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赤銀のトリスタンについて

概要

 この記事では『Colorful OneRoom 2期』で登録したEno.257 赤銀のトリスタンについて、詳細な設定を記していく記事となります。話があちこち脱線するかもしれませんのでのんびりだらだらとお読みください。

参加のきっかけ

 もともと2期は世界観とかがほぼそのままだと開催告知を聞いたときには言われていましたので、参加するかはどうかは半々ぐらいの気持ちでいました。なぜなら前回参加した折に予想外の大恋愛をしてしまった末に、終わり方としてアフターストーリーを書いてしまうぐらいに思い入れのあるビターエンドを迎えていたから。
 ですので、次に参加しても前回以上の物語は起こらないだろうと考えていましたし、ゲームシステムはほぼ変わらないので、新鮮味はあまりありません。もちろん変更点はありましたしその部分で楽しめたのは事実ですが、それは開催後のあとの話。開催前はその部分はわかってませんでしたので、どうしようかなとふらふらとした気持ちに。
 ところが、以前からの知り合いである紫檀さん(@shitan_k)にイラストを描いていただく機会がありお願いした結果、描いていただいたキャラクターを見た瞬間にインスピレーションが湧いてきて、このキャラを動かしてみたいという思いが沸いたところで、じゃあ2期に参加してみようとなったのです。ですので今回はテーラの心の世界に合わせた設定をしたわけではなく、元々のキャラクターイラストありきで始まった設定ということになります。

描いていただいたキャラクターイラスト

 もうね、見た瞬間にドカッコイイ〜ってなったうえに、リクエストは「悪そうな男」としかお願いしておらず見た目の容姿は一切、そう一切お願いしていないにも関わらず私の好きなキャラであるFGOのトリスタンと同じ赤髪金瞳じゃないですか!って思わず紫檀さんに脳みそを覗かれている!?と疑ったぐらいです。ええ、バカですね。それぐらいに興奮していたとお考えください。

登録初期の設定

 名前に関してはこのイラストをいただいた時点で「トリスタン」でいこうと決めていました。なんせ大好きなキャラと同じ容姿であるなら、同じ名前でいかない手はないなと思いましたので。ただ、そのまま「トリスタン」と名乗るのは少々味気がないなと思ったので初期は「赤毛のトリスタン」と名乗らせようと考えていましたが、もともとトリスタン自体が赤毛なのであまり意味がないと思い直し、試行錯誤した上で「赤銀のトリスタン」と名が決まりました。これはイラストでトリスタンが銃をもっているところからヒントを得て、銀の銃を使う赤い髪の男、というとこから「赤銀」を想起して二つ名のようにして名乗らせようと決めた経緯があります。
 口調については「私(わたし)」を一人称として、正確は穏やかかつ微笑みをたたえて紳士的に話す人物と決めており、時折口調が砕けて地を見せることがある感じ。
 なおイラストをいただいたのは開催より数ヶ月前でしたので、初期設定を実際に決め始めたのは開催数週間前ぐらいになります。そして今回はキャラクターの背景となる設定を詰めて動かしてみたい欲求に駆られたので、前回とは異なりがっつりめに設定を決めてみました。以下が初期設定を箇条書きにしたものとなります、なお長いです。

