がより深まり、お客様は話したいことを整理しやすくなります。

  • 共感を示す
     「それは大変でしたね」「確かにそれはお困りになりますよね」などと共感の言葉を挟むことで、相手の感情に寄り添う姿勢を見せます。これによって、相手は「この営業マンは自分を理解してくれている」と感じ、親しみを持つようになります。

3. お客様に多く話してもらうための工夫

お客様に心地よく話をしてもらうためには、営業マン自身が場の雰囲気を整えることが大切です。以下のような方法を使うと効果的です。

  • 話の入り口を提供する
     お客様が話しやすい環境を作るためには、まず簡単な質問から始めると良いでしょう。例えば、「今日はお忙しかったですか?」といった日常的な話題でリラックスさせ、その後、少しずつ商品の話題に移行するのが効果的です。

  • 共通の話題を見つける
     もしお客様と趣味や関心ごとが一致するのであれば、その話題をうまく活用して話を引き出します。共通の話題があると、お客様も親しみを感じやすくなり、自然と会話が弾みます。

  • 自慢話に付き合う
     お客様が自分の成功体験や自慢話を始めた場合も、否定せずにうまく受け止めましょう。「すごいですね」「それは大変な努力をされたんですね」といった形で相手の自尊心をくすぐることで、お客様はさらに話したくなるものです。

4. お客様が話したくなる雰囲気を作る

営業の現場では、何よりも「雰囲気作り」が大切です。お客様に話してもらうためには、リラックスできる環境を整えましょう。例えば、以下の要素が効果的です。

  • 穏やかな声のトーン
     穏やかな声で話しかけることで、相手にリラックス感を与え、話しやすい雰囲気を作ることができます。

  • 自然な笑顔
     笑顔は周囲の人に安心感を与えます。特に初対面の場面では、笑顔を意識することでお客様に「この人は信頼できる」と思わせる効果があります。

  • 落ち着いた身だしなみ
     清潔感があり、落ち着いた身だしなみは、お客様に好感を持たせるための重要なポイントです。服装や身だしなみに気を配ることで、第一印象を良くすることができます。

5. お客様の話を聞くことで得られるメリット

お客様に話してもらうことで、営業マンにも多くのメリットがあります。最も重要なのは、お客様が本当に何を求めているのかを正確に理解できる点です。お客様の悩みやニーズを深く掘り下げることができるため、その後の商品説明や提案がスムーズに進みます。

また、お客様が自分の話をしっかり聞いてくれる営業マンに対しては、強い信頼感を持つようになります。信頼関係が築ければ、提案が受け入れられる確率も高まり、結果として成約率の向上にもつながります。

6. 話を聞くことは営業の第一歩

営業において、お客様の話を聞くことは成功への第一歩です。自分の話を聞いてくれる人に対して、誰もが好感を持ち、信頼を寄せやすくなるからです。話を聞くことによって、お客様のニーズや悩みを深く理解し、的確な提案をすることができれば、商談は自然と成功に近づきます。ぜひ次の商談で、この「聞く力」を意識してみてください。


参考:

  • 行動経済学:
     カーネマンとトヴェルスキーが提唱した「プロスペクト理論」によると、人は感情的な要素に大きく左右されることが知られています。お客様の話を聞き、共感を示すことは、感情的な満足感を与えるため効果的です。

  • 心理学:
     Tamir, D. I., & Mitchell, J. P.(2012)の研究では、人は自分に関する情報を開示する際に、脳の報酬系が活性化することが示されています。これにより、自分の話をすることがポジティブな経験となり、相手に好意を抱きやすくなります。

  • 脳科学:
     UCLAのMatthew Liebermanの研究では、共感的な行動が脳の「社会的報酬系」を刺激し、信頼感や絆を深めることが明らかになっています。


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