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彼女が教えてくれた希望

大学生の頃、私は東南アジアのある国でボランティア活動をしていた。観光地として美しい場所であったが、都市部を離れると貧困が広がる地域であった。子供たちが学校に通えない、日々の食事さえままならないという現実に直面し、何もできない無力感に苛まれていた。

ある日、私は現地の小さな村を訪れ、マリアという名の少女に出会った。彼女はまだ10歳にも満たない年齢であったが、家族を支えるために毎日市場で果物を売っていた。彼女は学校に通いたいという夢を持ち、手持ちの古びた教科書を見せてくれた。それは彼女が独学で勉強を続けるための唯一の希望の象徴であった。

私はマリアと一緒に市場での仕事を手伝いながら、彼女の夢を聞いた。彼女は「いつか先生になって、他の子供たちが学校に通えるように手助けをしたい」と語った。その言葉に胸を打たれ、貧困の中でも夢を持ち続ける彼女の強さに感動した。私も何かできることがあると感じ、行動を決意した。

日本に戻ってから、私は知人にマリアの話を伝え、彼女の夢を支援するための募金活動を始めた。その結果、少しずつではあるが、彼女の村に小さな学校を建てるための資金が集まった。私たちの活動は小さな波紋となって広がり、村全体が学校の建設に協力するようになった。

この経験から学んだのは、私たち一人ひとりができる小さな行動が、社会に大きな影響を与える可能性があるということである。貧困問題の解決に向けて、寄付や支援団体への参加、現地の手工芸品の購入など、私たちができることはたくさんある。貧困問題は遠い世界の話に思えるかもしれないが、共感を持つことが大切である。他人の苦しみを理解し、支援する意欲が生まれることで、共感の輪が広がり、行動の原動力となる。

マリアとの出会いは、私にとって貧困問題への取り組みの原点となった。彼女の強い意志と夢が、私たち一人ひとりの小さな行動が大きな変化をもたらす可能性を教えてくれた。貧困の撲滅は一朝一夕には成し遂げられないが、彼女のような子供たちの未来を守るため、私たちは今、何をすべきかを考え続ける必要がある。

私がマリアから学んだのは、希望を持ち続ける力である。そして、その希望を支えるために私たちができる小さな一歩が、未来の貧困撲滅への道を照らす灯となるのである。

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