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八戸国体アイスホッケー成年の部準決勝 北海道対埼玉県

2020.2.1(土)北海道13-7埼玉県
(3-4、7-0、3-3)

青森県・八戸市で開催された冬季国体スケート競技(八戸国体2020)
そのアイスホッケー競技成人の部に、日本製鉄室蘭アイスホッケー部(室蘭スティーラーズ)をはじめ、社会人B級で活躍する選手が大勢出場すると知り、テクノルアイスパーク八戸へ準決勝と決勝を観に行きました。

【!】この記事は、観戦一年未満かつ北海道社会人B級以外全く知らないド素人があやしい記憶を綴っています。

試合ダイジェスト動画(八戸テレビ放送配信)

開催地のケーブルテレビ局、八戸テレビ放送さんが国体のダイジェスト動画を配信してくださっています。全試合ではありませんが、感謝……!圧倒的感謝……!

国体アイスホッケー 成年の部

冬季国体のアイスホッケー部門は、少年の部と成年の部に分かれ、トーナメント戦と8位までの順位決定戦を行います。

チームは都道府県別に編成され、成年の部は、その都道府県に居住または勤務(※)する社会人と大学生(年度末に19歳に達している者)で構成されます。

※単純な居住・勤務地のみで分けると選手が大都市圏へ集中してしまうため、国体には、中学または高校卒業時の都道府県にエントリーできる「ふるさと制度」があります。

1チームに登録できる選手は最大16人
通常、ベンチ入り選手は22人(ゴーリー2人+スケーター20人)まで登録可能ですが、それより少ない人数で戦うことになりますから、個々の負担は大きくなります。

そして、初戦から決勝まで5日間で5試合(北海道はシードにより4試合)という日程も、選手の負担を鑑みるに相当厳しいものがあります。
社会人だと特に。週に3試合もあれば多いでしょうから…。

組合せ

チーム埼玉のキャプテンもこうおっしゃっている。

J-Ice North Divisionに参加する日本製鉄室蘭やDYNAXの場合、国体直前の1/26に公式戦があり、翌日苫小牧で選手団が合流、調整。
フェリーで八戸入りし、1/30の2回戦から決勝まで4日間試合が続き、またフェリーで帰ってきて、翌週末は道新杯という鬼の日程です。

カラダニキヲツケテネ!

チーム北海道

八戸国体2020アイスホッケー競技・北海道成年の部メンバー

GK 30 伊藤 優人(釧路厚生社)
GK 33 大澤 啓太 (DYNAX)
DF 13 佐藤 光(御影クラブ)
DF 16 横山 恭也(日本製鉄室蘭)
DF 17 川島 誠 (苫小牧市役所)キャプテン
DF 18 青山 大基 (明治大学2年)
DF 19 松浦 大貴(苫小牧市役所)
FW 7 上野 滉太(スケートハウス札幌)
FW 8 田川 聖(釧路厚生社)
FW 9 田中 孝太 (釧路厚生社)オルタネイトキャプテン
FW 10 阿部 魁(日本製鉄室蘭)
FW 11 池田 涼希(明治大学4年)
FW 12 村上 亮(日本製鉄室蘭)オルタネイトキャプテン
FW 14 小原 卓朗(DYNAX)
FW 20 山下 拓郎(スケートハウス札幌)
FW 21 古川 誠也(DYNAX)

このうち、川島キャプテンは王子イーグルス、伊藤選手、佐藤選手、山下選手は東北フリーブレイズ、上野選手、田川選手は日光アイスバックス、田中選手は東北フリーブレイズ→チャイナドラゴンに在籍した元アジアリーガー。また、池田選手は横浜GRITS入団が発表されています。

2回戦から出場した北海道は、京都府を9-2、長野県を10-2で下し、準決勝へと駒を進めます。その相手は埼玉県

チーム埼玉県

GK 1 河合 智哉(慶應義塾大学4年)
DF 12 中居 隼都
DF 10 菊池 秀治 キャプテン
DF 6 杉澤 優 オルタネイトキャプテン
DF 5 佐藤 正志(立命館大学4年)
DF 3 菅田 路莞(中央大学1年)
FW 8 長谷川 宗矩(東海大学4年)
FW 11 平田 祥紘 オルタネイトキャプテン
FW 9 茂木 慎之介(大東文化大学4年)
FW 7 土屋 光翼(法政大学3年)
FW 14 土田 啓太(法政大学3年)
FW 13 江口 大輔
FW 16 矢島 龍
FW 18 松渕 雄太
FW 15 運上 雄基(慶應義塾大学3年)
FW 17 石井 秀人(日本体育大学4年)

