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ボードゲームの駒を塗る話#2


・まずは下地の話

以下はプラ製のミニチュアやボードゲームの駒をシタデルカラーで塗る場合の話です。
それ以外の水性アクリル塗料(ファレホカラー、アーミーペインター、アクリジョン、アクリル絵の具)でも基本は一緒なんですが、とりあえずシタデルカラーで塗っていく場合の話に限定します。
なぜならば、クトゥルフウォーズを塗装するのにシタデルカラーしか使ってないからです。
まずは下地でサーフェイサーというものを吹きます。
サーフェイサーとは、パテと塗料が混ざったような下地材です。
今回使ったのは、シタデルカラーのカオスブラック(Chaos Black)スプレー乾くと表面がほんのちょっとザラザラっとしたマットな艶消しの真っ黒になるスプレーです。
これを吹くことでシタデルカラーを筆塗りするときに塗料の食いつきが良くなります。
これを吹かなくても塗装できるといえばできるんですが、なにも下地がない状態で塗料を筆で塗ってもはじいてしまうので、地道に何回も塗る必要がありますし、塗膜も荒れてきれいに塗れなくて大変なので、下地は吹いたほうが作業が楽です。
何より、今回はクトゥルフ神話の名状しがたき怪物の数々を塗装するということで、基本影を濃く残したいのでまずは真っ黒にできて下地処理ができるこちらのカオスブラック(Chaos Black)スプレーをまずはすべてのミニチュアに吹きます。
厚く吹いてしまうと、ポテッとした感じになったりモールドが埋まってしまうので、ふわっとまんべんなく塗布しましょう。
ちなみにクトゥルフウォーズの駒129体に吹いたとき1本空にしましたが、たぶん吹きすぎです……。
サーフェイサー吹くのは今も全然上達してません……。

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・カルト信者を塗ろう

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今回ご紹介する、カラーレシピは下段に映っている、各勢力の狂信者たちです。
御覧のとおりチョーチョー人陣営(ピンクの人たち)以外の狂信者は造形が全部まったく同じなので、服のカラーレシピ以外は全部共通なのです。

<肌>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:レイスボーン(WraithBone)を重ねます。
今回のカラーレシピでは、土台のベース部分と服のローブ部分を除いた部分である、顔、腕、魔導書はすべてレイスボーン(WraithBone)で塗ってしまいます。
※以下解説です。
いくらシタデルカラーが隠ぺい力が高いことを謳っていても、いきなり真っ黒の上から塗って発色するものではありませんし、色むらも出てしまいますので、数回重ねて塗ります。
これにより、自分が望む色までもっていくことを繰り返していきます。
色を混ぜるのではなくて、下の色を見ながら薄く塗り重ねることで、目的の色までもっていきます。
なぜそんなことをするのかというと、シタデルカラーは特に水性エマルジョン系塗料という特性上、様々な顔料や溶剤や水が一つの塗料に配合されて色ができているからです。こういった塗料を混色するとどうしても色が濁ってしまいきれいな発色が難しくなります。
皆さんの中には色の三原色というのを聞いたことがあるかもしれません、CMYKで通じる方も中にはいらっしゃるかもしれませんね、C(シアン:青)M(マゼンダ:赤)Y(イエロー:黄色)K(キー:黒)のことです。
CMYを混ぜ合わせると、どんどん暗くなってK黒に近づいていくという性質を、塗料の色の元になっている顔料は持っています。
シタデルカラーは最初から様々な色の顔料が混色されている塗料なので、さらに色を混ぜてしまうと、極端な話どんどん暗く(黒く)濁っていってしまうのです。
2色をまぜるくらいなら大丈夫ですが、色にもよりますが3色4色混ぜていくと顕著にグレーに近づいてしまいます。
それを防ぐために、薄く重ねて重ねて目的の色に発色させていくという手法をとります。
解説が長くなりましたが、どんどん肌を塗っていきましょう。

