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【感想】月曜日の抹茶カフェ(青山美智子さん)宝島社

お久しぶりです。窓際のねこです。

前回の投稿から
ずいぶんと時間がたってしまいましたが
皆さんはこの約1年、
どのような時間を過ごされていたでしょうか。
私はのんびりしすぎたということにしておきます(笑)

さて、今回は
「月曜日の抹茶カフェ(青山美智子さん 著)」
の感想です。

1話(睦月)、2話(如月)、、12話(師走)と
12話(12か月)の構成になっています。
今回は印象に残った3つのお話
(第1話・第3話・第10話)について
感想を書いていきたいと思います。

なるべくネタバレは少なくなるよう努めていますが
読まれる際はどうぞご注意ください。
(目次を付けてみましたのでネタバレが嫌な方は
感想の部分だけ読んでみてください。)


『月曜日の抹茶カフェ』
青山 美智子さん 著(宝島社)


第1話 月曜日の抹茶カフェ(睦月・東京)

<あらすじ>

本のタイトルにもなっている第1話。
朝からツイてない1日に憂鬱な気分の美保が
気分を上げるために大好きなマーブル・カフェへと
向かうところから物語が始まります。

美保がお店に向かうと
その日は月曜日のため定休日でした。
しかし今日のマーブル・カフェは
いつもと様子が違います。

なんとマーブル・カフェではなく
「マッチャ・カフェ」でした。

マスターの計らいで、とある老舗茶問屋の若旦那
桔平がマッチャ・カフェを
1日限定で開いていたのです。
抹茶とスマホを通して少しだけ距離が縮まる
美保と桔平。

1日限定のイベントと知り残念に思う美保でしたが
桔平が今度東京に店を出すことを
マスターに教えてもらい
嬉しい気持ちになるのでした。

<感想>

朝からツイてない美保の出来事には思わず私も
こんな日あるある〜!もしかして私のこと!?と
思ってしまうくらいなんだかリアリティーが
ありました(笑)

どこで聞いたかは残念ながら覚えていないのですが
昔、「人生には辛いことと同じ分だけ幸せがある」
みたいな話を聞いたことがあります。

美保もツイてない自分に
憂鬱な気持ちになっていましたが
マッチャ・カフェと桔平さんとの出会いによって
同じ分だけ(それ以上の?)幸せが
訪れたのかもしれません。

抹茶のようにほろ苦い1日だった美保でしたが
桔平さんによって抹茶のように
温かい気持ちになるお話でした。

少し不器用だけど心優しい桔平さんと
ドジだけど純粋で素直な美保さん。
これからの2人がどうなるのか、
ドキドキしながらページをめくっていきます。

第3話 春先のツバメ (弥生・東京)

<あらすじ>

主人公はランジェリーショップ「ピー・バード」を
営む女性。
(ここではピーちゃんと呼ぶことにします。
「木曜日にはココアを」を読んだ方は
ピンとくるかもしれません。)

店を構えてから4年。
どうしたらお客さんを惹きつけることができるか、
飽きられないためには
どんなデザインにしたらいいか、
そんなことを考えながら下着のデザインや
ディスプレイを考えてきました。
その甲斐あってメディアやSNSにも
取り上げられるようになり
常連のお客さんたちも増えてきました。

そんな中、ギターケースを背負った一人の女性が
店を訪れます。
その女性は店のディスプレイに飾っていた
きらびやかなランジェリーではなく
ツバメのスカーフに惹かれて
お店に足を踏み入れたのでした。

実はその女性は
店のオープン初日に来ていたお客さんでした。
彼女はその時に見た
真っ白な下着がほしかったことを
話し出します。

その下着は真っ白で白い羽の刺繍のみという
とてもシンプルなデザインでした。
他のお客さんには
普通すぎと馬鹿にされた下着でしたが、
ピーちゃんにとっては
ものすごくこだわって作った下着でした。

女性の話にピーちゃんははっと気付かされました。

私がこの店を続けてこられたのは、地上で姿を見せたからじゃない。
地下にいるときに気付いてくれた人がいたからだ。
夢中で作り出していたあの商品達を、受け入れてくれる人がいたから。
そして何よりも、私が下着を作ることが大好きだったから。

「月曜日の抹茶カフェ」(青山美智子 著)P.60より

<感想>

ピーちゃんと同じようにはっとさせられた人も
いたんじゃないかと思います。
私もその一人です。

私のやりたかったことって何だっけ?
なんでこれ続けてるんだっけ??

