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「学校では丸がもらえない」そんな彼が見つけた新しい表現の場とは?

2019年5月、国内初の施設として石川県加賀市に設置された「コンピュータクラブハウス加賀(以下クラブハウス加賀)」。10代の子どもたちがデジタル技術を使って好きなことに取り組めるコミュニティ施設として、世界中に約100箇所設置されています。国内でのオープンから約半年、これまでに多くの子どもたちが施設を訪れ、その才能を発掘し伸ばしています。また、既存の居場所に違和感を感じる子どもたちの心の拠り所になるなど、多様性のあるコミュニティにもなりつつあります。

今回は、クラブハウス加賀で自分自身の居場所を見つけた、K君親子のストーリーを紹介します。

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▲幼馴染と一緒にクラブハウス加賀で過ごすK君(写真左)

普段の学校生活では自信をなくす日々

K君は、加賀市外から休みのたびに何度もクラブハウス加賀を訪れてくれている小学6年生。クラブハウス加賀に出会う前と比べると、今は自発的に物事に取り組むようになったと、お母さんは言います。

「実は、普段の学校生活では本人も自信をなくすことが多かったんです」

お母さんによると、K君はディスレクシアと呼ばれる、日常生活には何ら問題がないのにもかかわらず、書くことに関しては少し苦手な部分があるそう。

「学校の授業では、漢字の止め跳ね払いなど、ちょっとした間違えで、担任の先生からは丸をもらえない日々が続いたことがありました。きわめつけは校内で開催された漢字検定。校長先生から丸がもらえずに、最後まで教室に残されたのは、本人が自信を失う決定的な瞬間だったと思います。そんな経験も影響してか、あきらめが早い性格になりつつあって、母親としても気になっていたんです。でも本当は表現したいことがいっぱいある子なんです」

そんなことが続けば、たとえ、大人であっても自信をなくしていくであろう。そんな時にK君親子が出会ったのが、コンピュータクラブハウス加賀だったといいます。

「ちょうど地元のテレビを見ていたときに、クラブハウス加賀の開所式の模様がニュースで流れてきたんです。“これだ!”と直観的に感じて、食事の準備をしなくちゃいけなかったのに、準備もそこそこにすぐに調べました(笑)」

早速、クラブハウス加賀を訪れたK君親子。実際にはどうだったのでしょうか。

コンピュータで見つけた自分らしい表現

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「もともとパソコンに興味があったこともあり、最初は、クラブハウス加賀の方々に聞きながら、自宅にあった動作が重くて使っていなかった古いパソコンのプチ改造(Chromebook化)に取り組んでいたようです。最近のお気に入りは、レゴのマインドストーム EV3(レゴとマサチューセッツ工科大学の共同開発のプログラミング教材。レゴブロックで組み立てたロボットをプログミングで自由に制御することができる。)を使って、オリジナルのロボットを作ることのようです」とK君のお母さん。

また、クラブハウス加賀の良さについて、次のように教えてくれました。
クラブハウス加賀では、大人たちから『間違っている!』なんて、言われることもないですし、表現の方法も多種多様。それがすごくKにあっていると感じています。これまでのKは、姉がやることを真似したり、あとをついていくことが多かったんです。でも、クラブハウス加賀と出会ってからは、本人自ら『プログラミング教室に行きたい』と言い出したりして。自発的にものごとに取り組むようになったと思います

クラブハウス加賀と出会ったことで、少しずつ自信を取り戻し、本来の「表現が大好き」な姿に戻りつつあるK君。そんな彼の今後の目標は、プログラミングを使ってロボットを動かすこと。最近では自分のパソコンでタイピング練習をしたり、Scrachを使ったプログラミングにもチャレンジしているそうです。

K君オリジナルのロボットが動く日はそう遠くはなさそうです。

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コンピュータクラブハウス加賀からのお知らせ

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石川県加賀市とNPO法人みんなのコードが運営するコンピュータクラブハウス加賀では、本年度もふるさとの納税を活用し、運営資金を広く募っています。子どもたちが「テクノロジーを通して自己実現する」ためには、まだまだスペックの十分なパソコン機器、アートや動画を探究するのに必要な設備などが整っていません。私たちは、子どもたちの才能の発掘からキャリアまでを描けるよう、最新のデジタル機材とロールモデル(将来の目指す姿)の提示ができる施設を目指しています。ぜひ、返礼品の代わりに未来への投資ができるふるさと納税へのご協力を宜しくお願いします(締め切り:~2020年3月30日)。詳細・応援はこちらから。