#2 ベースカラー:レイスボーン(WraithBone)の上からコントラストカラー:フィレスレイヤーフレッシュ(Fyreslayer Flesh)を塗っていきます。
※以下解説です。
シタデルカラーには
ベースカラー
シェイドカラー
レイヤーカラー
ドライカラー
コントラストカラー
テクニカルカラー
の6種類があります。
かつてはグレイズカラーというのもありましたが、今は廃盤になってしまっているのでここでは触れません。
シタデルカラーの塗装方法は大まかに2種類ありまして、クラシックメソッドとコントラストメソッドの2つがそれです。
クラシックメソッドとは、ベースカラーでベースの色を決め、シェードカラーで影色を作り、必要に応じて再度ベースカラーやレイヤーカラーで塗り重ねてハイライトなどを入れていくという手法です。
それぞれ
ベースカラーは隠ぺい力が高く基本となる色が揃っている、少し暗めの色が多い。
シェイドカラーは色のトーンを落としたり、同系色のカラーにまとめたりが得意。とてもシャバシャバしているので倒すと怖い。
レイヤーカラーは隠ぺい力はそれほどでもないけれど、最も色の種類が多いカラーで、明るい鮮やかなカラーが多いのが特徴。
となっています。
次にコントラストメソッドとは、新しい特徴を持つカラーであるコントラストカラーを主軸にした塗装方法です。
その塗装方法は、ベースカラーを塗る、次にコントラストカラーを塗る、終わり。
というものです、すごい!簡単!
ものによっては、レイヤーカラーやドライカラーでドライブラシしてあげたり、ハイライトを入れてあげたほうがよりカッコよくなりますが、基本はこれだけです。
クラシックメソッドの工程数とコントラストメソッドの工程数を比べると全然違います。
これは、コントラストカラーの特徴が、塗料を塗って乾くまでの間に表面張力で塗料の膜の厚さが広い面では薄く、狭くなるほど厚くなるという性質を利用して、塗っただけで自然にグラデーションができてしまうという、よくわからないくらい凄い塗料なのです。
なので塗料が薄くなった面が明るくなり、厚くなった面が暗くなるように、下地に明るい色を使うのがセオリーとなります。
具体的には
コントラストの下地としてベースカラーには、
コーラックスホワイト(Corax White)中間の明るいグレー
グレイシーア(Grey Seea)寒色(青・緑・紫系)の明るいグレー
レイスボーン(WraithBone)暖色(赤・オレンジ・黄色系)の明るいグレー
を塗った上から、コンストラクトカラーの同系統の色を重ねていくのが基本になります。
そうやって明るい下地の上に自然にグラデーションを作ってくれるコントラストカラーを重ねることで、自然な影とハイライトが作り出せてしまうのです。
コントラストカラーは同じようなカラーでたくさんのミニチュアやフィギュアを塗装する場合非常に強力な手段になりえます。
まさに今回のカルト信者の塗装にはピッタリ!(最大51体同じ駒を同じ色で塗るので……)
必要なこととはいえ、解説がどんどん伸びてしまう…
どんどん次へ行きましょう!

<腕輪及び魔導書の表紙(皮部分)>ベースカラー:レイスボーン(WraithBone)の上からコントラストカラー:スネークバイトレザー(Snakebite Leather)を塗っていきます。

<魔導書のページ部分>#1 ベースカラー:レイスボーン(WraithBone)の上からコントラストカラー:ダークオースフレッシュ(Darkoath Flesh)を塗っていきます。
#2 薄めに溶いたベースカラー:アバドンブラック(Abaddon Black)と普通に溶いたメフィストンレッド(Mephiston Red)でページの中身を適当にでっち上げます。
※今回の魔導書を持っている42体分のカルト信者のページに書いてある内容はどれも違うという無駄に凝った仕様になっています。

<駒のベース(土台)部分>#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:メカニクススタンダードグレー(Mechanicus Standard Grey)を重ねます。
#2 ベースカラー:メカニクススタンダードグレー(Mechanicus Standard Grey)の上からドライカラー:ターミナトゥスストーン(Terminatus Stone)でドライブラシを施します。
※以下解説です。
シタデルカラーにはまだ解説していないカラーがまだ2種類存在します。
その1つが今から解説する、ドライカラーです。
ドライカラーはドライブラシという技法専用のカラーで、プリンのようなプルプルした見た目が最大の特徴です。色の特徴としてはパステルカラーのような淡い明るい色合いが特徴的です。
ドライブラシという技法がどんなものかというと、普通にシタデルカラーを水でのばして筆に色を含ませたら、キッチンペーパーなどで筆の塗料が生乾きくらいになるまでふき取ってしまいます。
これがドライブラシといわれる理由です。
この少し塗料が生乾きになった筆で表面をなでつけることで、ミニチュア表面のモールドを際立たせたり、ハイライトを入れたり、かすれた汚し塗装をしたりといった用途に使えるのがドライブラシという技法です。
詳しくはこちらのシタデルカラーの教科書や解説動画がいくつもありますので、”ドライブラシ やり方”などで検索してみるといいかもしれません。

シタデルカラーのドライカラーはドライブラシ専用のカラーで、使い方は水で湿らせた筆を同じようにキッチンペーパーで水分をよくふき取り、ドライカラーを筆先にちょんちょんとつけてパレットでなじませドライブラシの技法で塗装を行うというかなり特徴的な塗料となっています。
ただぽてっとしたプルプルの塗料なので、メディウム(薄め液)や水で溶いて混色させることはできちゃいますが、基本推奨されません。
以上がドライカラーの解説となります。

ここまでが、カルト信者の共通部分の塗装になります。
後はそれぞれの陣営のローブの色を塗装していきます。

・個々のカルト信者の塗装パート

<這いよる混沌陣営のカルト信者のローブの塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:マクラーグブルー(Macragge Blue)を重ねます。
#2 ベースカラー:マクラーグブルー(Macragge Blue)の上からシェイドカラー:ドラクノフナイトシェード(Drakenhof Nightshade)を影になる部分に重ねます。
#3 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)でドライブラシを施して、ハイライトというよりは、かすれたり、擦り切れて、色あせ白っぽくなったふうに見せてます。


