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【72】「やり直したいなら今ここで土下座して!」…3週間におよぶ土下座参りがスタート
このお話はセフレだった男女が
結婚するまでの1000日間を
赤裸々に綴った超絶ドロゲス
ノンフィクションエッセイです
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前回までのあらすじ
アラサーにしてセフレの"イケチン"に沼った私は、どうにかこうにか交際まで漕ぎ着けるも、度重なる彼の不誠実な言動に嫌気が差し、自ら別れを選ぶ。その後、条件最高で性格のいいハイスペくんと出会うも、彼のあまりにも残念なセックスに告白を断り、未練を感じていたイケチンと復縁する。しかし、彼の酒癖の悪さが問題となり、再び破局してしまうのだった。
<661日目> 元カレのマンション
その日、私は2週間前に泣きながら座り込んだイケチンの部屋の前に来ていた。
本当はこんな場所に来たくはなかったけど、きっと激しい話し合いになると思ったから、人目につかない場所がベストだと思っての判断だった。
あの日のトラウマがぶり返しそうになりながら、玄関のチャイムを押す。
その日の彼はすぐに扉を開けて、私を中に入れた。
私は椅子に、彼はベッドに座って話を始める。
私「おととい、スーパーの近くであなたを見たよ」
イケチン「あー、あの日…」
私「私たちはお互いに生活圏が被ってて、鉢合うこともあるわけだから、終わり方はきちんとしておきたいと思って来た。あの別れ方は最悪だったと思うから」
イケチン「ごめん…こしきちゃんのおかげで俺はたくさん助かってきたのに、本当に申し訳ないことをしたって思ってる。あのときは自暴自棄になってたし、"もう別れた!"と思って意地になってたけど、時間が経つとやっぱり後悔して…落ち着いたら俺からまた連絡しようと思ってたよ」
話し始めて早々に、彼は謝罪と後悔の念を口にした。
そこで私は、先日の化学流産の件を伝えておくことにした。
私「実は先週、検査薬を使ってあなたの子供を妊娠してないか毎日確認してたんだよね。そしたら多分"受精"してた。検査薬に反応があったから。着床せずそのまま流れてしまったから、化学流産ってやつみたいなんだけど、1人で産んで育てることまで覚悟したよ。私たち、子供ができかけてたんだよ」
それを聴くと、散々心当たりがあるだろう彼は少し涙目になり、自分の無責任さを痛感したのかさらに謝罪してきた。
イケチン「別れ話をした後とは言え、妊娠の可能性もまだある状況であんなことをして本当にごめん。この2週間、毎日こしきちゃんのことを考えてた。俺はまだこしきちゃんに恩返しをしてない。だから許されないかもしれないけど、本音はもう1度やり直したい」
私は涙が止まらなくなった。
なんで今さらそんなことを言うんだろう。
私だってまた一緒に楽しく生きていきたい。
大好きな彼とやり直したい。
でもそのためには、あの最悪の記憶を受け入れて、心に消えない傷を負った状態で、まるごと彼を愛していかないといけないんだ。
そんなのは辛すぎる。
本当は許したい。
でもどうすれば許せるのかが本気で分からない。
私はこんなに怒ったことも、悲しんだことも、人生で1度もなかったから。
私「やり直したいなら、とりあえず今ここで土下座して。この前のことを誠心誠意謝って」
イケチン「え…」
私「口で謝られて許せるようなことじゃない。だから床に頭つけて土下座して。それでも許せないとは思うけど」
プライドの高い彼が土下座なんかするはずがない。
どうせまたワーワーと口達者に反論して、そんなのは本質的な意味がないとか、そこまでしなきゃいけないなら別に良いとか、怒って伝えてくると思った。
でも彼は意外なことに、すぐに部屋の床に正座をして、頭をこすりつけて下手くそな土下座をした。
イケチン「ごめんなさい…」
生まれて初めてそんなことをしたんだろう。
体の大きな彼が、私の足元で背中を丸めて小さくなっている。
その姿にますます涙が出た。
成人男性の土下座って、目の前で見るとかなり心にくるものがある。
だけど…
私「そんなことされても、やっぱり許せないや」
土下座姿で情けないほど平謝りする彼と、許したいのに許せなくて泣く私。
その日は「やっぱり許せないし戻れない」と伝えて、私は自宅に帰るのだった。
翌朝、彼から連絡が届いた。
どうやら彼も彼なりに、どうすれば私に許されるのか、また一緒にいられるのかを模索しているようだった。
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この日、私は自宅マンションの1階ロビーに彼を呼び出し、その場に頭を擦り付けて土下座させ、買って来させた大量のお菓子やアイスを受け取ってすぐ「もう帰っていいよ」と彼に伝えた。
彼はすごく悲しそうな顔をしていて、それでも一生懸命私に謝っていた。
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その日から、彼の土下座参りが始まった。
彼は暇さえあれば私のマンションの下にやってきた。
無視して何十分も待たせたり、来させたあとで「やっぱり会わない」と伝えて帰したこともあった。
彼が外で話したいと言うときは近所の公園へ行き、ベンチに座って話した。
話しているうちにあの日の記憶がぶり返し、私が大爆発を起こすと、彼は汚い地面に手をついて土下座した。
彼は私が泣く度に何度も謝罪し、たとえどんな場所でも体を丸めて小さくなって、地面に伏して私に許しを請いた。
その姿が情けなくて可哀想で、私はいつもさらに泣いた。
どうしてそこまでするんだろう、いっそのこと他に行ってくれればもうお互いこんなに苦しまなくて済むのに…と思いながらも、私は毎日続く彼の謝罪と土下座を見続けていた。
そんな生活が3週間も続いた頃。
私はまだ完全に許すことはできていなかったけれど、次第に彼の誠意や本気度のようなものは感じられるようになっていて、「彼を許して付き合っていく」という未来の切れ端が見えるようになっていた。
文字で書くと大したことないように思えるけど、怒ってる人間のもとに3週間毎日通って謝り続けるのって、かなり労力が要ることだからね。
それでもまだ自分から「復縁してカップルに戻ろう」とは言えず、彼にもそれを伝えていたので、私たちは3度目のセフレ状態になっていた。
そんなある日、私と彼は久しぶりに夜の街へ飲みに出ることになる。
そしてその夜、2人の関係を変える出来事が起こるのだった。
土下座パワーで関係修復
この連載は、私が夫と出会ってから夫婦になるまでの1000日間を綴ったドロゲス生モノ婚活エッセイです。スキ・引用・拡散・コメントどんどんお待ちしてます♡
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メンバーシップでは書き下ろしの裏話や番外編も公開予定!
▼ 曖昧な関係から逆転する戦略集
-【73】へつづく -
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