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【46】 私には何もない。泣きながら夜の街を徘徊した末に行き着いた場所は…

このお話はセフレだった男女が
結婚するまでの1000日間

赤裸々に綴った超絶ドロゲス
ノンフィクションエッセイです

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前回までのあらすじ

アラサーにしてセフレの"イケチン"に沼った私は、どうにかこうにか交際まで漕ぎ着けるも、度重なる彼の不誠実な言動に嫌気が差し、自ら別れを選ぶ。
するとその1ヶ月半後、条件最高で性格のいいハイスペくんと出会ったことで、運命の歯車(婚活部門)が回り出す。
しかし彼のあまりにも残念なセックスに交際を躊躇し、迷いながらデートを重ねていたある日、元カレのイケチンから「彼女ができた」という報告が。
その結果、自分の中の未練に気付き、ハイスペくんからの告白を断るのだった。



<518日目> 新年会

早い時間帯から始まった新年会は、二次会を終えてもまだ22時過ぎで、普段 野生の婚活(いわゆる男ハンティング)で朝5時頃まで街中いる私にとってはまだまだ昼間のような時間帯だった。

なので私は「よし!これからもっと飲んで語るぞ!」と意気込んで、さっき「まだ元カノに未練がある」と語っていた未練男くんに声を掛けた。

私「三次会、行くよね!」

未練男「うーん…いや、もう今日は遅いからな…」

私「えっ」

他のメンバー「明日仕事だし、俺も帰ります〜」

私「えっ」

実はこの新年会は日曜日の夜に開催されていて、一般的な生活スタイルを送っている男女にとっては翌日も仕事なので、「まだ22時」ではなく「もう22時」だった。

そうだった、私のように曜日関係なく夜行性の生活を送っている人間は、そうたくさん居ないんだ。

同じく夜型のイケチンとずっと一緒にいたから、勘違いしてしまっていた。

長年 婚活仲間だった女の子たちにも彼氏ができて、最近はもう"1人でバーに行く"くらいしか暇を潰す方法が思いつかなくなってしまっていた私は、新年会の参加者たちが次々と帰っていく背中を眺めて1人沈んでいた。


いやいや、でも私にはまだバーがあるし!
あの店で1人で飲んで、マスターに話を聴いてもらおう!

そう思ってお店へ向かうと、扉の前には"臨時休業"の張り紙が貼られていた。

その張り紙を見た瞬間、ずっとこらえていた涙が溢れ出してしまった。

そのバーは1年前のセフレ時代にイケチンから教えてもらった、彼の行きつけの店だった。


どうして私はアラサーになってもまだ街を彷徨っているんだろう。

もうとっくに結婚して、子供がいて、親に孫を見せて、マイホームでゆっくり過ごしてる年齢じゃん。

それなのに1人で「まだまだ飲もうよ!」とか言って、みんなに背中を向けて帰られて…

このままずっと1人なのかな。


私には何もない。

みんなが順当に得ているものを何ひとつ持っていない。

信頼できる夫とか、可愛い可愛い我が子とか、安定した生活とか、かけがえのない家庭とか、帰るべき場所とか。


私には何もない。
誰のためにも生きていない。
大切なものが手の中にない。
若い頃はそれでよかったのに…


こうして夜を這いずり回るのはもう疲れた。

私にも大切なものが欲しい。
帰る場所が欲しい。

すべてを賭けて守りたいと思える存在が。


行くあての無くなった私は、1人泣きながら夜の街を徘徊した。

多分、完全に不審者だったと思う。

それなりに着飾った女が1人泣きながら繁華街を歩いているというのに、誰1人として声を掛けて来なかった。

このタイミングでナンパをされていたら、どんなブサイクでもオジサンでも一緒に飲みに行っていただろうに…


気がつくと、繁華街の裏道にある小さな神社に足を踏み入れていた。

そこはおそらくこの街で飲み歩く人間の99.9 %が知らない場所で、ビルとビルの隙間にある幅50cmほどの狭い路地を進んだ先にひっそりと鎮座している6畳ほどの小さな神社だった。

街灯がないのはもちろん、いくつかのビルに挟まれていて街の明かりも一切入ってこないので、かなり不気味で誰も近づかないらしい。

私はある日の帰り道に偶然その場所を見つけて、これまで何度か1人で訪れていたんだけど、神社はもちろんその路地の中ですら1度も人に遭遇したことがなかった。

そんな穴場の神に私がいつも願うのは、「これからいい出会いがありますように」といったふわっとした恋愛祈願。

でもこの日、泣きながら駆け込んだこの神社で、私はハッキリ口に出してこう願った。


「イケチンと復縁したいです」


いつの間にかパラパラと雨が降り始めていた。

街灯のひとつもない夜の神社で泣きながら必死で祈る私の姿は、ほとんど妖怪に近かったと思う。

真っ暗なその場所で手を合わせて、頭を下げたまま5分以上立ち尽くしていた。

こんなに強く何かを願ったことは無い。

どれだけ祈っても涙が止まらなかった。


もはや祈りではなく呪いに近かったと思う


気付くと雨は強まっていて、私は顔を上げてフラフラとその神社を後にした。

そしてほとんど無意識に、ある場所を目指して歩き始めていた。


後から分かったけどこの神社、
商売繁盛の神だった…

神「俺に願われても(笑)」


この連載は、私が夫と出会ってから夫婦になるまでの1000日間を綴ったドロゲス生モノ婚活エッセイです。

あまりに生々しい内容のため、公開して3日が過ぎた記事はメンバーシップに格納するので、最後まで無料で読みたい人は記事が公開されて3日以内に読むようにしてね!(このスタイルも近日中に変わる可能性あり…!)

▼ 商売繁盛の神に縋るよりは占いに行こう

-【47】へつづく -

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