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空想上の叶姉妹(シスターズ)-3/23/24

一時の気の迷いで、叶姉妹のインスタをフォローした。

ファビュラスだ

「叶姉妹」単位で1つのアカウント運用という徹底ぷりである。

これをみていると、不思議と元気が湧いてくるな。

叶姉妹しかり、デヴィ夫人しかり、「金持ってる底抜けに明るいおばさん」からにじみ出るこのエネルギー。お金持ちというある種嫌味を孕みうるキャラクターを主軸として幅を利かせているはずなのに、あまり不快感がない。

写り込み方すごいし、「♯究極生命体」もすごい

考えてみたけど、空想上の「変なお金持ち」への願いに応答できているからなんだろうな。

エリザベス三世の残虐性よりも、「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」というキャッチーかつ馬鹿みたいな発言ばかりが取りざたされることに通底する願いだ。

私たちが普段TVタレントを見るとき、その人を人として見てはいない。番組はコンテンツ、出演者はキャラクターだ。それぞれに「こういう人柄属性立場ですよ」というラベルを貼ることで聴衆は初めてめり込める。

「筋肉キャラ」、「大食いキャラ」、「頭良いキャラ」など、これらはあくまで人間1個人の力の範疇で獲得できる要素だ。その善し悪しの判断も我々にゆだねられている。しかし「お金持ちキャラ」はどうだろう?この資本主義経済において莫大な資産を有することを標榜する立場というのは、実はかなりセンシティブなのではないだろうか。そういう意味では、極めて「現実的」なキャラクターとも言える。

だからこそ、その嫌味を漂白するために、俗世離れした姿かたち、思想態度を付与する。金持ちのイメージを過剰化したゴージャスなデコレーションは、一般的な判断における「羨ましさ」から離れていく。「金持ち」=「善いこと」の理性的なイメージを希釈する。そうすることで、虚構としてのキャラクターである叶姉妹が初めて賞味可能になるのだ。

誰も叶姉妹が「本当」だと思ってないから、本当の姉妹じゃないことに気が付かない

それはある種、お金持ちじゃない我々の「願い」の表れでもある。「(資本主義において勝ち組である)金持ちは、せめて変であってほしい」という、なんとも可愛いらしくささやかな願いだ。実際に叶姉妹は金持ちを標榜し、服装は派手派手のキラキラ、発言も富の豊かさに絡めたものが散見される。思った通り変だから、安心して消費できるのだ。


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