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    トランスジェンダー当事者の YouTuber じゅんじゅんと、バイセクシュアル当事者でライターのマサキチトセが色々なトピックを巡って交換日記を書くマガジンです。

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ニュースレターを始めました(note は更新終了です)

こちらではお久しぶりです。 突然ですが、ニュースレター『queer integrity』を始めます。 (integrity という言葉は、"Adherence to moral and ethical principles"、訳すと、道徳的・倫理的な信念を貫くこと、という意味です。) ツイッターでフォローしてくださってる方々はご存知の通り、ここ数ヶ月、いろいろなことがありました。その結果、だいぶ他人を信用できない状態になっています。 詳しくは近日配信するニュースレターに

    • 【緊急募集】東京トランスマーチであなたの本やzineを委託販売しませんか?

      2022年11月20日(日)、都庁前都民広場〜新宿中央公園で行われる東京トランスマーチにおいて、午前10時〜午後4時のあいだ、ゴール地(新宿中央公園)でスピーチイベントや各ブースの出店が行われます。 この度私マサキが出店ブースのスペース(テントの1/2のサイズ)を確保しましたので、そこでトランスにまつわる zine や書籍を委託販売させてくださる方を募集します。 zine なんて作ったことないよという人も、例えばご自身のブログ記事をいくつか厳選して冊子にまとめれば、zin

      • 社会運動家や評論家は第一希望を必ず言え、と思う

        最近、あるメディアで編集者をしている友人と電話でよく話す。  先日、「根本的にまず〇〇だよね」という原則論と、「でも現実にはこうせざるを得ないよね」という戦略論の、どっちも大事だよね、という話になった。  前者は理想論と呼ばれたり、後者は現実的と形容されたりする。  程度の差はあれど、多くの社会運動家や評論家はどちらかに立場が傾いているものだと思う。私はと言うと、そこそこ原則論寄りだろうなという自覚はある。 戦略論的立場からすれば、原則論は地に足のついていない机上の空論に見

        • ゲイ痴漢に遭った私の類い稀なるボランティア精神

           大学の時、痴漢(?)に遭った。2008年のことだ。  学校のある三鷹から新宿までをボーっとやり過ごし、湘南新宿ラインに乗り換えた直後のことだった。  普段は15両編成のやつに乗るのだが、その日はたまたま良いタイミングの乗り換えがなく、10両編成の高崎行きに乗った。途中の大宮で降りて乗り換えることにしたのだ。  新宿では、いつもの癖で15両編成用の印のところに立っていた。すると列車が私より50メートル以上手前で停まったので、慌てて走って一番手前のドアに入った。  椅子は全

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          🎧ライター志望のマイノリティに知ってほしい8つのこと

           今日も一日お疲れ様です。ライターのマサキチトセです。  マイノリティという立場から物を書く仕事、最近どんどん増えていますよね。私も2015年くらいからお金をもらって文章を書く仕事を時々しています。  私の場合は、自分がバイセクシュアル気味であるとか、ノンバイナリー気味であるとか、そういう背景もあって、性的マイノリティに関する社会問題についての執筆や講演依頼を頂くことが多いです。  皆さんの中には、在日コリアンであるとか、貧困女性であるとか、いろんな立場があると思います。そし

          🎧ライター志望のマイノリティに知ってほしい8つのこと

          スカっとしない方のフェミニズム

           1年前か、それとも2年くらい前か。ツイッターで見つけたのか、Facebook で見つけたのだったか。  看護師が主人公の短い漫画だったと思う。  とある老人が入院していて、その妻が毎日看病に訪れている描写から始まる。夫は身の回りの世話を全て彼女にさせていて、そのくせ彼女への態度は非常に悪い。横暴な物言いで、あれをやれ、これをやれと指示しては、時々癇癪を起こすような男だった。もしかしたら彼女もまた同じ病院に入院していたのだったかもしれない。もうあまりそういった細かい記憶は無い

          スカっとしない方のフェミニズム

          初めてキスしたあいつが死んだ

           私が初めてキスをした男は、火を使って絵を描くアーティストだった。  十代も終わりに差し掛かった頃、好きなミュージシャンの公式ホームページにあった掲示板で仲良くなった。実際に会ってみると、薄く化粧をしていて、今ならそれがそいつのジェンダー表現なのだろうと思うのだけれど、当時は「ビジュアル系の人だ……」としか思わなかった。  男性にしては長めの髪で、不思議な造りの服を着ていた。あとで聞いたら、服は自分で作っているらしい。私の周りにはアートを作る人も服を作る人もいなかったから、都

          初めてキスしたあいつが死んだ

          死者の愛し方を教えてくれ

           昼職で隣県に行った帰り、あまりにも天気が良かったので少し回り道をすることにした。2019年の春のことだった。普段は曲がらない交差点を右に曲がり、山沿いに車を走らせる。しばらく進んでふとナビを見ると、少し先に公園があるらしい。あまり大きくはないが、街の中にあるような小さなものでもない。ダッシュボードの時計を見ると、まだ午後三時半だ。駐車場に入り、エンジンを停め、車を降りた。  持ち物はタバコケースだけにした。スマホを持っていたらどうせ LINE や Twitter を見てしま

