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北海道ベースボールリーグに思うこと

最終更新:2020年7月20日
7月16日に公開した直後、富良野市民球場の貸出状況の変化と新たな新聞報道があったことから、訂正と追記を行いました。

こんばんは。社会人野球特に道内しか観ない井蛙っぷりに定評のあるこばちです。

北海道では、今年から野球独立リーグ北海道ベースボールリーグが発足しました。
試合会場が美唄市・芦別市と自家用車を持たざる身には中々厳しい場所で、一度は足を運びたいと思いつつ、まだ観戦は実現していません。

私はいま、この北海道ベースボールリーグを危惧しています。
なぜに?

それは、今季、ホームタウンで試合を全く開催できない球団があるからです。

これから綴る話は極めて長く、ときに辛辣。
心の優しい方は、いま引き返していただいても構いません。
それでも私が記すと決めたのは、歪で取り返しのつかないことが起きていると感じたからです。

既成概念を打ち破る新しいリーグ

北海道ベースボールリーグ(以下、HBLと略)は、かねてより富良野で活動していた北海道ベースボールアカデミーを基盤に、2019年に創設された野球の独立リーグです。

レラハンクス富良野BC(富良野市)
美唄ブラックダイヤモンズ(美唄市)

この2チームで2020年からリーグ戦を開催し、2021年には石狩レッドフェニックス(石狩市)、2022年には砂川市を本拠地とする球団の加入を予定しています。

HBLの特色は「自給自足」
プレーに対する報酬はありません。(※)
選手達はホームタウンで寮生活を営み、午前中は地元の農家や食品加工場で働いて給与を得て、午後に試合や練習を行います。

運営資金は、選手が納める月5万円の運営費と、スポンサーからの収入で賄います。
過疎地域の人手不足を補って活動資金を得る一石二鳥のシステムは、リーグ代表曰く「儲からなくても潰れはしない」とのこと。

(当初、労働の対価を地域通貨で支払い、地域内で消費させるという話がありましたが、実際採用されたかどうかは分かりません。)

※2021年度の選手区分がトライアウト要項で発表されています。
・プレー報酬が支給されるプロ契約枠(1チーム1~5名)
・運営費納付が免除される専属選手枠(同1~5名)
・運営費を納付する育成枠(同10~15名)

また、HBLではチームに監督を置きません。(チーム代表はいます)
選手の自主性を重んじ、全国各地の指導者を多数招聘して講習会を行い、スキルアップを図るとされています。

参考:2019年5月3日full-count記事2020年4月26日スポーツ報知記事 / 2020年7月7日産経新聞記事

プロ野球ではなく、社会人野球でもなく

私はこれまで、独立リーグを「支配下登録選手にはプレーの報酬が支払われるプロ野球」と認識していましたから、無給兼業独立リーグの登場に困惑しました。
(かつて資金難で給料を払えなくなったリーグがありましたけれども、前提はプレー報酬ありきです。)

先行する四国アイランドリーグplusでは2019年から兼業を認めるようになりましたが、それまで、独立リーガーが収入を補うための副業は、私的な活動であったはず。
働きながら、チームに運営費を納めてプレーの場を得るのなら、社会人野球のクラブチームと大差がないように思えました。

では、HBLと社会人野球で何が違うといえば、生活における野球の比重の高さと、職業選択の自由でしょう。

社会人は一部の恵まれた企業チームを除き、週末にオープン戦を行い、年に数回の公式戦に出場します。大会運営は日本野球連盟(各地区連盟)が担い、傘下の幅広いチームと対戦が可能です。

企業チームの選手は、就職活動を経て母体企業や関連会社に就職します。
クラブチームであれば本業は様々。会社員、公務員に自営業者がいれば、日本学生野球協会に所属しない学生も参加できます。すなわち、野球以外の部分は何をしようと自由。

一方のHBLは午前中勤務、午後は練習または試合という生活構成。
試合は5月末から9月にかけて週4~5試合、計73試合が予定されています。リーグ所属球団が現在2チームなのでひたすら同じカードになりますが(※)、破格の試合数です。