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<大いなるクトゥルフ陣営のカルト信者のローブの塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:カリバングリーン(Caliban Green)を重ねます。
#2 さらにベースカラー:デスガードグリーン(Death Guard Green)を重ねます。
#3 シェイドカラー:ベルタングリーン(Biel-Tan Green)を影になる部分に重ねます。
#4 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)でドライブラシを施します。


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<森の黒山羊陣営のカルト信者のローブの塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:メフィストンレッド(Mephiston Red)を重ねます。
#2 さらにシェイドカラー:レイクランドフレッシュシェード(Reikland Fleshshade)を影になる部分に重ねます。
#3 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)でドライブラシを施します。


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<黄の印陣営のカルト信者のローブの塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:アバーランドサンセット(Averland Sunset)を重ねます。
#2 さらにシェイドカラー:レイクランドフレッシュシェード(Reikland Fleshshade)を影になる部分に重ねます。
#3 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)でドライブラシを施します。

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<道を開くもの陣営のカルト信者のローブの塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:ナガーロスナイト(Naggaroth Night)を重ねます。
#2 さらにシェイドカラー:ドラクノフナイトシェード(Drakenhof Nightshade)を影になる部分に重ねます。
#3 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)でドライブラシを施します。


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<闇にまどろむもの陣営のカルト信者のローブの塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:モーンフェンブラウン(Mournfang Brown)を重ねます。
#2 さらにシェイドカラー:レイクランドフレッシュシェード(Reikland Fleshshade)を影になる部分に重ねます。
#3 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)でドライブラシを施します。


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<風に乗りてあゆむもの陣営のカルト信者のローブの塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:コーラックスホワイト(Corax White)を重ねます。
#2 さらに:レイヤーカラー:ルーサーンブルー(Lothern Blue)を重ねます。
#3 シェイドカラー:ドラクノフナイトシェード(Drakenhof Nightshade)を影になる部分に重ねます。
#4 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)でドライブラシを施します。

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<チョーチョー人陣営のカルト信者の塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:レイスボーン(WraithBone)を全体に重ねます。
#2 さらにレイヤーカラー:エンペラーズチルドレン(Emperor’s Children)をローブ部分に重ねます。
#3 頭上の髑髏と左手の腕輪は同じ骨系の素材と考え、ベースカラー:レイスボーン(WraithBone)で塗っています。
#4 腰帯はベースカラー:レイスボーン(WraithBone)の上からコントラルトカラー:スネークバイトレザー(Snakebite Leather)を重ねています。
腰の拷問具の持ち手部分も同じくレイスボーン(WraithBone)の上からコントラルトカラー:スネークバイトレザー(Snakebite Leather)を重ねています。
#5 腰の拷問具の金属部分はベースカラー:リードベルチャー(Leadbelcher)で塗っています。
#6 シェイドカラー:レイクランドフレッシュシェード(Reikland Fleshshade)を全体に重ねます。
#7 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)で軽ーくドライブラシを施します。

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<チョーチョー人陣営のカルト信者(高司祭)の塗装>
#1 サーフェイサー:カオスブラック(Chaos Black)の上からベースカラー:レイスボーン(WraithBone)を全体に重ねます。
#2 さらにレイヤーカラー:エンペラーズチルドレン(Emperor’s Children)をローブ部分に重ねます。
#3 胴体と腕の鎧部分はモーンフェンブラウン(Mournfang Brown)を重ねた上に金属部分はリトリビューターアーマー(Retributor Armour)を筆の腹でちょんちょんと塗っています。
#4 腰帯はベースカラー:レイスボーン(WraithBone)の上からコントラルトカラー:スネークバイトレザー(Snakebite Leather)を重ねています。
#5 頭の兜はリトリビューターアーマー(Retributor Armour)で塗っています。
#6 シェイドカラー:レイクランドフレッシュシェード(Reikland Fleshshade)を全体に重ねます。
#7 ドライカラー:ロングベアードグレー(Longbeard Grey)でほんの軽くドライブラシを施します。今回は、かすれていないはっきりピンクにしたいのでついてるかついてないかくらいの感じです。


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以上、なんと普段の記事の3倍以上の分量となってしまいました…
そりゃ、書いても書いても終わらないわけだ……
次回以降はそれぞれの陣営の怪物と旧支配者のカラーレシピを書いていこうと思います。
まさかこんな分量に膨らむとは思っていませんでしたが、頑張って更新続けていこうと思うので、フォローやスキやSNSへの拡散などしていただけると励みになりますのでよろしくお願い致します。


今回のカラーレシピで使っているすべてのカラーをセットにしました!



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