全国屈指の強豪・埼玉栄高校OBで構成された埼玉県チーム。こちらもかつてチャイナドラゴンと東北フリーブレイズに在籍し、先日横浜GRITSへの入団を発表した菊池秀治キャプテンをはじめ、元アジアリーガーがいます。

北海道のB級「しか知らない」の弊害はこういうところで顕著に現れます。説明が雑ですまない、本当にすまない。

第1ピリオド

GK:北海道 33大澤 啓太 / 埼玉県 1 河合智哉

00:47 北海道ゴール(1点目)
ゴール 21古川誠也、アシスト20山下拓郎

02:16 北海道ゴール(2点目)
ゴール7上野滉太、アシスト8田川聖

02:51 反則 北海道20山下拓郎 トリッピング
03:56 反則 北海道 トゥー・メニー・メン(代行11池田涼希)

04:28 埼玉県ゴール(1点目、5on3パワープレー)
ゴール3菅田路莞、アシスト7土屋光翼、14土田啓太

2点先取するも、5対3の数的不利から失点。1点はやむなしと、このときは思ったのですが…

05:17 埼玉県ゴール(2点目)
ゴール7土屋光翼、アシスト9茂木慎之介

06:06 反則 埼玉県13江口大輔 スラッシング

08:36 埼玉県ゴール(3点目)
ゴール17石井秀人、アシスト13江口大輔

この逆転ゴール、現地で見た時は江口選手がゴール裏へすいすい回っていってディフェンスが追いつかなかったことばかり記憶に残っていたのですが、動画を見るに、その後ゴール前わちゃわちゃから、でした。

12:37 反則 北海道18青山大基 ホールディング

13:39 埼玉県ゴール(4点目、パワープレー)
ゴール10菊池秀治、アシスト3菅田路莞、7土屋光翼

これ以上の失点は厳しいと判断したのでしょうか、GKを交代する異例の事態に。

14:43 北海道GK 33大澤啓太→30伊藤優人

15:42 反則 埼玉県7土屋光翼 チェッキング・トゥ・ザ・ヘッド(ミスコンダクト)

17:33 北海道ゴール(3点目、パワープレー)
ゴール17川島誠、アシスト7上野滉太、18青山大基

北海道3-4埼玉県
1Pシュート数:北海道6 / 埼玉県9

第2ピリオド

20:57 反則 埼玉県6杉澤優 スラッシング

21:09 北海道ゴール(4点目、パワープレー)
ゴール21古川誠也、アシスト16横山恭也、12村上亮

22:44 反則 埼玉県8長谷川宗矩 フッキング

23:26 北海道ゴール(5点目、パワープレー)
ゴール8田川聖、アシスト9田中孝太、7上野滉太

第2ピリオド序盤の好機を逃さず同点、逆転。以後、北海道がこれまでの恨みとばかりに埼玉県を圧倒します。

23:53 反則 北海道17川島誠 トリッピング

28:59 北海道ゴール(6点目)
ゴール8田川聖、アシスト7上野滉太、9田中孝太

32:38 北海道ゴール(7点目)
ゴール9田中孝太、アシスト7上野滉太

33:27 反則 埼玉県18松渕雄太 トリッピング

35:19 北海道ゴール(8点目、パワープレー)
ゴール12村上亮、アシスト13佐藤光、21古川誠也

35:34 北海道ゴール(9点目)
ゴール21古川誠也、アシスト12村上亮、10阿部魁

37:37 北海道ゴール(10点目)
ゴール11池田涼希、アシスト14小原卓朗、19松浦大貴

北海道10-4埼玉県
3Pシュート数:北海道19 / 埼玉県2

このシュート数が示すように、第2ピリオドの埼玉県は防戦一方であり、GK伊藤選手が脅かされることはほとんどありませんでした。
あの第1ピリオドは一体何だったんだ…?

