雨と酒と父
父が死んでかれこれ6年が経つ。
残った家族にとって日々の生活はそんなことと無関係に穏やかに過ぎていくものだ。
時々、ワケもなく死んだ人をふと思い出すのは、その人がすぐ近くに来ているからだ、という話を聞いたことがあるのだが、その話が本当なら割合、うちの父親はすぐ近くに来ている率が高い。
今日みたいなしとしとと穏やかに降る雨の日はたいてい側に来ている。
彼が無類の雨男だったことと関係しているだろうか。
何をするにでも、雨の日ばかりでみながため息をついていたことを思い出す。
6月19日は毎年来る。
彼の命日でもなければ、墓で酒を飲むこともそうそうなかろう。
今年は雨でないことを願いたいところだが、父が側に来ていないのなら酒盛りも楽しさ半減なのだから、無理矢理にでも父がうまそうに酒を飲んでいるところを思い出して、近くまで寄ってもらうじゃないか。
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