※2020年8月9日にさわかみ関西独立リーグ・兵庫ブルーサンダーズを招聘し、美唄市民球場で美唄ブラックダイヤモンズとの交流試合を行うことが7月14日付北海道新聞で報道されました。

野球漬けになれる分、就労はこの運営方針に理解ある職場でなければ難しく、かつ、選手は地元で働いて地域貢献するものとされています。
つまり職業の選択肢はぐっと狭められる。
そして「労働の対価を地域通貨で支払う」という話があったことで、HBLの第一印象は自由を極めて制限されるものに感じました。

私自身は長年都会で暮らしていることもあって、本当にこんな条件で人が(それこそ日本人は)集まるのだろうかと、訝しく思ったのです。

それでも野球に没頭したい選手が納得して集うのならば、余所者がケチをつける筋合いはありません。
上手くいけばいいね。発足当時は、そんなふうにぼんやりと眺めていました。

始動を襲った新型コロナ禍

北海道ベースボールリーグの設立は、2019年4月25日に発表されました。
5月3日に設立記者会見があり、先に述べたリーグの特色や、初年度となる2020年はレラハンクス富良野・美唄ブラックダイヤモンズの2チームで活動することが述べられます。

当初はレラハンクス富良野のSNSしか存在せず、美唄ブラックダイヤモンズの広報手段はおろかリーグそのものの情報を得られる場も少なかった(※)HBLでありますが、徐々に体制を整え、2020年3月25日に公式戦スケジュールを発表しました。

※広報はFacebookが中心で、美唄ブラックダイヤモンズの公式ホームページができたのは2020年5月29日、HBLリーグ公式ホームページが完成したのは開幕を過ぎて6月4日のことでした。

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この時点では「レラハンクス富良野BCは富良野・芦別で、美唄ブラックダイヤモンズは美唄・砂川で行う試合がホームゲーム」と記されています。

公式戦スケジュールが発表されたこのとき、日本は既に新型コロナウイルス禍の真っ只中にありました。
北海道では2月28日から3月18日まで独自の緊急事態宣言が発出され、3月10日には総理大臣から10日程度の文化・スポーツイベントの自粛要請が行われます。
それらが解除された束の間の安息、このまま疫病が収束すればと誰もが願っていた、3月下旬の発表。

結果として、この時期に多くの方が新型コロナウイルスに感染し、4月7日の国の緊急事態宣言発出16日全国へ適用拡大)に至ります。

国の緊急事態宣言によって、スポーツはプロアマを問わず活動困難になり、試合会場となる公共運動施設は閉鎖。これでは公式戦を行えるはずもありません。
4月17日、HBLは開幕日(当初5月2日予定)を5月11日以降に延期することを発表しました。

4月7日の最初の緊急事態宣言の対象地域には北海道が含まれていたので、その時点で決断できなかったことには若干の疑問があります。

そして、新型コロナウイルス禍で厳しい入国制限が設けられたことにより、外国人選手が来日できなくなりました。
前身の北海道ベースボールアカデミーの経験を生かして、世界各地から幅広く選手を募ることを予定していたHBLにとって、これは大変な痛手であったと想像できます。

国の緊急事態宣言は5月31日まで延長され、5月半ばから感染者の少ない県が順次解除されていきました。
一番最後となった北海道の緊急事態宣言が解除されたのは、5月25日。

その解除前の5月16日、HBLは大胆な発表を行います。
緊急事態宣言期間中(当時)である5月30日に、観客入場前提で、リーグ戦を開幕すると宣言したのです。

緊急事態宣言下の「日本最速開幕」を掲げて

2020年5月16日。北海道ベースボールリーグは、公式SNSで5月30日に開幕することを宣言しました。
記念すべき開幕戦の会場は美唄市営球場。感染防止策を徹底し、観客を入れて試合を行うというものです。

このとき、日本国内において5月中の開幕/活動再開を決定していた野球組織はありません。HBLは日本最速開幕を名乗り出たのです。

その効果は高く、多くのマスコミがこれを好意的に報じ、試合を待ちわびる野球ファンの注目を集めることとなりました。
これがプロ、高校、大学や社会人野球真っ只中の出来事なら、メディア露出は限られ、ファンの気を引くのは難しかったでしょう。そこは大成功でした。
私のSNSタイムラインでも「一度観に行きたい」という声が多かったですね。

