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地域包括ケアシステムとは何なのか

地域包括ケアシステムの定義

日本の中で医療・介護・福祉などについて語ると必ず出てくる言葉、それが「地域包括ケアシステム」。
この言葉はなぜこれほど頻回に語られるのでしょうか。

地域包括ケアシステムにはもちろん定義があります。

「ニ​ー​ズ​に​応​じ​た​住​宅​が​提​供​さ​れ​る​こ​と​を​基​本​と​し​た​上​で​、​生​活​上​の​安​全​・​安​心​・​健​康​を​確​保​す​る​た​め​、​医​療​や​介​護​、​予​防​の​み​な​ら​ず​、​福​祉​サ​ー​ビ​ス​を​含​め​た​様​々​な​生​活​支​援​サ​ー​ビ​ス​が​日​常​生​活​の​場​(​日​常​生​活​圏​域​)​で​適​切​に​提​供​で​き​る​よ​う​な​地​域​で​の​体​制」のこと。

「体制」らしいですね。わかるようで、わかりにくいという声もよく聞きます。
その意味を考えてみます。


どんな状態にしたいのか

日本には目指すビジョンがあるのです。それは

「高齢者になっても1人1人の尊厳を保つことを前提として、たとえ重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる」

そんな社会にしよう、というビジョンです。

これを実現させるために、
"地域全体が上手く連携して" + "良いケアを提供できる" + "仕組みをつくろう"
ということです。

ということは、「地域包括ケアシステム」は目的ではなく、ビジョンのための手段であるということです。

ビジョンのなかには「住み慣れた地域」、「自分らしい暮らし」という2つのキーワードがあります。

「住み慣れた地域」とは、その人の日々の活動の基盤となるコミュニティを意味します。

コミュニティとは、最も小さいものは2人以上のひとが集まることで形成されます。
そして、人数や関わり合い方が無数に組み合わされて、地域全体としてのコミュニティを成り立たせています。
そんなコミュニティにあるべき"正解"のような状態はなく、一人ひとりの構成員とコミュニティの関係性はさまざまです。

そんななかでの「自分らしい暮らし」とは、その人が地域のなかで本人の強みや好みに応じた役割を担い、コミュニティに価値を提供し、自らもその過程でやりがいや生きがいなどの「甲斐」を感じて、日々を過ごすということです。その役割などのあり方も多様であってよく、正解などないという考えに基づいています。

つまりこの2つのキーワードを合わせると

「ひとは自分にとって固有の、社会的な役割をもった(ウェルビーイングな)日常を過ごすことがとても重要であり、地域のコミュニティの中で、そういう自分であることを目指す。コミュニティもそういう方々の活動によって日々変化・進化していく」ということです。

そんな活動の連鎖を前提としたときに、自分個人ではどうにもできない事に関して、「住まい・医療・介護・予防・生活支援」など各領域の専門家が公的にサポートをして、本人の望む暮らしの実現を支援しよう、と国は考えたのです。その手段が「地域包括ケア」というサポートシステムなのです。

植木鉢の図

地域包括ケアシステムは「植木鉢の図」として表現されています。これは、ある1人の住民の地域での生活を支える地域包括ケアシステムの要素とその関係性を模式図として示したものです。

「医療・看護」「介護・ リハビリテーション」「保健・福祉」の3枚の葉が、専門職によるサービス提供とし て表現され、その機能を十分に発揮するための前提として、「介護予防・生活支援」や「すまいとすまい方」が基本になるとともに、これらの要素が相互に関係しな がら、包括的に提供されるあり方の重要性を示しています。

地域の中には、暮らすひとの数だけ多数の植木鉢があり、それぞれの植木鉢からは、様々な彩りの花(=その方らしい日常・暮らし)が咲くはずなのです。

植木鉢を埋めている「土」は、一人ひとりへの「介護予防」や、介護保険外の市場サービスから近隣住民の支え合いまでを含む幅広い「生活支援」が担っています。これらの土壌が充実しなければ、「葉」として育つはずの専門職は、本来の専門的業務に集中することができず、専門家としての価値を届けることができません。

結果的に、利用者さんのウェルビーイング(= きれいな花)を生み出せずに、根から枯れてしまうということを意味しています。

また植木鉢を置く「皿」の部分は、これらの全ての活動の基礎として、本人が自己選択・自己決定することが大前提であるという心構えをもつことが強調されています。

地域包括ケアシステムとは、利用者本人のウェルビーイングに溢れた日常という「(まだ見ぬ、キレイな)花」を咲かせるという目的に向かって、これらの要素を1つ1つしっかりと組み合わせて価値の最大化を図るための仕組み(手段)であり、その要素の組合せを地域ごとに最適にマネジメントすることがその地域の未来にとって非常に重要なのです。


参考文献

平成27年度〈地域包括ケア研究会〉地域包括ケアシステム構築に向けた制度及びサービスのあり方に関する研究事業 三菱UFJ・リサーチ&コンサルティング

https://www.murc.jp/uploads/2016/05/koukai_160509_c1.pdf

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