見出し画像

★葦原 桜生視点

【葦原 桜生視点】

 久しぶりに高天原から電話があったその夜、いつもより2時間早く仕事を切り上げ家に帰った。
 家にはお手伝いさんと秋人がお風呂に入っている所だった。
 お手伝いさんと言っても、ちゃんとした家政婦派遣のサービス会社から来てもらってるのだが、年配の方を限定で雇っている。
 若い女性だと、子供に暴力を奮うとかあると言う例が何件かあったので、後雇い主に色仕掛けをしてくるなんて野蛮な奴もいるから。結婚していて尚且つ子供が好きで年配の方限定で俺は雇っているのでなんの心配もしていないのだが。そろそろホントにどうにかしないとなとは思っている所だ。

 インターホンを押すと、バタバタバタっと音がして、「パパおかえりなさーい」と言うお出迎えでやっと秋人が起きてる時間に帰ってこれたと少し嬉しくもなった。
 「今日はどうしたの?僕が起きてくる頃に帰ってくるなんて。」
 「今日は秋人に楽しいお知らせがあってきたんだよ」と言えば「えぇ~なぁに?」と
 「その前にお手伝いさんにちょっとお話してくるから待っててくれるかい?」と聞けば「うん!」って大きな声で、ついニヤついてしまった。
 「すいません。土日お休みでお願いしてもいいですか?」と言えば「土日お出かけですか?」とそして解りました。それではまた月曜日から来ますねと言って帰って行ったのだ。

 「秋人お待たせ。土日にお出かけするぞ!」と言えば「どこどこ~」ってかわいいなぁったく。
 「父さんの同級生で高天原って居る話は前したよな。そいつから昼に電話が来て、土日に泊りで遊びに来ないか?ってお誘いが来たんだ。しかも秋人、あそこの家には秋人と同じ年の子が居るんだ。同じ幼稚園に通う予定だからって言ってた。」
 「ご飯のついでに友達にって事かな?」
 「子供らしくないと言えば聞こえが悪いがそういう事だ。だがあの家も何かぶっ飛んでるから覚悟していかないとな」
 「僕ら以上にぶっ飛んでるの?」と言う問いかけに
 俺は「あぁ…」としか返せなかった。
 「あの家の連中は、ぶっ飛んでないとおかしい」と言うつぶやきに秋人の頭の上には?がいっぱいだっただろう。

 そう、土曜日になればその呟きの真意が明らかになるのだから、秋人は少し楽しみになってそのままのワクワク感いっぱいの状態で寝ることになった。
 勿論ワクワクしすぎて寝る時間が深夜2時を越えてからになってしまったのは仕方がないと言えよう。
 待ちに待った土曜日、前日に阿須波に電話して泊りでホントに良いのか確認の電話をしてしまったくらいに我々二人は楽しみにしていたようで(笑)
 泊りの道具を少しだけ持って遊びに行く事にした。
 同じ区に居ても南側と北側だからそれなりに離れている。
 車で走る事数分で着く距離だが、秋人は終始楽しみだと言っていた。

 同い年の子が家に居る環境で楽しくないはずがない。そして俺のこの間の呟き「ぶっ飛んだ奴らだ」これの真意も今日明らかになる。
 家は戸建ての大きな豪邸だ。豪邸と呼ぶに相応しい佇まいだ。
 真っ白な壁と紺色の壁の二世帯住宅かと思わせるくらい大きいのだ。しかも今は弟の暁くんが一緒に住んでるとも言っていたが、玄関は2つあり、息子たちは両方の家を行ったり来たり出来るように2階の廊下で二つの家を繋いでいるそうだ。
 ちょっと変わった形の家だが、流石である。
 家のデザインから建設まですべて高天原でやったものだろう。彼の家はそういう仕事をしているから尚の事。

 呆けていると、玄関から白夜君と思われる子が出てきて 「いらっしゃいませ。葦原さん親子ですね」と「はい。君は白夜くんかな?」その問いに「はい。僕を知ってるのですか?父と母が中でお待ちです。どうぞ」と我々親子を招き入れてくれた。
 中に入ると、阿須波が「いつまで外で呆けてるつもりだった?」の問いに見られていたことに恥ずかしくなったのは言うまでもない。
 だが「いらっしゃい。ようこそ高天原家へ」と歓迎された。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?