・異世界に招かれた者でありメモリーホルダーの転生者
・現世で危機に遭ったとき、水鏡の王女に水鏡を通じて助けられた。
 その後、異界の知識と異なる見識をもった人物として王女側仕えとなる。
 異界の言語を学び、その習俗も取り入れたことで宮廷内でも注目を浴びた結果、
 王宮の相談役として多くの人物との関係を結ぶこととなった。
・水鏡の王女はのちに女王として即位し、騎士団団長でもあった男性と婚約。
 しかして数年後、王国から共和国へと体勢移行することを宣言し、
 男性との婚約が破棄される。
 その後、騎士団長の男性はこれはおかしいと真っ向から断じ、
 今後の世情を鑑みてもまだ王家は必要であり
 ここで民衆の拠り所を失わせてはいけないと反論。
・相談役であった彼は女王のそばに佇み、どちらの言い分もわかるかのように表情を
 しかめるのみ。
・かねてより王女は孤児院などに寄付をして都市な街、果ては辺境の村にまで視察を
 しては、そこで見かける孤児たちを手厚く保護する人物であった。
・これも国が豊かでないためであり、孤児がそのまま育てばいずれ国にとって諍いを
 呼ぶ種にもなると知っていた。
 ゆえに王女は孤児を進んで保護しては教育を施し、しかるのち王女の後ろ盾ととも
 に斡旋を行っていた。
 しかしこれは孤児だけではなく家が貧しいために働かざる得ない子らがいれば、
 分け隔てることもなく勉学を教えては背中を後押しする部分もある。
 これだけを聞けば慈悲深い人物のようにも聞こえるものの、王宮内部では経済に
 関しては厳しく、王宮における予算や支出などの厳しい管理はこの王女から
 始まったと言われている。それも側仕えをしていた人物の入れ知恵だと言われるが、
 確証はどこにもない。
・経済の流れや交渉ごとにも長けた女王であったため、商工会などの頭領たちは女王を
 頼りにして国を盛り上げてもいた。
 そして王族による中央集権体勢に一番疑問を抱いていたのもまた女王であったのだ。
・共和国宣言から数年後、反対派とは幾度も話し合いが行われ、ときには過激なやり方なども双方起きたが、最終的には反対派とも和解がなされ全会一致のもと王族による政治体勢から、民衆参加型の共和国制へと移行がなされた。
・この共和国制への移行に従い、女王は自らの子を残さぬことを宣言、これは後の世へ遺恨や争いの火種を残さぬためであり、この国が王族のものでなく本当の意味で民のものとなるために必要なことだと説いたという。
・女王を慕っていた多くの民は嘆き、そして悲しんだという。なぜ女王が犠牲にならねばいけないのかと。女王もまた国の民であるならば、ひとりの当たり前の幸福は得て然るべきだと。
・女王の側仕えをしていた彼もまた、同じ意見であった。長年王宮に仕えていた彼にとって騎士団長は親友とも呼べるべき相手であり、その彼ともう一度結婚し家庭を築けばいいと諭したほどであった。
・だが女王はいう「私のこどもは民の子らです。未来を担う子らが育つことが一番の幸せ、それに自ら産まずとも子は得られます」そう笑いかけたのち女王は自らの王位を廃したのちは、個人の資産によって建てた孤児院を経営。
 共にあった側仕えの彼もまた孤児院の経営を手伝い、身寄りのない子供らを迎え入れては教育し、子らが幸福であり、より国が豊かとなるよう願い信じてこの世を去っていったと言われる。

  さらにここへトリスタンと名乗った彼の前世設定をどん!

彼こと渡り人と称された彼の詳細は多くが不明である。
彼もまた女王と同じく伴侶を得ることなくこの世を去ったと言われるが、
おそらく彼が本当に愛していたのは女王だったのではないかと噂されている。

しかし彼の物語はここで終わりではない。
彼はこの後も何度もこの世界で生まれ変わり、最初の人生の記憶だけを保持したまま生きていく。
厳密にははっきりと記憶しているのは最初に招かれたときの人生だけであり、その後の人生においては朧げである。
同時に彼はまた予感した、自分だけでなく女王もまたどこかで記憶を保持して生きているのではないかと。
その理由は彼の手元にあった。

かつてこの世界へと招かれる以前にいた現世、そこで彼はひとつの古びた小さな鏡を祖父の遺産としてもらいうけていた。
特に謂れなどがあるものではなかったが、祖父の遺産のなかでふと目に止まった、程度のもの。
だが、これを手にしたことが彼を世界を渡らせることへのきっかけになったとも言えたのだ。

のちに水鏡の王女は彼のもっていた小さな鏡が、かつてこの世界に存在していたものだと伝える。
なぜならば鏡に掘り込まれた紋様だけでなく、仕込まれた擦り鏡の仕掛けによって、
どうしてか水鏡の国の人々を思う誰かの文章が浮かび上がったからだ。

それからというもの、この小さな鏡は彼にとっての宝物であり、
また水鏡の女王との縁を結んだ大事なものでもあった。
その宝物は彼の死後、共に埋葬されたと言う。

その後、彼が亡くなってから何十年もすぎたころ、一人の赤子が生まれる。
その手に、古く小さな鏡を握って。

そう、彼はかつてこの世界にいた人物が何かのきっかけで現世へと渡り、
そして転生を重ねたのちに条件が揃ったことで帰還した人物なのであった。
だがあまりにも長い時と、鏡が手元から離れてしまったことで記憶の保持は失われていた。

