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【着物】家紋は大事だけれど。ちょっと切なくなった話

着付けを習い始めたのに単衣の着物がない!と言っていたら、思いがけず着物を譲って頂いた話を書きました(こちら)。

頂いた着物には色無地で、一つ紋が入っています。

紋が入っていると、着物の格があがります。関西は公家文化なので生家の家紋を継いでいき、関東は武士の文化なので嫁ぎ先の紋を継いでいくとか、いかないとか。・・・いくか。
ということで、自分の生まれた家の紋であれ、嫁ぎ先(死語・・?)の紋であれ、それはどんな紋なのかが重要です。と、教わりました。

重要なんですけど、ま、気にしなくて良いんじゃないかと思うことがありました。
気にしなくて良いというと、何かを軽んじているように聞こえますが、そうではなくて、気にもできない事情が色々とあるのではないかと思ったのです。
リサイクルが盛んなので気にしていられないということとは別に、先の着物を頂いたときに伺った話からそう思いました。

頂いた着物には、一つ紋が入っています。
それがですね、下さった方曰く、「おそらく本来のものではない」とのことです。

その着物は、下さった方も他の方から受け継いだものだったのですが、そのもとの持ち主のお父上は、早くに家族を亡くしたので、自分の家の紋が何かということについて全く知らなかったそうです。
もとの持ち主(=娘)から「家紋は何?」ときかれたときに、よくわからずに「多分、葵?」と答えたので、そのテキトーな紋が入ることになったとのこと。

何が言いたいのかと申しますと、こういうことってたくさんあるのではないかな、ということです。
何代かさかのぼれば、皆戦争を経験しています。地震などの災害もあります。

歴史と伝統あるお家は別として、家紋が実はよくわからない・曖昧ということはあるのではないかなぁ。
もちろん家紋は大事だと思いますけれども、それを気にしていられなかったお家もあるんじゃないかなぁと思った次第です。

単衣着物を譲って下さった方は、”テキトー葵”家紋話を、完全なる笑い話として教えてくれたのですが、それをきいて、私は勝手にちょっぴりしんみりしたのでした。

ということで、私の手元にめぐってきた着物、そのような由来のある紋がついています。サーモンピンクの素敵な色無地です。
たくさん着たいと思いまーす!


トップ画像の全体像です。
この素敵な留袖は、上の話とは関係ない、メトロポリタン美術館所蔵のものでございます(Kimono, 1800–1941, Japan)。
紋が分かりやすいから使わせてもらいました!

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