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バラエティを見るわたしの感性も変わったのだろうか(#74)

先日フジテレビの深夜に放送された番組。
エガちゃんのYouTubeで告知があったので、TVerで観てみた。

興味本位で観たら、予期してないことにとても考え込んでしまった。

ざっくり感想(ネタバレなし)

YouTubeでのエガちゃん人気にあやかって、昔のむちゃくちゃやってたテレビを好きで観ていた視聴者層を、もう一度テレビにひっぱってきたかったんだろうと思う。

こういう言い方をしてるのは、エガちゃんを起用する意味を全く感じなかったから。
エガちゃんに若手ディレクターがいろんな企画を観てもらって感想を聞く、っていうスタンスがちょっと理解できなかった。

単に深夜枠を使ってこれらの企画を流しても引きが弱いから、エガちゃんを利用したんだと思う。

エガちゃんは好きだけど、企画の良し悪しを決める能力に長けてるわけじゃないのは事実。

テレビとして「暴れないエガちゃん」をどう活かしたかったのかが全く見えず、ただただYouTubeで一花咲かせたエガちゃんに媚びてるだけにみえてしまった。

宣伝文句は悪くなかったんだけどなぁ…
正直、エガちゃんは後付けで加えたようにしか感じなかった。

番組の構成(ここから先はネタバレあり)

※ここから先はネタバレを含みます!

若手ディレクターが
「〇〇って古くない?」
というコンセプトをもとに作った全5本の企画。

・「ウソ」「ホント」の前提から遊んだ『嘘席食堂』
・3時のヒロインの記者会見コント
・「イケメン」いじりの『なるほど、、、ザ・イケメン』
・M-1をもじった『ゼロ-1』
・劇団ひとりのフェイクドキュメンタリー

1本目の『嘘席食堂』までは良かった。
だが、これをピークに尻すぼみとなっていく…。

1本目:嘘席食堂

わかりやすい相席食堂のパロディに加えて、「ウソ」と「ホント」を逆手に取った企画。
千鳥役のかまいたちのガヤもいい味を出していた。

バラエティの「ウソ」探しをやめましょう、から始まり、
「すべてウソで映像を作ればウソ探ししなくなるよね」
と発展させたことで、すべてウソで作られた映像にかまいたちがツッコミをいれるというもの。

この番組で1番凝った企画だと思った。

ぼる塾から「ウソ」を重ねていって、最後に小島瑠璃子を使ってスカす流れも見事だった。

小島瑠璃子の映像だけ悪意あって、あのやり口を嫌に感じる人がいるだろうことも理解できる。

しかし、バラエティタレントとして小島瑠璃子は一定の地位を築いているので、あれは「遊び」として観てられた。
(小島瑠璃子ファンの方にとってはつまらない企画だとは思うが…)

相席食堂のパロディとしてやっていたが、企画・構成としては全力!脱力タイムズのような空気を感じた。

2本目:3時のヒロインの記者会見コント

3時のヒロインのツッコミを全面に押し出した企画。
昔あったコント番組だったら、1コントとして成立していただろうもの。

ツッコミは普通に上手いんだけどそれ以上のものはなかった。
あのようなコントは過去のコント番組で散々やられているので、あまり新鮮味を感じなかった。

3本目:「イケメン」いじりの『なるほど、、、ザ・イケメン』

観てられなかった。
観ていて嫌な気にしかならなかった。

「イケメン」と言われている素人をイジるにはやり方が粗すぎる。
素人イジリ自体成立させるのが相当難しいコンテンツだと思っているが、そこに「イケメン」という容姿でイジるのは観ていてキツかった。

女性に使われる「美人すぎる〇〇」はさすがにイジれないから、逃げとして「イケメン〇〇」にしたのだと推測するが、もうちょっと配慮したものにしてほしかった。

4本目:M-1をもじった『ゼロ-1』

大声張り上げる芸人を、「飛沫ゼロ」を目指して声出さずにコント・漫才させたM-1のパロディ。
昔からよくある「芸人の良さを消して笑いを取る」手法だが、M-1のパロディにしたのが良くなかったのかも。
ちょっと期待はずれだった。

5本目:劇団ひとりのフェイクドキュメンタリー

フェイクドキュメンタリーの企画。
ドキュメンタリーのていをした、フィクション。
劇団ひとりがあれくらいできるのはもう周知の事実なはずだし、新鮮味に欠けた。
むしろ、劇団ひとり自身の企画・構成であれ以上のものが作れるだろうな、と思ってしまい期待を超えるまではいかなかった。

番組コンセプトとやってることが矛盾してることに気付いてるか?