しかして、鏡は手元に戻り、再びこの世界へと帰還したことで本来の役目を取り戻し、
主人たる彼の記憶を保持し続けるようになったのだ。

そうして彼はメモリーホルダーの役割をその身に得て、
この世界で生きていくこととなった。
同じ鏡をもって生きているであろう、水鏡の王女との再会を信じて。

この世界にいたかつての彼は一人の女性と愛し合い結ばれた王族であった。
しかし、侵略か反乱かは不明なれど王宮へと攻めてきたものたちによって危機が訪れ、
彼を逃すために最愛の女性が水鏡を通じて避難させたと言われる。

彼は誓った、必ずまたこの世界へと帰ると。
たとえどれほどの時間が経とうとも、そう誓って自らもっていた水鏡のひとつである、
小さな鏡に記憶保持の呪を掛けていたのだった。

だがそれも長い年月とともに失うこととなり、
彼自身もすっかり忘れてしまっていたゆえの出来事だったのだ。

彼が”赤毛のトリスタン”とどの人生においても名乗っているのは、
かつて王女と話していた際、彼女がアーサー王伝説を好み、そのなかでもトリスタン伝説を好んだからだ。
そして、その伝説を知っているのは、この世界において彼と王女だけなのである。

Q:つまり?
A:トリスタンと名乗った渡り人は、前世が水鏡の王家の人間であり、異世界へと渡ったのちに転生を繰り返して元の世界へと帰還するのが目的だった。なので彼はもともと水鏡の国の住人であった。

 この辺の設定を詰めていたとき「なろう主人公名乗れるぐらいに設定山盛りだな〜」なんて苦笑してました。それはともかく、トリスタンが最初に過ごした背景設定は初期設定からそこまでは変わらないものでして、いくつかロールプレイで出てこなかった部分や開示されていない情報などがのっております。特に水鏡の女王については断片的にしか情報を開示しておりませんでしたので、彼女がどのような人物であったかを知ることができると思います。
 トリスタンの前世については触れることがなかった(トリスタン本人が知らないため)ので、お蔵入りの設定となっていましたが彼がなぜ水鏡の国へと招かれるに至ったか、そこについての説得力をもたせるためでもあったので出番はなくとも必要な設定ではありました。

変遷していく設定

  初期設定をここまで決めてはいましたが、やはりそこは変化していくのがロールプレイというもの。実際に動かしていくとあれこれ抜けというか、この設定があったほうがロールプレイに説得力が出るだろうと思って、追加した部分がいくつかありました。それがこちら。

・銀の銃が変形して銀の琴となる。
・紅茶の淹れ方や琴の弾き方、礼儀作法については師の教え
・王宮で女王のそばで働けていたのは師匠である先王のおかげ
・何度も転生して旅をしているので家事などに通じてる

 ほかにもいくつか追加した設定などはありますが大きなものは上記となります。このなかで一番影響があったのはやはり師匠の部分かと。初期設定だと欠片も存在しない人物なのですが、トリスタンが今に至るまでの過程でどうやって礼儀作法やらを身につけたかを考えると、いないと不自然だなと。むしろ、異世界からやってきた一般人がどうやって見知らぬ王宮の生活に対応できたのかって考えると、礼儀作法に詳しい人物が指導したことでできるようになったとしたほうが自然であると。じゃあ、誰が指導したのかって想像を働かせたときに浮かんだのが先代の王様。
 すでに王位を退いて政治などは息子に任せており、本人は自由気ままに生活を楽しんでるところ、なんか孫がいきなり身元不明の男を連れてきたと。けどこいつの考え方なんか見どころあるし使えそうやん!って思って弟子扱いとしたことで周りの目からも守られるし、なんならでかい後ろ盾がついたので不自由なく生活ができることに。
 だがしかし、孫の悪い虫になったら困るので精神的に去勢させとくわ!ってことで王家がいかにアレなソレで、どこぞの馬の骨ともしれんやつが懸想したら後が怖いかんな?って脅しに脅しこんでトリスタンの心は完全に折られていました。
 この辺りの先王の思惑、孫である女王の思惑については今回まさかの恋人となったEno.130 ユキヒラさんにんだけ開示されている情報なので、外部からやりとりを追いかけていた人々にはわからなかった部分かと思います。

