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#7 Media Studies)フォノグラフも脳もやってることはよく似てる

フリードリヒ・キットラー著「GRAMMOPHONE FILM TYPEWRITER」
フォノグラフと脳内作用の話。

フォノグラフは音を引き伸ばしたり圧縮したり高くして近づくような聞こえにしたり低くして遠さかるようにしたりと音を変容させることを可能にした。
しかし
これは脳内でも類似の作用が起こるとキットラーは言う。そればかりか,エジソンの大雑把な器械では脳の作用に劣っていたとも。

二項の優劣の話にかかわらず,装置によって脳内の何かが実質的に音というメディアの形態を保ったまま他の人やものに共有可能になったということは間違いない。そこはメディアの性質として面白い。

フォノグラフも脳も,音を保存可能な形式にとどめて様々に変容させられるという点では同じことだとする視点も面白い。
というのも,人間は感覚を感じられるという「感じの世界」をもつことは絶対所与のものだと思っていたそこに,音の扱いという点ではフォノグラフと同じことだったという視点が挿入されて。

つまり,やっていることは同じというところが面白い。

それは音という物理現象と音の感覚そのものとが同じではないと考える人にとっても面白い。それなのにやってることは同じという。少なくとも同じような振る舞いに帰着するような類似性を持った何らかの世界を内的に持っている存在が人間以外に存在するのでは?という面白さ。同じような振る舞いに帰着するという意味で「同じ」。

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