しかし、私は懐疑的でした。
北海道において、当時、5月30日は緊急事態宣言期間内です。
当然、2チームのホームグラウンドとなる富良野市民球場・美唄市営球場は使用を制限されています。

開幕戦の舞台となる美唄市営球場は、5月16日時点で、美唄市民に限り使用可能とされていました。
このルールに則れば、レラハンクス富良野が美唄へ来ることも、市外の観客が観戦することもできません。

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「感染者数が基準値内に収まれば、月末を待たずに緊急事態宣言が解除される」という話はありましたが、自治体が会場の使用制限を課している中で有観客試合を打ち出すのは、勇み足に思いました。
いや、自治体とちゃんと話がついているならいいんですけどね。

結局、5月30日の開幕戦は無観客開催とすることが5月26日に発表され、試合の模様はyoutubeで配信されることとなりました。

発表されない日程、富良野外しの衝撃

この開幕発表で、もう一つ不可解なことがありました。
開幕戦以外の日程が開幕2日前まで発表されなかったことです。

独立リーグファンから全体日程発表を待ち望む声があり、私も、開幕日の5月30日は札幌市内外の往来自粛期間中ですので、その後の日程を早く知りたいと思っていました。

しかし、いくら待てども開幕以外の日程は出てこない。調整中とのアナウンスも無い。
私は一つの疑念を抱きました。
5月30日の美唄市営球場の使用目処が立っていることから、美唄市とは話が付いているのだと推測できます。他の球場は、まだ使用許可が下りていないのではないか?

なぜなら、富良野市民球場を管理するふらのスポーツ協会は当時、「野球場は5月31日まで使用不可」、「使用再開施設については、当面は個人利用及び富良野圏域居住者に限り使用可」と告知していたからです。
美唄の球団と試合を行うならば、例外を認めてもらわねばなりません。

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砂川市営野球場も5月いっぱいは市外在住者の使用が制限されていました
芦別市は、当時ホームページにはっきりした告知がなかったと記憶しています。

開幕戦以外はどうなっているんだ?懸念を巡らせる間にも開幕は刻々と近づき、2日前となった5月28日。
ようやくHBLのシーズン日程が発表されました。

そこで、大変な衝撃を受けました。
富良野市民球場の試合がひとつもなかったのです。

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レラハンクスのホームタウンなのに、試合がない。
3月25日に発表した延期前の日程には、富良野市民球場13試合があったはずなのに…。

よく見ると「今季は、レラハンクス富良野BCは「芦別」で、美唄ブラックダイヤモンズは「美唄・砂川」で行う試合がホームゲームとなります。」と小さく書いてある。

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芦別がホーム……??
元々3月公開の日程でホームゲームの半分を占めていた芦別ですが、富良野から見れば夕張山地とダム湖の向こう、富良野圏域から遠く離れた場所です。

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日程を見て、富良野市民球場の管理者であるふらのスポーツ協会(富良野市)と、5月時点では球場使用の折り合いがつかなかったのだろうと察しました。

富良野開催が一切なくなった理由について、HBLからもレラハンクス富良野からも説明がなかったので、このとき真相は知りません。

日本最速開幕の称号は、野球ネタに飢えているメディアと野球好きの関心を惹き付けることに成功しました。
でも、その見切り発車でホームタウンが置き去りにされるのは、素直に頷けない。

新型コロナ禍の影響下で、日程変更の可能性があるといっても、富良野を本拠地とする球団が富良野界隈で一つも試合をしないのは、地域密着を掲げる独立リーグとして不自然ではないでしょうか。
地元には、スポンサーや選手の雇用先となってチームを支える方々が大勢いるのですから。

最速にこだわるより、仮に試合数が少なくなっても、自治体や施設管理者と話を詰め、会場を確保した上で開幕させた方がよかったと思うのです。

それでも、使用規制が解けて富良野市民球場が使えるようになったら、一試合でも多く試合が振り替えられて、レラハンクス富良野の選手が地元で活躍を披露できればいいと願っていました。
このときは。