 先王についてはあまりそこまで設定を考えてなかったのですが、ロールプレイをしていくうちに以下のような形に。

・国に並ぶ者なしと言われるほどの強者であり英雄と謳われた人物。
・多彩な才能をもっており万事に通じる知識も備えていた。
・豪快な性格をしており王宮の窮屈さに嫌気がさして早くに退位した。
・王位を退いてからは各地を旅していた。
・見た目のイメージは短髪で髭をたくわえた偉丈夫、扱う得物は大剣。
・人を見る目に優れており洞察力にも長けている。

 どこの完璧超人やねんってぐらいに盛られに盛られた人間になってしまったもよう。なお息子のほうは病弱であったので武勇はからきしだったものの、賢さにおいては他に勝るものなしと言われており、先王もそれを見越して早めに退位したという設定になりました。各地を旅していたのも実際は敵情視察が目的であり、各国へと忍び込ませた諜報部隊と接触しては水鏡の国に脅威がないかどうかを独自に探ってもいました。のちにこれらの諜報網はトリスタンに受け継がれることとなり、実質先王の代わりとして諜報部隊を率いて国内外の情勢を把握してはその調整に奔走するという羽目になります。
 そのためトリスタンは先王から礼儀作法だけでなく、敵国での情報収集として吟遊詩人の真似事をするよう教え込まれた経緯があります。ゆえに訓練の結果、琴を弾けるようになり詩人ならば人の話を聞くのも警戒されないということで、酒場などを転々としては情報収集に務めていたわけ。なのでトリスタン自身も人を見る目や洞察力に長けるようになり、ロールプレイの際にもそういった部分を会話や描写などで見せていくこととなりました。
 ちなみに先王の消息は不明です。彼は息子が病床に伏せった際にトリスタンとともに帰国したあと、息子の葬儀などを取り仕切ったのち数年は政治などを代理として執り行い、のちに新たに即位した水鏡の女王に王権を譲渡。その後は自らの後継としてトリスタンを指名し、王宮内部に認めさせたのち出奔。そのまま行方不明となっております。

 もうひとり設定上における人物としては騎士団長がいました。こちらはトリスタンの友人であり王宮において唯一心を許せる相手でもありました。騎士団長はもともと先王の武勇伝に憧れを抱いていた人物で、それゆえに騎士団に入って見事団長にまで登りつめた努力の人。ところがそんな憧れの人物がある日突然、見たこともないやつを連れてきて「こいつを弟子にする」とか言ったからもう大変。「え???なに???おまえうちの英雄の弟子とかいきなりなんなの???」と目の敵にされてしまったので、トリスタンが王宮で働くころは非常に仲が悪い相手でもありました。そんな彼もすったもんだの末、トリスタンとは背中を預けて戦えるほどの仲に。
 また騎士団長は王宮内でも支持されており英雄王の再来だと言われてるほどに実力をつけていた人物でもあったため、水鏡の女王の婿としてふさわしいと皆が認めていたわけです。若干、先王がそうなるように手配していた部分もありますが、結果として国の将来のためとなるならばと水鏡の女王も婚約を受け入れていました。しかし、女王がある日、共和国政策を持ち出したことでその婚約は破棄されることに。
 共和国派には女王が、王国存続派には騎士団長がそれぞれ筆頭になり立場が分たれてしまうこととなります。騎士団長としては英雄王に憧れ、その後を継げるということに期待もしていたので共和国政策には当然、反対でした。ほかにも各国の情勢があやしいところもあったので、いま共和国に移行するのはまずいという情勢を見据えての判断もあり、王宮内部でも彼を支持する人たちが多かったもよう。
 そして彼はトリスタンにどうしてこうなったかの顛末を聞きにきたところ「自分が共和国として成立している国の話をしてしまったから」と言われてしまい、怒りのあまりそこで袂を分つことに。ただ、後々になって頭が冷えたころに「たったそれだけの理由で女王が共和国政策を持ち出すのだろうか」という疑問が浮かびあがり、数年後に非公式で女王と二人だけで会話をして問いかけたところ、女王の口から王家への恨みつらみなどを吐露されてしまい、そして本心としてトリスタンへの想いも聞かされたところで納得ができ、やがて和解して共和国となることが承認されました。
 その後は共和国所属となった騎士団を率いつつ、国の守りとしてその寿命を全うしております。ちなみに墓場まで女王の本心を持っていったので、口の堅い人物でもありました。

最終的に決まった設定など

 といった感じでトリスタン、水鏡の女王、騎士団長の三人が初期設定からあまり変わらず存在してまして、そこに先王の師匠がある意味で諸悪の根源みたいな立ち位置として追加されることに。そして以下の部分が最終的にトリスタンが旅をしている理由として定まった設定です。