全企画の根底にある番組コンセプト。
それは「〇〇って古くない?」というものだった。

このコンセプトが全企画の根底にあるはずなのに、
今の時代もう好かれてない容姿イジりど真ん中の
『なるほど、、、ザ・イケメン』
という企画を持ってきてしまうあたりに、
「そのやり方自体、古くない?」と非肉にも感じてしまった。

「炎上してでも面白いと思うことで企画を作った」
のだと思いたい。

エガちゃんの
「99人に嫌われても1人に好かれれば良い」
という名言がある。
この番組でも出てきた。

「容姿イジりを面白いと思わなくなってる時代になった」
ことを踏まえて、それでも、

「たった1人でも、この企画を好きな人はいるだろう!」
「この企画が面白い!」

と思ってやったのだと信じたい。
ても、それにしても、やり方が粗すぎたと感じた。

「テレビがつまらなくなった」
と言われて久しいが、
「まだまだテレビだってこれだけできるんだぞ!」
ということを見せたかったのだと思うが、ちょっと期待してたものとは違った。

自分の感性が変わったのかな?とても気になる。

自分はバラエティに何を求めているんだろう?
この番組を見て、ちょっと考えてしまった。
もしかして、自分の感性が変わったのか?と。

自分の感性も社会の変化と一緒にアップデートされてきたのだろうか?

容姿イジりで昔から傷ついている人は沢山いると思う。
でも、ダウンタウンやとんねるずやめちゃイケなど、容姿イジりが当たり前にされていた番組の全盛期を観て育ったのも事実。
それを観て爆笑していた。

だが、今の時代、もう容姿イジりは避けられるようになっている。
容姿イジりに限らず
「観ていて不快に思われるようなもの」
は避けられている。

ぺこぱが【傷つけない笑い】としてフィーチャーされてるように、昔のバラエティ番組は
「誰かを傷つけてでも、笑いが優先される」
ものだった。

だが今はそのような番組は減っている。
この変化自体はあって然るべき流れだろう。

「時代の変化とともに昔できてたことがやりにくくなり、コンプライアンスにうるさくなってテレビがつまらなくなった!」
と先入観を持っていたが、
『なるほど、、、ザ・イケメン』
は昔やっていたような容姿イジりをやった。

でも、今回、この企画を観てとても不快に感じた。
先にも書いた通り、やり方が粗すぎたと思う。

でも一番わたしの中で引っかかったのは
「やり方が粗くなければ笑えたか?」
ということ。

もし思春期バリバリだった自分がこの企画を見たとして、楽しく観れたのだろうか?

自分の感性が
「コンプライアンスにうるさくなった社会」
と同じように、アップデートされたのだろうか?

テレビ(特にバラエティ番組)が面白くなくなったのではなく、テレビはもしかしたら昔から変わってないのかもしれない。

そうではなく、自分の求めているものが変わっていて、それにテレビが合わなくなっているのだろうか?

勝手に
「コンプライアンスでうるさくなってテレビがつまらなくなった」
と思いこんでいたが、そうではないのかもしれない。
自分の求めているものが刻々と変化しているのかも。

同世代の人が観て、この番組をどう感じたのかとても興味がある。
自分の感性が変わっていて、他の同世代は笑えて観れたのか。
それとも、わたしと同じように不快に思ったのか。

エガちゃんを久々にテレビで見れる!と思って気軽に観た番組で、とても考えてこんでしまった。

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