第3ピリオド

40:46 北海道ゴール(11点目)
ゴール20山下拓郎、アシスト14小原卓朗

43:26 埼玉県ゴール(5点目)
ゴール12中居隼都、アシスト14土田啓太

45:27 北海道ゴール(12点目)
ゴール21古川誠也、アシスト10阿部魁

45:42 埼玉県ゴール(6点目)
ゴール11平田祥紘、アシスト7土屋光翼、3菅田路莞

第3ピリオドも一方的な展開になるかと思いきや、埼玉県が第1ピリオドの勢いを取り戻し、間髪入れずに追いすがってきます。ついさっきまで「にゃーん」だったのに…そこに立つのは吼え猛る獅子…!

46:04 反則 北海道9田中孝太 トリッピング

46:10 埼玉県ゴール(7点目、パワープレー)
ゴール10菊池秀治、アシスト3菅田路莞、7土屋光翼

46:10 北海道 タイムアウト

ベンチの後ろに座ってたので見えないですけど、きっと顔色変わったんだろうな。このタイムアウトが功を奏しました。

50:20 反則 埼玉県9茂木慎之介 トリッピング
50:39 反則 埼玉県6杉澤優 エルボーイング
55:57 反則 北海道13佐藤光 フッキング

57:25 北海道ゴール(13点目、ショートハンド)
ゴール21古川誠也、アシスト10阿部魁

59:06 反則 埼玉県14土田啓太 フッキング

北海道13-7埼玉県
3Pシュート数:北海道12 / 埼玉県11
合計シュート数:北海道37 / 埼玉県22

埼玉県の猛攻は止むことなく、最後の1秒まで6点差とは思えない緊迫感がありました。
あの第2ピリオドは一体何だったんだ…?

ゆる雑感

13-7というスコア。
野球には「ノーガードの殴り合い」「馬鹿試合」と称される乱打戦があり、NPBでもしばしば発生します。

アイスホッケーは比較的点の入りにくい球技で、極端な実力差によるワンサイドゲームはありますが、このような乱打戦(それも強いチーム同士の)は珍しいようです。

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何とも不思議な試合でした。
第2ピリオドで埼玉県の攻撃が鳴りを潜め、力尽きたかなあと思ったものが、第3ピリオドで息を吹き返したのはなぜか。
10分の休憩、あるいはセットの組み替えで、そんな劇的に変わるものなのでしょうか?
興味深いけれども、残念ながら私にはまだ分かりません。それを解き明かせるようになったら、アイスホッケーはもっと楽しい。

今大会を観に行くにあたり、ごく個人的な懸念が一つありました。
国体の前週に行われた、J-Ice North Division DYNAX対日本製鉄室蘭の一戦。
DYNAXスタメンGKは大澤啓太選手だったのですが、第2ピリオドまでに5失点を喫し、第3ピリオドから交代となりました。
失点はGKのみの責ではありません。この試合においてはディフェンスがうまく機能していないように感じましたが、ひょっとしたら大澤選手自身が本調子ではなかったのかもしれない(御年40のベテランですし)、そんな一抹の不安を覚えました。

そして準決勝…。第1ピリオド半ばで交代させられたのは、さぞ無念であったことでしょう。大澤選手にはこのままで国体を終えてほしくないと願ったのですが、決勝の出番は巡ってきませんでした。

失点の本当の原因、あるいはその身に何があったか、いち素人には探り得ぬこと。しかし、まだシーズンは続きますので、来る道新杯、全日本B、J-Iceプレーオフでの復活を祈るばかりです。

代表戦は予習が必要だ

今回の国体、元々北海道の社会人B級「しかみていない」初心者が、まったく下調べのないまま観に行きました。
公式パンフレットを売っているので、それを読めばなんとかなるだろうと…。

\なりませんでした/

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国体のパンフレットは1部700円で販売されていました。A4サイズ厚さ1センチ、そのページ数は210ページ+広告。

きみはタウンページか?

