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可愛いものには踊らされてしまう

修学旅行で買ってきたぬいぐるみをいまだに大事に持っている。ぽってりした動物のぬいぐるみだ。このぬいぐるみは可愛いので確かに眺めるたびにニヤニヤしてしまうのだが,ある事を思い出して大笑いしてしまうことがある。
何に大笑いしたか。
ぬいぐるみを通じて分かったことにだ。

自分のいた学校では毎年同じ場所へ旅行するのが通例であり,自分もその時は前の年に言った先輩方と同じ場所へ行くことになった。
自分の同級生は先輩からお土産にぬいぐるみをもらっていた。可愛いぬいぐるみが大好きな自分はそれを見てうらやましと思い,それを絶対に入手しようと決意していたのだった。

いざ旅行に行ってみると,やはりあらゆるところでそのぬいぐるみは売られていた。やはり人気があり,かつお土産の定番だったのだろう。入手に困難はなさそうだった。
実際,とある観光施設内でそのぬいぐるみはあっさり買えた。愛くるしい顔とフォルム,そして高すぎない値段。とてもいい買い物をしたとその時は思った。今もそう思っている。
その購入後,施設外にある次の目的地への出発の為の集合場所へ行き,全員集合するのを待っていた時である。見つけてしまったのだ。

同じぬいぐるみが観光施設内のプラス数十円で売られていることに。

まあ見る人が見ればショックなのは当たり前なのだろうが,その時に自分が笑ってしまった。

笑ってしまったのはプラス数十円の分得しからであるだろうといわれそうだし,事実それもある。逆だったらその辺のコメディのネタにできそうだなという理由もある。

だがそれ以上に自分が作り手に「踊らされている」と自覚したからである。
先ほど話した通り自分は可愛いぬいぐるみが大好きである。また,お気に入りの漫画やアーティストの曲,本はついつい買ってしまう習性がある。

自分のような人間はそれらのコンテンツを作った人に踊らされているのである。いわば道化だ。このぬいぐるみを売る人も需要に気づき,手に入れ損ねたが欲しいという人に対しプラス数十円を対価に売るということを思いついたのだろう。そしてそのぬいぐるみの可愛さに惑わされている人が多いことを見抜いていたのだろう。

すべて読まれているのだなあ,と笑ってしまった。
確かにあまりに可愛すぎるのでどうしようか…と迷う人もいただろう。
そして後になって「やっぱり買えばよかったなあ」というときにあの可愛さを見ると買ってしまうのだ。人間の心理をよく読まれている,そう感じる出来事だった。

幸い自分はプラス数十円取られることはなかった。そして今も隣にその時買ったぬいぐるみがいる。たとえプラス数十円払っていたとしても決して無駄金ではなかったのだ。
とはいえ,たいていのものはやはり成るべく低コストで入手するのが一番いいだろう。事前の調査はしっかりとしておく,いい教訓にもなった。

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