祝福の鐘がもたらすもの~シベリウス交響曲第5番の雑感~
5/7,この記事の構想を練り始めた日はブラームスとチャイコフスキーの誕生日だったそうだ。
ここぞといわんばかりに以前書いた記事の宣伝をしたがそこまで伸びなかったのが悔やまれる。
これらを読み返しているうちに,以前から書きたかった曲のレビュー記事の構想がまとまったのでそれを書くことにした。
今回の題材はこれ。
(オスロフィルハーモニー管弦楽団 公式チャンネルより引用)
端的に言うと素朴さと不思議さに満ちた曲である。
この動画を聴いてから読んでいただいてもいいし,読んでから聴いていただいてもいい。どちらでも楽しめる曲なのは間違いない。
事前のお断り
筆者はクラシックの紹介文についてはペーペー素人である。この手の記事では歴史的な批評や芸術史での役割,コードを使った説明などはしている人も多いが,自分のようなド素人にそんな芸当はできない。
この曲にまだ出会っていない人に,この記事をきっかけに楽しんでほしい。それがこの記事の狙いであることはご了承願いたい。
シベリウスって?
シベリウスという作曲家を聞いたことがないという人もいるかもしれないので軽く説明する。
シベリウスさんはフィンランド出身の作曲家であり,自然の風景を題材にすることを好んだようだ。有名な楽曲に「フィンラディア」や「交響曲第2番」がある。ちなみにフィンランディアは10分前後とそこまで長くない楽曲なので,普段クラシック聴かない方でもとっつきやすいはず。
(BBC Music 公式チャンネルより引用)
ゲームのラスボス戦目前から戦い終了までの流れをほうふつとさせる緊張感もある。聴いていて引き込まれるだろう。というか筆者も気に入っている楽曲なので別途記事にしようと画策中だ。
脱線したので話を戻そう。
祝福の鐘
そんなこと言ったって全部聞く暇ないよって方はここだけ!ここだけ聞いて!
ホルンが鳴らす至高の祝福の鐘!前述のオスロフィルハーモニー管弦楽団の動画でいうと23:35より少し前。そこから聴くと,この曲の一番いいところは聴ける。
ぶっちゃけこの鐘を聴くために人類は生まれたのです。異論は認めん(暴論)
…とまあいろいろ言ったが,忙しくて全部聞けないって人もここだけは聴いて頂きたい。本当に世界が変わるので。
全部長調
ここからは雑感と行こう。
今回の題材である交響曲5番はシベリウスの生誕50周年記念の祝賀演奏会で披露するために作曲されたものと資料には書かれている(Wikipedia参照)。数あるシベリウスの交響曲の中で全曲通じて全部長調なのはこれだけだそうだ。
筆者はこれを見て「まあうなずける。」という感想しかなかった。全体的に牧歌的な,のんびりした雰囲気の曲だからだ。
長調というのは俗に言う「明るい音階」。
そのため短調からの切り替えで感動的になることもあるし長調だけで平和な明るい雰囲気を作り出すことができる。
誘われたのち掛け合い,掛け合い
最初のファンファーレはホルン,そのあとフルートが来るのだが森林の中にいるような,おとぎ話の中にいるような出だしが個人的には大好きである。
なんというか本の中に誘われている感覚を覚えてしまう。
曲の出だしというのはその曲の世界観に引き込む必要があるので印象深いことが多い。そしてこの曲に関しては本当に「誘われる感じ」がある。こういうのを音楽理論とかで説明できればQOLは上がるのだろうが世の中そんなにうまくできていない。
しばらく聞いていくとトランペットやらフルートやらホルンの掛け合いが始まり,木管楽器群が掛け合いを始める。
掛け合い多いな。
そして掛け合いが終わったと思ったら弦楽器が少し盛り上がって鎮まる。
周りのクラシックを聴かない人からすると,この盛り上がりそうでブーストしない展開はあんまり好かれないことが多いようだ。(家族が言っていた。)
しかし筆者はまわりの風景に溶けてしまいそうなこの展開が嫌いではない。
静かになった後弦楽器がひたすら刻み,静かになったと思ったら弦楽器や管楽器がまた掛け合いを始める。
いやほんと掛け合い多いな。
そして世界は平和になる
掛け合いの嵐が終わった後,ようやく一致団結して第二のファンファーレに発展し一楽章は終わる。
そしていいのはこの後2楽章の入り。
木管楽器がメインの入りなのだがこれがまた超牧歌的。
そしてこの平和な木管楽器群にさりげなく入ってくるピチカートの弦楽器がより平和レベルを上げている。
これで世界は平和になるよ,多分。
そして世界が平和になったら新しい世界が創造されると相場は決まっている。ゆっくりと立ち止まって新しいお花を見つけ,また立ち止まっては小鳥の鳴き声を聞いて…そんな平和な情景が目に浮かぶ。
いいわーこんな世界行きたいわ。
新しいことが始まるときは波乱があるとこれまた相場が決まっている。交響曲第5番の世界では波乱の始まりはオーボエ。オーボエが新しい波乱を提示したのちにヴァイオリンが不穏なメロディーを奏でてまたオーボエが波乱を提示すると今度は弦楽器が刻みだす。
さあさあ何が始まるんだい?と身を乗り出すと…冒頭で話した祝福の鐘に到達するのだ。
やはり世界は平和になるようにできている。
祝福の鐘の行方
先ほど話した祝福の鐘だが続きはある。
一度落ち着いて世界の平和をかみしめるように様々な楽器が入り乱れて鳴り出す。最後に金管楽器が最高潮に達したところでみんなよかったねと言わんばかりに曲は終わる。
まとめ
終始牧歌的かつ平和に進行する曲なので終わった後の幸福感も気持ちがいいものである。
何か大仕事を終えた後に聞くと達成感が倍増することは間違いないだろう。幸せな気分に浸りたい人にはお勧めの一曲である。
ちなみに筆者は定期的に先ほどの動画を見てしまう。ぶっちゃけこの曲で上がっている動画ではあれが一番おすすめだ。おうちにこもっているけど暇を持て余している方の暇つぶしにはもってこいである。
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