#10【日本の安保理常任理事国入り】

『コロナ後の世界には』何があってほしくて、どうすれば皆が楽しく暮らせるのか、一つずつ自分の望みを書いていきたいと思います。現状の固定。

インド、南アフリカ、ブラジル、インドネシアやベトナムなど、発展著しい国々は、今にも先進諸国を追い越そうとする勢いであり、生活水準もGDPも何もかも、2050年とかそういった未来予測では我が国日本は圧倒的に差を付けられている可能性が濃厚だ。

もちろん、悲観ばかりして希望を失ってしまっても仕方ない。我が国は我が国として、課題先進国なる地位を活かし、少子高齢化を始め、コンパクトシティ化、IoT化、価値尺度の変革、職業意識の転換などなど挑戦を続けていくことで捲土重来を果たすことだって十分あり得る。

しかし、同時に今、このコロナ禍が収束したタイミングで、直ぐにでも手を着けなければならないことがある。それが「日本の安保理常任理事国入り」である。国際連合の最も権威ある理事会、安全保障理事会、15か国の理事国で構成される本会議体は世界の平和と安定に主要な責任を負う。その中でも、5か国の常任理事国は「拒否権」を持ち、1か国でも反対をすれば安保理としての決議は採択されない。

実質的に、常任理事国5か国は世界の平和と安定にほぼ全面的な責任を持ち、彼らの行動が紛争地の市民を天国にも地獄にも導きうる。5か国には第二次世界大戦の主要戦勝国が爾来70年以上も留まり続け、その特権的地位は公式に認められた核保有国としても、正に世界に君臨するビッグブラザーのようになっている。

一つ導き出せる示唆としては、組織及び国際社会においては、ある決定をした時点での勢力関係が、特段の事情が無い限り長年にわたって継続するということであろう。戦後しばらくして当該5か国を上回るような経済成長をした日本やドイツ、高福祉と先駆的な価値倫理が尊敬されるようになった北欧諸国、活力あふれる交易拠点となったシンガポールやインドなど、世界の安全保障に指導的地位を占める資格のある国々はあれから多く現れた。それにもかかわらず、全くと言っていいほど安保理は変革されず、今や拒否権を原因となって実質的行動を取ることが出来ない、「機能不全」と呼ばれる状態になって久しい。

権力は腐敗するものであり、任期もない”常任”の理事国を作ってしまったことがそもそもの間違いである。上位と下位の理事国を擁する二層制を維持することに異論はないが、有期の構成員資格を前提にすることも真剣に議論するべきであろう。そうでなければ、昨今の激動する国際情勢においてはすぐにでも時代遅れとなってしまう。
日本・インド・ドイツ・ブラジルのG4は安保理改革を目指す同志として、主に常任理事国入りを目指して活動しているが、今一歩踏み込んだ活動を期待するとともに、時には現常任5か国にその座を降りてもらうことも含めた強い主張を展開してもらいたい。古来から、権力の座に安住する者には決して良い結末は訪れないものである。このまま安保理の機能不全が続くことは世界の暗い先行きを意味するであろう。

そして我が国日本にとっては、今このタイミングで改革を実現して名誉ある地位を占めることが出来ないのであれば、これから冒頭に触れた多くの発展国が台頭するなかで、二度とチャンスがやって来ないことが容易に推測できてしまう。第二次世界大戦後と同じ轍を踏むことを必ずしも称揚する訳ではないが、あえて過去から教訓を得ようとするならば、どこかで安保理改革を目指すのであれば、それは正に我が国にとっては、今、できるだけ早くやるしかないのである。政府の素早い対応が望まれる。

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