突然の本拠地造成クラウドファンディング

国の緊急事態宣言解除後、徐々に世間の休業要請、外出自粛やイベント制限の緩和が進み、HBLでも6月13日から観客が現地観戦することが可能になりました。(6月6日発表)

各自治体の公共運動施設の使用制限も順次緩和されていましたが、富良野市民球場でHBLが開催されない状況は変わりません。

6月16日。
HBL代表出合氏が、突如、レラハンクス富良野の公式専用グラウンドを造設するクラウドファンディングを始めました。

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募集中止直後にツイ消しされたのでスクショですみません。
拡散希望とありますが、翌日中止になるまでの間、リーグや各球団から周知されることはありませんでした。

6月のクラウドファンディングの概要を抜粋します。
・旧富良野市立山部中学校(レラハンクス富良野寮)グラウンドに、公式戦を行う「コミュニティ球場」を作る
・6月16日から7月1日までの半月で目標金額150万円を集める
・6月29日着工、7月19日オープン予定

……妙に性急な話だと思いました。

活動拠点として借りている中学校跡地にコミュニティ球場を造り、賑わいの場とするという主旨そのものは、頷けます。
しかし、半月で150万円もの資金を集め、これまた3週間程度で完成させる計画は、あまりに忙しない。

この旧山部中学校は単なる廃墟ではありません。3月まで生徒が通っていた、73年分の歴史と思い出の残る場所です。

それを改造して地域交流の場にしようというなら、住民と膝を突き合わせて意見を聞き、時間をかけて一緒に築くものでしょう。来シーズンに向けての計画なら理解できたのですが…。
ネットで資金を集めて、一月足らずで試合用の施設を急造することは、地域密着とは名ばかりの企画に映りました。

何としてもシーズン中に富良野で試合ができる場をオープンさせようとしていることは、裏を返せば、富良野市民球場を借りることが極めて困難な状況にあると考えられます。

そして旧山部中学校の敷地と施設は、富良野市のものです。
公共施設の使用許可に難儀している団体が、借家を突貫工事で改造して大丈夫?市は承知しているんだろうか?と疑念を抱いた、その翌日。

クラウドファンディングは1日で募集中止となりました。

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6月17日、クラウドファンディング出資者に送られた連絡文。この連絡を受けた方をSNS上で複数確認しています。

募集停止となった理由は、「グラウンド所有者である富良野市との協議不足」とあり、既に出資した方にのみ個別に通知されました。
出合氏は拡散希望のSNS投稿を削除し、その後、募集停止の理由を一般には明らかにしていません。

借地への施設造成を貸主に無断で企画し、その資金をネットで安易に募り、わずか1日で中止して沈黙する。
団体運営者の行動としては、理解に苦しむものがあります。

元々、富良野市民球場の試合開催がなくなったことで、リーグと富良野市の関係を案じていたところですが、この件で亀裂が広がったことは想像に難くありません。

クラウドファンディングが始まる前日の6月15日、レラハンクス富良野から兼任コーチを含む主力選手7人が自主退団するとの発表があり、野球ファンに大きな衝撃を与えました。
本当にこの球団、このリーグ大丈夫なの?と囁かれていた直後の杜撰な企画。
どうして窮地のレラハンクスを背中から撃つのかと、正直に言って、非常に残念に思いました。

クラウドファンディングの再開

このnoteを記している7月15日、媒体を変えてクラウドファンディングが再開されました。

客席とあった箇所をベンチと改称し、コミュニティスペースを削除し、募集額を100万円に削減。
概ね前回の内容を引き継いでいますが、「コミュニティ球場の造成」から「周辺の安全を守るための練習場整備」に名目が変わっています。

出合代表はFacebookにて「前回のは文章に誤解を招く表現があった」と釈明していますが、主目的の変更は誤解で済まされることなのでしょうか。

前回のクラウドファンディングを1日で中止した背景、後述する富良野市民球場が使用できない理由を公に説明しないままに、再び資金集めを始めたことに驚きました。

現在は、山部地区総合振興協議会の協力で旧山部中グラウンドを練習等に使わせてもらうことができているといいます。
では、なぜ同じ山部地区の富良野市民球場は使えないのでしょう?