内容は祝辞に始まり、全競技の大会要項、式典次第、選手団名簿、記録記入用ページ(これが多くを占める)、ルール解説、宿泊施設一覧やシャトルバス時刻表といった来訪者向け資料がみっしりと詰まっています。

この中の選手団名簿が、都道府県別・全競技一緒に掲載されており…とても探しづらい。付箋持っていってペタペタ貼ればよかったかな。
展開の早いアイスホッケーにおいて、試合中210ページをめくることを、私は早々に諦めました。

また、都道府県別に代表チームを組むので、選手の背番号が普段の所属と異なります。(特に成人の部)
この背番号が事前に分かればありがたかったのですが、北海道スポーツ協会が発表した報道資料には掲載がありませんでした。

このため、パンフレットを手にして初めて背番号を知り、試合中「この番号の選手は誰?」を一致させるのに労力を費やすことになりました。背ネームがHOKKAIDOで統一されているのも拍車をかけます。
多少顔を覚えた選手がいても、顔やフォームを静止で観察できる競技ではありませんしね…。
その分、試合への集中が疎かになったのは否めません。

更に、公式パンフレットに選手背番号の掲載がない都府県も。東京都お前やぞお前。(後でゲームシートを読めばわかるのですが…)

そして、これは私個人の問題ですが、北海道の社会人「しかみていない」弊害、すなわち高校や大学、他地区、アジアリーグすら無知であることは、こういう機会に損をするのだと痛感しましたね。

予備知識なしでも最後の一秒まで熱い試合でしたが、道外の代表を少しでも知っていれば、楽しみ方が広がります。思い入れの深い選手を懐かしんだり、同期・同窓の再会に心を踊らせたり。
ぼやーっと、埼玉県の土屋選手と土田選手の連携が抜群だと感じたのですが、そら同じ大学だもの、あたぼうよ!と諸先輩にどつかれてしまいそうです。

そうは言っても、時間と体力と財力には限りがありますから、私は今後も好きなものを、手に負える範囲で観戦することでしょう。

八戸はあったかい

予習なしで来たことを若干後悔した国体でしたが、それを上回ったのがホストタウン・八戸の温かい心と、海の幸でした。

各試合会場と市街地を結ぶ無料シャトルバスが運行され、アイスホッケー会場・テクノルアイスパーク八戸では、郷土料理せんべい汁、特産のりんごホットコーヒーをふるまうコーナーがありました。
体が芯から冷えるリンクで、温かい飲み物や甘いものをいただけるのは嬉しい。
次の試合に出場する選手がせんべい汁に並んでいたのは、ちょっと和みましたね。笑

また、会場では国体結果を大きく伝えるデーリー東北新聞が配布されていました。
八戸テレビ放送による試合ダイジェスト配信、八戸コミュニティラジオ局・BeFMの番組「週刊フリーブレイズ」の元ブレイズ戦士インタビューなど、地元のメディアが尽力しています。

地元・八戸の観客の皆さんもとても温かかった。
あちこちから元ブレイズ戦士の名を呼ぶ声、好プレーを讃える歓声や拍手が飛び交っていて、アイスホッケーを観る・応援する文化が根づいているんだなと感じました。
特に北海道GK・伊藤優人選手への応援が熱く、皆さん思い入れも一入といった感。(その愛の深さは、翌日の決勝戦で知ることとなります。)

シャトルバスで宿へ戻ったら、街歩きへ。
一泊の弾丸遠征かつ体調に自信がなかったので、今回は夜の中心街を散策するだけに留めたのですが、味のある小路がたくさんあって、飲兵衛はそれだけで心が躍ります。

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会場の係員の方も、タクシーの運転手さんも、居酒屋の女将さんも、とても親切で気持ちのよい人たちでした。
周りのお客さんが大会関係者ばかりで、ひょんなことから某県の役員さんと話が盛り上がったのもいい思い出。

そして…八戸へ行ったら絶対食べる!と決めていたのが、
八戸のサバは世界一ィィィィーーーッ!

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刺身、しめさば、焼鯖、押し寿司、一日何食いただいたでしょうか?もうね全部優勝です。八戸大好き。

この八戸市は、3月に行われるアイスホッケー全日本選手権Bの舞台でもあります。
素敵な街!また来るからね!と悦に入った私は、居酒屋を渡り歩いた末、試合の振り返りもそこそこに朝まで爆睡していました。
二日酔いで迎えた決勝戦を、こいつははたして思い出せるのでしょうか…?