鏡よ、壁の鏡よ、最大の脅威は何か?2023年


鏡よ、壁の鏡よ、最大の脅威は何か?

2021年3月、ピュー・リサーチ・センターは、アメリカ人の10人に9人が中華人民共和国を明白な「敵」もしくは戦略的な「競争相手」とみなすようになったことを明らかにした。半数が、「中国のパワーと影響力を制限する」ことが米国の外交政策の主要な目的であるべきだと考えている1。これは、2000年に米国上院の83人が中国に恒久的な最恵国待遇を与えることに票を投じて以来の驚くべき転換である。

しかし、北京が世界貿易機関(WTO)に加盟する道を開くことになる上院の投票当時でさえ、懐疑的な議員たちは、中国を冷戦後の自由主義的国際秩序に迎え入れるにあたって、「信頼はするが検証はしない」とでも呼ぶべき注意事項を主張していた。クリントン政権が中国貿易の開放を推し進めた背景には、2000年の国防権限法の2つの条項があった: ひとつは米中経済安全保障検討委員会(US-China Economic and Security Review Commission)を発足させ、この取引の「国家安全保障上の意味を検討」させるものであり2、もうひとつは国防総省に対し、中国軍の状況に関する年次報告書を発行するよう指示するものであった。その間の20年間、委員会と報告書は、中華人民共和国に対するアメリカの理解がますます気ぜわしく曖昧になっていることを反映しており、特に国防総省の報告書は、台頭しつつある中国の脅威の範囲と性質を図式化し、形成してきた。


新たなコンセンサス

国防総省の最新報告書は、振り子がどれほど大きく揺れ動いたかを示している。同報告書では、北京は米国を単なる「ライバル」大国ではなく、政治信条における「対立するシステムの衝突」と見なしていると結論づけている3。このような強い表現は、ジョー・バイデン大統領からの揺り戻しも示している。バイデン候補はつい最近の2019年の予備選では、2000年の貿易協定に上院で賛成票を投じたことに反映されるような穏健な見方を示し、北京はアメリカにとって「競争相手ではない」と述べていた。「中国がわれわれの昼食を食べようとしている?アイオワ州での選挙戦で、彼はこう宣言した。「つまり、彼らは悪い連中ではない」。

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