・トリスタンは自分と同じく転生してるはずの水鏡の女王に再会すべく旅をしている。
・再会した際には過去の過ちを詫びたい。
・そこで旅と同時に自らの命も絶つつもりであった。

 読んでわかるとおり、トリスタンは「旅の終わり」を望んでおりそのために延々といるはずのない水鏡の女王を探し求め続けていたわけです。そして、女王はトリスタン伝説を知っているため「赤銀のトリスタン」と名乗り続けていればやがて向こうから反応があるだろうと期待もして、その名を口にしていました。
 とまあ堅い感じで決まってる設定なのですが、本心としては「だれか水鏡のイゾルデやってくれないかな〜〜生まれ変わり設定入れてうちよそしないかな〜」とか考えてまして、今回恋人作る気なんて毛頭なかったんです!信じて下さい!!!ところがフタを開けてみたらなんかうまい具合にイゾルデ伝説をなぞる形で綺麗に物語がおさまっていますね?どうして?なんで?????

服飾品の設定など

 今回はキャラクター本人の設定だけでなく身に纏っていた服飾品などにも細かい設定を散りばめてみました。

・銀の銃、変形して銀の琴へ

 こちらはキャラクターイラストを描いていただいた際、トリスタンの背に掲げる形で描かれていたのを受けて、思いついた設定です。もともと騎士トリスタンはフェイルノートと呼ばれる弓を使っていたと伝えられていたので、飛び道具を使うことでモチーフを取り入れる形に。また、竪琴と一体化したという話もありますので、銃を変形させて琴として使うこともできる仕組みにしました。
 トリスタンがこの銃を手にいれた経緯はロールプレイでも出てきており、争いのない平和な時代ならば銃だってその役目を変えるはずだと考える芸術家のもと、廃棄されていた銃を琴へと変形できるようにして売っていたのをトリスタンが気に入って購入したものでした。
 そのままではただの空砲を撃つことしかできない仕様でしたが、トリスタン本人がもつ水の守護霊による力で音の弾丸を撃ちだすことができます。また、組み替えれば銀の琴として使うこともできるため、ロールプレイではもっぱら場に旋律を提供する際に役立っていました。

・下弦の水鏡

 これはトリスタン本人の視点では、かつて元いた世界で祖父から譲り受けた古びた半分の鏡でしかありませんでした。しかし、元々の持ち主の手へと渡ったこと、そして別世界にて同じタイミングで上弦の水鏡を手に取った女性がいたことで、異界の門を開く標としての機能を発揮しました。その結果、彼の住んでいた街は大洪水に見舞われ姿見からの手を取ることで、異界渡りをしてしまうことに。
 ちなみに水鏡には仕込みがされており、光に反射させると鏡の下に掘られた文字が浮き上がる仕掛けとなっていました。その文字は"たからもの"エピソードとして、こちらを受け取ったユキヒラさんにだけ開示された情報ですが、この彫られていた文字は「トリスタンの世界へと避難させられた前世が彫らせたもの」でした。名前が読めなかったのはあまりにも古い文字であり、王家の人間にだけ伝えられる真名であったから。

・半円の眼鏡

 これ自体になにか謂れがあるわけではなく、トリスタン自身が王宮に勤めていたときや諜報や暗殺などをしていた際に仮面(鼻から上を覆うタイプ)をずっとしていたことに由来して身につけていたものとしました。渡り人かつ異邦人であるため、身元を探られないようにと先王からの助言で身につけはじめたものでしたが、死ぬまでずっと身につけていたせいでもはや付けていないと落ち着かない性分に。逆に眼鏡をしているときは常ににこやかな表情を浮かべており、それがポーズであったことを意味しています。なので眼鏡をとった際の表情こそが、トリスタン本来の顔であったとも。

・紅き髪留め

 これは誰にも渡していない"たからもの"として持っていたものです。本物はとっくの昔に失われており、これは同じ色をした髪留めでしかありませんが、渡り人であった彼が彼であることを辞めて、トリスタンと名乗る際に身につけていたのを外したものです。
 渡り人として来たばかりのころは髪をうしろに縛っていて、この髪留めを付けていました。これは家族から贈られた品であり、それを大切にしていたのですが先王との旅に出て王宮へとその身を捧げる決意をして、トリスタンと名乗るとともに長い髪を切った際に外して捨ててしまいました。しかし、長い年月を生きてきた際、ふと見かけた雑貨店でこれを見かけ、思わず手に取ってしまったことから、誰にも渡さない"たからもの"として存在していました。
 ちなみに、前半はほぼないですが後半、ユキヒラさんと恋仲になったころから宿屋ではこの"たからもの"を使っての共鳴発言をぽつぽつしてたりします。