          死者の愛し方を教えてくれ

          日米ゴミ分別事情と、新しく買ったタンブラー

           ゴミを出さない生活をしたい。初めてそう思ったのは日本で一人暮らしを始めた時だった。日本ではゴミの分別がとても細かく決められていて、参ったな、やってられないや、と思ったのだった。  アメリカでルームシェアをしていた時は——まあ州にもよるのかもしれないけれど、少なくとも2011年くらいまでのカリフォルニアとイリノイの両州においては——ゴミの分別という概念すら存在しなかった。だいたいどこの通りにもゴミのコンテナがあって、一応リサイクル用のものもあったりするけれど、基本的にはどん

          日米ゴミ分別事情と、新しく買ったタンブラー

          【短い物語】 自慢の娘

           17時のベルが鳴ると、横山ジェニファーはすぐさま手を止めた。それに続くように、工場の端から端まで平行に並んだ3つのベルトコンベアがガタンと音を立てて止まる。横山は作業台のパイプに引っ掛けてあったタオルをつまんで、右手のベタついた指をさっと拭うと、タオルを丁寧に四つ折りにしてパイプに掛け、一目散に組長のところへ歩いて行った。 「くみちょ わたし ざんぎょお にじかん?」 「そう、2時間、大丈夫?」 「ああ そうねえ わたし きょお ちょと はやく かえるの したいね いちじ

          【短い物語】 自慢の娘

          私たちは、大騒ぎすることを自分たちに許さなければならない

           祖母が死んだ。  その日はバレエの日だった。バレエの日というのは、週に一回、知り合いのバレエ教室の先生がやっている大人向けのストレッチ教室に通う日だ。10時に起きて、11時までにスタジオに行く。のそのそとベッドから這い出た10時半ごろ、母親から電話がかかってきた。 「ばあちゃんが起きないんだけど」  まだ寝巻きだった私は急いでコートを引っ掛け、同じマンションの母の家に走った。エレベーターを待っているのももどかしく、階段を駆け降りた。  ドアを開け祖母の部屋に行くと、眠っ

          私たちは、大騒ぎすることを自分たちに許さなければならない

          空腹でもないのに

           先日あるモデルの女の子がインタビューで「体型を維持するコツは」と聞かれ、「お腹が空いてない時は食べないことです」と答えていた。目から鱗だった。そんなこと、考えたこともなかった。  私はその日買ってきたものを全て食べるし、誰かと食事に行けば必ず食べ物を何か注文する。どんなにお腹が空いていなくても、生ハムサラダとフライドポテトくらいは食べられる。コンビニで買ったチーズ鱈も、ビーフジャーキーも、翌日に持ち越したことなどない。  もうお腹いっぱいだな、と思うことはあるけれど、だか

          空腹でもないのに

          【短い物語】 ザ・ムーン・イズ・ビューティフル

           ユウくんがウサギになって一週間が経った。  さっきから座椅子を占有しているユウくんに目をやると、人間だった時と同じ茶毛がふわふわと扇風機の風に揺れている。  最初こそ完全に混乱状態だった俺らも、四日目あたりからは冷静になっていた。冷静、というか、単に混乱していることに疲れただけかもしれない。  月曜から授業が再開するとユウくんは言っていた。オンラインとはいえ、出席は取るだろう。大学というのは、単位を落とすとか出席が足りないとか、そういうことがよくあるらしいから、案外しば

          【短い物語】 ザ・ムーン・イズ・ビューティフル

          【短い物語】 ウェイトリステッド

           久しぶりに寿司を食べようと中嶋さんを誘って回転寿司屋に行くと、車を降りるなりエントランスあたりに待ってる人々が見えて、途端に寿司を食べる気分が失せてしまった。  もう時間的に他の店を探す余裕は無かったから、胸の奥に引っ込んだ寿司の気分をかろうじて手繰り寄せて、ドア横のウェイトリストに〝ナカジマ〟と書いた。  僕はこういうときに連れの名前を書く。  飲食店で待つことを中嶋さんが嫌がるタイプなのかは知らない。僕は嫌がってないようにふるまっているけれど、中嶋さんもそうかもしれな

          【短い物語】 ウェイトリステッド

          【短い物語】 リサと私はベスト・オブ・ベスティー

           リサが私を不安げにチラッと見た。村井さんが変なこと訊くからだ。どうして私とリサが仲良くしてるのかなんて、変なことを。  学食のテーブルを挟んで私らの向かいに座っている村井さんは、全然悪気なんて無さそうに私らの答えを待っている。リサはどうせ答えないだろうから、私が答えることにする。いつものことだ。 「なんとなく、気が合ったんですよね。学部も一緒だし」  そうなんだ、と、つまらなそうに村井さんが言うと、リサが隣でそう、そう、と頷くのが分かった。  リサは別に無口なわけでは

          【短い物語】 リサと私はベスト・オブ・ベスティー

          神社でクィアがレボリューション

           私は、アメリカのどこかの大学のキャンパスを歩いていた。  複雑な細工が無数に施された古い木造の建物がいくつも並んでいる。黒い鉄の門や格子。くすみきった窓々が、夕方のかろうじて沈んでいない陽の光に赤く染まっている。私は数学の教員に会う用事があり、急いでいた。  教員のオフィスがあるのは、キャンパスの東端だった。人文学の建物からは、歩いて20分はかかる。そのあいだにある自然科学の建物、社会科学の建物、図書館にカフェテリアが付いた建物には全て中央にアーチ型の通路があったので、学

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