じゃあ今これを続けていられるのは
何のおかげ?誰のおかげ??

毎日の生活で必死になるあまり
大事なことを忘れかけていた気がします。
そうだ、私の好きなことはこれだったんだ。
私が続けてこられたのは
あの人たちのおかげだったんだ。

私は一人でずっとやってきた、
戦ってきたように思うこともあったけど
自分のことを認めてくれて
支えてくれる人もいるよな。
そんなことを振り返るきっかけになるような
お話でした。

第10話 カンガルーが待ってる(神無月・京都)

<あらすじ>

オーストラリア人のマークは
出張で京都へやって来ました。
マーブル・カフェのマスターは
実家が京都にあることもあり
時間を作ってマークに会いに京都へ来ました。

2人はマスターの経営する画廊で会話をしています。
マスターが、マークとマークの妻・アツコとの
なれそめを尋ねました。
そこからこれまでマークとアツコとの出会いに
関わった人たちのことを
マークが振り返りその人たちに感謝します。

さらにさかのぼろうとして、
そこまではさすがに誰だか分からない!
となったところでマスターがこう言います。

「そうなんだよ、分からないだろ? でも確実にいるんだ。
さかのぼっていくと、繋がっている手がどこまでも無数に増えていくんだ。どの手がひとつでも離れていたら、ここにはたどりつけなかった。
どんな出会いも、顔もわからない人たちが脈々とつないできた手と手の先なんだよ」

「月曜日の抹茶カフェ」(青山美智子 著)P.182より

<感想>

私が小学生の時、
理科の授業で受精について習いました。

何億個もある精子の中で、
卵子と受精できるのはたった1個。
何億分の1の確率で受精できたとしても
無事に成長して産まれてくるのは
また何分の1だろうか。

もし受精するときに違う精子と受精していたら、
もしお父さんとお母さんが出会っていなかったら、
もしおじいちゃんとおばあちゃんが
出会っていなかったら、
もしそのまたおじいちゃんとおばあちゃんが
出会っていなかったら、、、

小学生ながらにそんなことを考えて
自分がこの世に産まれてきたことって、
とってもすごいことなんだ!
と感動した覚えがあります。

産まれてからも今まで生きてきた人生の中で
たくさんの人々に出会ってきました。

意外なところで今の友達と昔の友達が
つながっていたりして
驚いたりしたこともあります。
忘れかけていたあの人を
思いがけないところで見かけて
懐かしい気持ちになったこともあります。

一期一会という言葉もありますが
たった一度きりの出会いの中にも
実は見えないだけで
たくさんの人との手が繋がっていたからこそ
その出会いにつながったのかもしれません。

今までの多くの出会いに感謝しつつ
これからの出会いも楽しみにしています。

終わりに

「木曜日にはココアを」に続いて
こちらの「月曜日の抹茶カフェ」も
"出会い"と"縁"を感じる一冊でした。

「月曜日の抹茶カフェ」1冊の中だけでなく
前作の「木曜日にはココアを」にも
つながりを感じられ
物語の世界がぐっと広がりました。

前作から登場する人たちはもちろん
前作からさらにつながる個性豊かな人々が
登場するので
登場人物のメンバーや人の名前を覚えるのが
苦手な私は前作を読み直しました(笑)

でも何度読み直しても
新鮮な気持ちや温かい気持ちになるのは
魅力的な登場人物たちと温かくほっとするような
ストーリーのおかげかもしれません。

初めて読むという方も
前作を読んでいなくても十分楽しめますが
前作を読むとさらに良さを感じることが
できると思います。

もう読んだという人も、
まだ読んでないという人も
ぜひ手に取ってみてください。

長くなってしまいましたが
最後まで読んでいただきありがとうございました!
また気まぐれに記事を書くので
ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いします。


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