トリスタンの性格設定

 とまあ色々と細かい設定をあめあられと書いてきましたが、その本人の性格はじゃあいったいぜんたいどうなってんのよって話。まず渡り人であったころの彼は、明るい性格をした優しい人間でした。しかし異界を渡り、文武に優れた先王の弟子となったことで大きく変わっていくこととなります。
 優しくあった性格は各地を旅していくことで、人が1日を生きるだけでどれだけの苦労をしなければいけないのかを思い知らされていくことで荒み、さらには王宮内部における権謀術数のやりとりを聞かされていけば、心のなかには猜疑心が住み着くようになっていきました。そして、元の世界を忘れてこの世界で生きていくしかないと決めたころには、元々の性格はほとんど消え失せてしまい、盲信的に王家へと忠誠を誓う礼儀作法に長けた紳士へと成り代わってしまったのです。
 そのため必要とあれば策略で人を陥れ、計画の邪魔となるようであれば暗殺も行う裏の人間として王家を支え続けていくうちに、その心はどんどん擦り減ってもいました。ただ、水鏡の女王と騎士団長との交流で擦り減った分を補充しながら、国政を裏から支える人間としても暗躍していたわけです。なお、晩年まで彼が裏で行っていたことは水鏡の女王には伝わっておらず、騎士団長だけがそれを知っている形でした。だからこそ、騎士団長とは友として国を支え合う間柄になれたけです。

 なので、笑顔を剥ぎ取ったあとに残るトリスタンの性格は、暗い!の一言。この辺、ユキヒラさんとのやりとりでも出てきていたので、暗く弱く臆病なのが本当の性格として存在していました。ただ、それもユキヒラさんとの関わりのなかで解消されていき、最終的には本来の明るい優しい人間へと戻っていくことに。

他者との関わりで生まれた設定

 今回、まさかの恋人関係へと至ったお相手であるEno.130 ユキヒラさん。実は付き合うに至る過程でいろいろな設定があとから追加されていきました。その一つが水の守護霊による水を操る術。あれ、その場で考えた設定でした。水の祝福を受ける条件である「湖・月光・強い意志」もぜーんぶその場で考えたやつ。まさか、あとあとしっかり伏線として活用するとは思ってもなかったの顔。彼女とは関わる機会が一番多かったのもあって、必然的にトリスタンを掘り下げるためにあとから色々な部分が後付けされていくことになりました。
 まず、女性関係に鈍いところ。自身を外して考える生き方をしてきたため、自分が異性として見られることに鈍かったりしました。おかげでボケたつもりもないのに、ボケみたいになってたりして、性格上難しかったギャグをやれたりしました。
 その次は甘い紅茶を好むこと。砂糖は二つ、レモンを入れるのがトリスタン流。なので辛いものは苦手で宿屋での料理でも避けてたりしました。料理にも得手不得手があったりとだいぶん人間臭い設定が積み重なっていたかと思います。そして琴は弾けるものの、絵心は全然ないとか。うん、全然NPCじゃないな、ヨシ!

終わりに

 今回はこれまでの定期更新ゲームへと参加させたキャラクターたちと異なり、最初から設定をがっつりと詰めた形で動かしていたにも関わらず、結構柔軟に動かせていたなと思うところです。なにせ全く初期設定には存在していなかった師匠の存在がいきなり生えてきたものの、うまいこと他の設定と整合性をとっていきながら、最終的にはトリスタンの前に立ちはだかる過去の壁、ラスボス枠になってしまったのですから。
 とはいえ、ここまで上手くトリスタンの設定を活かしつつ物語を描ききれたのは、トリスタンに関わってくれた方々あってのもの。こういうことは毎回書いておりますが、一人のキャラクターだけでは物語は進みませんし終わりも迎えません。そのキャラクター以外の誰かがいてこそ、初めて物語は進み出しエピローグへとその章を回していくものなので、改めてこの場を借りてトリスタンに関わってくださった方々にお礼を申し上げます。なかでも共に物語を駆け抜けてくださったEno.130 ユキヒラさんには篤くお礼を。

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