富良野市民球場が使えない理由

6月19日。北海道新聞旭川・上川版に、18日の富良野市議会第2回定例会一般質問の概要記事が掲載されました。

ここで「レラハンクス富良野が富良野市民球場の使用料を準備できなかったこと」「今年度の富良野市内での試合開催を断念したこと」、「質疑において富良野市は具体的な支援策を示さなかったこと」が明らかになります。

「富良野市民球場の使用料を準備できなかった」

予想もしない理由が浮上しました。
私、新型コロナウイルス感染防止対策で球場の団体利用(興行)を渋られていると思っていたのですよね…。

3月25日に公表された当初の日程では、富良野市民球場での試合が5月から8月まで計13試合予定されていました。
会場の確約なく日程を公表する団体などありませんから、この時点では球場利用予約があったはずです。つまり、予約しながら料金を払えなかった、踏み倒しがあったと予想されます。

使用料はどれぐらい?
ふらのスポーツ協会のホームページを見てみます。

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「プロスポーツ及びその他の催事」そしてラスト4試合のHBLチャンピオンシップまでは観戦料を徴収しないことから「営利を目的としない専用利用」と仮定して1時間6,285円、試合日に6時間借りるとして1日37,710円、シーズン13試合で490,230円。
営利目的のプロスポーツ及び催事の単価が割高なものの、一般的な公営野球場の使用料から逸れない範囲です。(※)

※私のこの認識は誤りで、当初から「プロの営利目的使用」として1時間あたり31,428円で見積もられていたことが判明しました。後で追記します。

仮にシーズン分を一括で払えないにしても、交渉の余地がありそうなものですが、「本年度の市内での試合開催を断念した」ということは、取り付く島もない様子。

使用料を支払うのがリーグなのか球団なのかは分かりませんが、球場予約と使用料支払いを巡って、ふらのスポーツ協会・富良野市側が態度を硬化させる出来事が起きたと考えられます。

もし私が飲食店の宴会を予約してトンズラすれば、当然、お店から出入り禁止を言い渡されることでしょう。当て込んでいた収入を得られず、仕込みが無駄になり、他のお客さんを呼び込む機会を失うからです。

それを名のある団体が行えば?
信用を大きく損ねることになります。

リーグ代表の出合氏は、富良野市でHBL前身の北海道ベースボールアカデミーを運営する傍ら、市内でパン屋を営んできました。6月末には砂川に(HBLの砂川市進出を見越して)2号店をオープンさせています。
商売人なら信用がどれだけ大切なものか、分かっていそうなものですが…。

現時点では新聞記事に記された概要しか分かりませんが、市議会一般質問は議事録がホームページに公開されます。
遅くとも9月の第3回定例会前には掲載されますから、そこで、詳細が明らかになることでしょう。

【7月20日追記】
7月18日の北海道新聞で、レラハンクス富良野BCの富良野市民球場主催試合開催が報じられ(最後に記します)、当初予定されていた球場使用料は「プロスポーツ・営利目的区分」の1時間あたり31,428円であったことが判明しました。
プロの非営利目的/アマの入場料徴収区分と比べて5倍の負担、1試合6時間と見積もって1試合188,568円、×13試合で約250万円。

この負担は重い。

ちなみに、芦別市民球場の「アマチュア以外で入場料を徴収する試合」の使用料は1時間あたり9,680円、入場料徴収なしの場合4,840 円。

砂川市営球場の「営利目的使用・入場料徴収」の場合は1日あたり最高入場料金100人分(参考としてHBL石狩開催の入場料1,000円×100=100,000円+諸設備使用料3,300円)、入場料徴収なしの場合1日あたり16,500円+諸設備使用料3,300円。

更に、美唄ブラックダイヤモンズのホームグラウンドである美唄市営野球場の使用料は非常に安く、入場料なしなら1日1,810円、入場料徴収時は売上総額の11%(最低額3,630円)となっています。
1時間ではなく1日あたりの額。そりゃ美唄でたくさん試合するわ。

