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#10 Media Studies) AIと人が動画メディアに

生成系AIの隆盛とインターネット動画メディア論を繋げて語る回.

Stable diffusion,DALL-E,Midjourneyなど,安く早く高性能に画像生成できるAIが登場してきた.その流れは画像だけに止まらず音声も3Dオブジェクトも,そして動画も,プロンプト次第でなんでもつくれるようになってきている.

シェアはインターネット動画メディアにおける重要な性質である.シェアが営まれるメディアの中で,視聴者と投稿者は融け合う.ユーザはコンテンツを視聴するだけでなく,自ら動画を制作・投稿することもできる「融合的存在」だ.

今,コンピュータは高速な「融合的存在」になってきている.それは,3分の曲をつくるのに音楽家は3分以上必ずかかるが,AIは3分かからないというところに端的に表れている.既に現在,1曲10数秒での聞くに堪える音楽の生成が無料でできる.原理的に,人間による消費をAIによる生産が上回るという事態が実現しているということが重要だ.「AIは速くコンテンツをつくれる.」同時に,AIによる消費は人間による消費より原理的に遥かに高速だということも同じくらい重要だ.AIにとって画像も動画も音声も全ては一律にデータだ.一瞬で読み込め,処理でき,学習できる.「AIは速くコンテンツを消費できる.」

それはどういうことを引き起こすから重要なのか.インターネット動画メディアにおける,作り手と受け手という2つのあり方の融合した人間の,さらにそのあり方が変わるのではないか.従来,動画がシェアされたら.視聴者は検索やタイムラインやレコメンドからのアクセスというプロセスを経て動画を視聴する.そこへ「速く生産」でき「速く消費」できるAIという存在が現れると状況は変わるのではないかということだ.人間やAIはAIにコンテンツを消費させ, コンテンツを消費して取り込んだAIにコンテンツを「つくらせる」.このプロセスはプロンプトに代表されるようなAIと人間を繋ぐインタフェースや,chatGPTといった対話型の巨大言語モデルにより実現する.このプロセスを経て共有が行われるのではないか,つまり人間はAIに「つくらせる」ことでシェアされたものへアクセスする.これは新しい作り手と受け手の融合だ.


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