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#6 人混みを避けてのんびり 神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

 4月中旬、日曜日朝7時。気がつけば日の出が早くなって5時半には外はもう明るくなっている。さて今日は1ヶ月ぶりのお出かけだ。
 江ノ島に住む友人と、江ノ電七里ヶ浜駅で待ち合わせ。千葉からは横須賀線で鎌倉まで行って、乗り換えをして約2時間かかる。iPadを買って以来、乗車時間が長いときは持ち歩いて絵を描いていることが多い。 
 武蔵小杉駅を過ぎると、横須賀線は駅と駅との間隔が遠くなる。電車の速度も上がって、ガタガタと車体の揺れも大きくなった。下を向いて絵を描いていたら、だんだん乗り物酔いになってきたので中断。気持ち悪さと昨晩の寝不足が重なって、すぐに眠りに落ちてしまった。

山の緑がきれいな季節です

 到着した鎌倉駅は、予想通り観光客でいっぱいだった。4両編成しかない江ノ電に乗れるのかヒヤヒヤしたけど、予定通りの時刻に乗車。観光客を見ていると、ほとんど席には座らず窓の大きい先頭車両やドア付近で、夢中になって外の景色を撮影している。
 ふと足元の見ると、懐かしい木材の床。いろいろある江ノ電の車両の中、たまたま年季の入った古い車両に乗ったようだ。窓戸錠がある窓、長い年月で白からベージュへと変色した丸型の手すり。千葉県のローカル線いすみ鉄道の車両を思い出しだ。
 内房の五井駅から外房の大原駅をつなぐいすみ鉄道。環境的には湘南と同じように海と山はあるが、こちらの江ノ電の方が人気がある。それは知名度とブランド力の圧倒力な差なのだ、ということを目の当たりにしていたら駅に着いた。

久しぶりにこんな朝食を食べた〜

七里ヶ浜駅の目的は、パンケーキで有名なお店bills。海が目の前の最高の立地で、朝食のフルコースをいただいた。スムージーから始まり、アサイーヨーグルト、スクランブルエッグ、パンケーキ。いかにも湘南の休日だ。
 その後は行ってみたかった神奈川近代美術館 鎌倉別館へ。途中、せっかくなので鶴岡八幡宮にもお参りへ行った。
 最後に鶴岡八幡宮に来たのはいつだろう?すみずみまできれいにメンテナンスされた境内や、ずらっと並ぶ奉納酒や稲荷神社の鳥居からあらためて立派な神社だと感心した。源平池にかかる太鼓橋が、先月行った三島大社の風景を思い出す。

警備員さんたちの青の制服と、朱色の楼門のコントラスト

 お目当ての神奈川県立近代美術館 鎌倉館は、鎌倉の喧騒を離れた一隅にひっそりとたたずんでいた。美術館目当てでやってくる観光客は少ないようで、こじんまりした館内や併設されているカフェは人がまばら。おかげでゆっくり鑑賞できた。
 展覧会「小金沢健人x佐野繁次郎 ドローイングシネマ」(〜5月6日まで)。佐野繁次郎の温度の高いドローイングが、小金沢健人の現代の感性で編集されて軽やかな印象に。お互いの魅力がさらに際立っている見本のようなコラボレーション作品。
 しかし佐野繁次郎含め、この時代に渡仏した作家が描くパリは、今のキラキラしたはなやかなイメージとはほど遠い。彼らの苦しかった生活が反映されているのか、黒を基調とした重苦しい印象の作品を多く見かける気がする。今パリに留学していたら、どんな絵を描くんだろう。

佐野繁次郎の手がけた装丁。
絵画のほかデザインや文章など、多岐にわたる媒体で活躍していてあこがれる〜!

 美術館の庭では彫刻作品もいくつか展示されている。鎌倉の山に囲まれた野外展示は、開放感も合わさって今の季節に鑑賞するのに最高だ。鎌倉はどこも混雑していると思っていたけれど、ここはのんびり楽しめる数少ない鎌倉の穴場スポットかもしれない…!おすすめ!