延期前の日程からして、美唄38試合/砂川13試合(美唄ブラックダイヤモンズ主催)、富良野13試合/芦別13試合(レラハンクス富良野主催)と、ホームゲーム数・ホームタウン試合数の差が著しいと感じていましたが、これは使用料が反映されていたのかもしれません。

私が真に危惧すること

HBLは一から始まったリーグですから、主力選手が大量に退団しただの、それゆえ著しい戦力不均衡に陥り30対1なんてスコアが現れただの、そこはあまり心配していません。
開幕がひと月ずれた影響もあり、最後までやり通せれば上出来ぐらいに捉えています。

けれども、リーグや球団が自治体と決裂し、地域住民の不興を招くことは、避けねばなりません。

選手や運営者が入れ替わってもリーグは存続できるでしょうが、ホームタウンと住民は昔からその土地に根付くものであり、簡単に変わることはありません。
球場を借りる、生活拠点を構える、就労する、地域貢献活動を行う、いずれにしても、地元に受け入れられる存在でなければ立ち行かないのです。

殊に、公共施設(野球場)を借りて興行を催すことを主とするのであれば、自治体や施設管理者との信頼構築は不可欠です。

私がHBLを危惧するのは、レラハンクス富良野が今シーズン地元の球場を全く借りられないことが、球団・リーグと富良野市の断絶を示唆しているように思えるからです。
更に、リーグ代表が火に油を注ぐような企画を行っている。

先日、別の独立リーグ球団が公式SNSに「唯一最大のリスク要素は県のスポーツ課」と書き込んで(すぐ消したものの)物議を醸していました。とんでもない失言です。

自治体は様々な団体、異なる立場の人々の利害を調整し、公平な立場を取ることを是としますから、一筋縄でいかないことは多々あるでしょう。
ですが、そこでつまずくのを自治体のせいにするなら、リーグの発展は望めますまい。

崇高な理想と壮大な夢を掲げて「頑張る若者を応援」「ピンチをチャンスに」「地域に賑わい」なんてキラキラした言葉を並べたところで、民が傅き勝手に道が拓けるなんてことはありえないのです。モーセじゃないんだから。

地域密着を謳えばこそ、選り好みせず足を運び、話を聞き、人脈を広げ、少しずつ信頼を得る、地道な努力が肝心でしょう。
富良野市民球場を巡る話を整理するに、どうも、HBLはそこを軽視しているように感じられるのです。

今を支えてくれる選手とファンのために

私は、HBLのファンかと問われたら、関心はあるけれどファンではないと答えます。私の乏しいリソースは、同じ野球でも好きなジャンルで手一杯だからです。

今の立場を端的に言えば「冷やかし」でしょうね。
けれども、「ナントカの闇」なんて陳腐な言葉でこのリーグを嘲るつもりはありません。
いま懸命にプレーしている選手達や、まっすぐに応援している方々のことを思えば、茶化すなんてできませんよ、とても。

先日、レラハンクス富良野の食事をサポートする食堂の方が、応援グッズを作り、車を飛ばして芦別まで応援に向かったことのツイートを読みました。
そのとき富良野市民球場では、次週に公式戦を控える社会人野球チームのオープン戦が行われていました。もちろんこの社会人チームは、然るべき手続きを経て正規に球場を借りているのですが……

なぜ社会人がここを使えて、地元の独立リーグ球団が使えないのだろう。
山部の人達はこのことをどう思っているのだろう。

なんともやるせない気持ちになりました。

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目前に迫る夕張山地が美しい富良野市民球場。こんな良い施設を地元球団が使えないのは、悲しい。

レラハンクス富良野に今残る選手達は、戦力が大幅にダウンしても、連敗を重ねても、必死に食らいついています。7月16日には5人の新入団選手が発表されました。(ひと月前の大量退団以来、一方的なゲームが続いていましたから、少し安堵しました)

苦境にありながらも、HBL講師に就任している元NPB・江尻慎太郎選手を1日契約選手として出場させるなど、既存野球ファンの注目を集める企画を打ち出しています。

また、彼らを応援するファンの熱意は、こちらの胸が詰まるほどに純粋です。富良野での試合開催はないのに、新規スポンサーも増えています。
プレーする・働く選手達を間近で見ている人達には、そのひたむきさが真っ直ぐに伝わっているのだと思います。

もう一つの球団・美唄ブラックダイヤモンズは、民放テレビ局のアナウンサーを選手として起用し宣伝するなど、とても精力的に活動していて、ホームタウン・美唄市との関係も良好に見えます。行く行くはHBLを牽引するチームになることでしょう。
来年以降加入する石狩市球団、砂川市球団の準備も着々と進んでいる。

だからこそ、自治体と反りが合わない、お金の扱いがルーズだなんて理由でつまづいてほしくありません。
応援したのに何をやっているんだと、一度そっぽを向かれれば、信頼を取り戻すことは難しいのです。

北海道ベースボールリーグには、ファンと地域の期待に応える、自分たちの活動をきちんと説明できる、信頼に足る組織であってほしい。

分野は違えど、北海道の野球を応援する者のはしくれとして、私はそう願っています。

7月20日追記:富良野開催は実現へ

私がこのnoteを公開したのは7月16日の夜遅く。
翌7月17日、HBLから、8月15日に富良野市民球場で雨天中止分の振替試合を行う発表がありました。
(すごいタイミングになってしまって、申し訳ないですね…)

富良野のどこ…?と発表直後は訝しんだのですが、翌7月18日に北海道新聞(おそらく旭川上川版、ネット掲載なし)で会場が富良野市民球場であることが明かされました。

当初、プロ営利目的として1時間あたり31,428円の球場使用料が課されており、HBLではこれを準備できず今季の市内開催を断念したとのこと。

しかし、市内開催を望む市民の要望があり(おそらく市議会一般質問を行った市議の力添えもあったと思います)、レラハンクス富良野が7月上旬に富良野市及びふらのスポーツ協会と協議。
現在のHBLの活動はアマチュアに準ずるとして、球場使用料の減額を認められ、お盆に地元開催を叶える運びとなりました。
同記事によれば、9月末にも富良野市民球場開催を予定しているといいます。

第一に安堵しました。
HBLが市役所・球場管理者サイドと交渉できて、何より、レラハンクス富良野を応援する地元住民の熱意が、膠着状態を動かした。これがどれだけありがたいことか。

市議会において一般質問を行った、宮田均市議のブログを拝見しました。
HBLが開幕するも地元富良野開催が無いことに疑問を抱き、市の支援体制を質すべく、直後から動いていたのですね。

こちらのブログに掲載されている新聞切り抜きをよくみると…HBL「球場使用料準備できず」の文字が見切れています。
あれ?富良野市民球場が使えない理由、開幕時点で報じられていたのか…。

発足間もないリーグに、富良野市民球場の使用料が重くのしかかったことはよくわかりました。
しかし、興行に必要な費用は事前に把握しているはず。
富良野開催を減らすならまだしも、全部白紙にしたことは、新型コロナウイルス禍の影響もありましょうが、富良野市やスポーツ協会との調整でつまづいたと考えられます。(リーグ代表も準備不足を認めていますね)

今季は、レラハンクス富良野を温かく受け入れてくれた市民の声で、特例的に富良野開催を実現しました。
HBLはこれからも続いていく団体。来季から選手にプロ報酬枠を設けますし、行く行くは観戦料を徴収したり、試合時の出店を運営していくのなら、今年と同じ「アマチュアに準じた扱い」は難しくなります。

富良野開催を増やすにはどうするか?
リーグの特性と地域での役割を説いて使用料を減免してもらう、芦別に限らず富良野近隣の球場を借りて開催する、旧山部中グラウンドに簡易球場を作る(市の所有物なのでタダで使えるとは思えませんが)…いずれにせよ、リーグとチームのこれからの手腕が問われます。

準備不足は何度も使える言い訳ではありません。
来季は、3球団それぞれのホームタウンで定期的に試合が開催されることを願ってやみません。