増田に渡された課題図書の旅:たそがれたかこ、凪のお暇、メタモルフォーゼの縁側、違国日記 2 くろっく 2020年7月9日 12:37 https://t.co/EEXxJPcabc 約1年前に読んだこの増田。「生きづらい人の生き方漫画」って、男性向けにはないよね、という趣旨。当時読んだときは、この人の言っている事があまりピンと来なかった。ああ、そんなもんかねえ…という感じ。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 ただ、この人が良かったのは、具体的に作品名を挙げて「こういうのの男性版があったら」という話をしていたこと。たそがれたかこ、凪のお暇、メタモルフォーゼの縁側、違国日記。当時の自分は各作品の名前すら聴いたことがなかったので、あ、これは何か違う世界がそこにありそうだな、と。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 それでこの時に決めた。多少時間がかかってもいい、急がなくていいので、ここに書かれた4作品をすべて読んでみよう。と。課題図書的な。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 凪のお暇 凪のお暇(なぎのおいとま)1-3巻。都心勤務の28歳の不器用なOLが頑張って空気読んでたんだけど精神が限界きて会社やめて、都心から離れて無職倹約生活を始める、という話。えげつないけど面白い、でもやっぱりえげつない。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 まず序盤で精神が限界くるところまでが描かれるんだけど早速えげつなくて、「弁当持参なのに付き合いで行ったランチで説教リンチ食らう」「節約が趣味で待機電力節約で喜んでる」「彼氏に好きって言われるさらさらヘアーが毎日頑張ってかけてるストパー」みたいな感じ。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 で、会社辞めて環境変えて心機一転…かと思いきや人はなかなか変われない。せっかく行った図書館で借りてくるのが自己啓発系だったり、空気読むのが嫌で出てきたはずなのに結局空気読もうとしてしまう描写がちょいちょいあったり。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 都心を離れて倹約生活する、無い中で見つける楽しみみたいな描写は結構細かくて、これは楽しい。特に料理が良くて、試してみたいやつがあったのでいくつかメモ取った。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 そんな倹約生活しつつ、すぐには変われなくても、新しい人とのつながりで少しづつ前を向けるようになっていく…って話かと思ったらさあ!隣に住んでる遊び人(セックスが上手い)に惚れちゃってメンがヘラっちゃうんだぜ!すげえよ!— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 元彼と遊び人はともにコミュ強なのだが方向性が違っていて、元彼は空気を読む天才、遊び人は空気を読まずにほんわか人を惹き付けるタイプ。これを見た時、「あ、これは少年漫画でいうバトル要素なんだな」って思った。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 レディコミをちゃんと読むのはたぶん始めてだけど、たぶん恋愛沙汰でゴタゴタするのは鉄板要素で、これを少年漫画のバトルに脳内変換して考えるといろんな事に合点がいくなあと。元彼、弱点を指摘されて修行したり、偶然の出会いで強くなるチャンスを得たりしてるし。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 主人公と元彼はそれぞれ思ったことを適切に伝えられていないという問題があるのだけど、これも「技量」と考えるとなるほどなとなる。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 そんな感じで、救い3:しんどみ7くらいの配分で進む本作、3巻の終わりで主人公のメンがヘラったのでこの先に救いがあるのかはわからんけど、体験としては新鮮味もあり、読む意欲は継続してます。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 14, 2019 凪のお暇4巻。元彼に図星の突っ込み入れられて、自力でボロボロになりながらさして綺麗でもない海を見に行って、現実は厳しく、でも凪の気付きの密度はとても高い。そうして変化した凪がゴンさんにけじめをつけるところでいきなり視点が逆転してゴンさんの話になったのが、良い話のつなぎ方だった。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 21, 2019 凪のお暇5巻。凪がスナックのボーイを。接客を通じて、またしても凪は自分のあり方(今回でいうと「実は他人に興味なかった」とか)に気づいて、少しづつ変えていく。たまたま現れる元彼、店のクソ常連達と比べると圧倒的に「できる」上に、彼らが「そうして回っている」事まで見えてしまう。強い。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) August 5, 2019 違国日記 違国日記1-4巻。35歳の女性(独身でコミュ障で小説家)がコンプレックスの対象である姉の死を切掛にその娘(つまり姪、15歳、素直な性格)と共同生活を始める、という話。他人だしわかりあえないけどそれは共に生きられないということじゃないよね、という、距離感を安直に決めない感じが良い。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) September 8, 2019 その35歳の女性には中学生時代からの友人がいて、曰く「学生時代からの友人が一生モノとは限らず社会人になってからのほうが気の合う友人もできたが、古い友人には替えが効かない」と。自分の最も長続きしている友人は15歳くらいからの付き合いだけど、そう言われるとそうかもしんないなーとか。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) September 8, 2019 あとやっぱり料理がたくさん出てくる(レディコミの特徴なんだろうか)。自分は米とパスタが多い生活だけどパン食はちょっと試してみたくなったな。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) September 8, 2019 そんなわけで早速食パン買ってきてる。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) September 9, 2019 メタモルフォーゼの縁側 メタモルフォーゼの縁側1-3巻。BLにハマったお婆ちゃんとたまたま知り合った女子高生の交流を軸に、周囲の人々まで含めた人生の諸相。穏やかな空気感の中で描写が饒舌なのが良い。お婆ちゃんが紙で予定管理してたりとかお菓子出してきたりとか、作家先生のところへの行き来が新幹線なところとか。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) February 2, 2020 好きな話題の話し相手が見つかった時のあのテンション上がる感じはわかる。人間関係を作中作のBL作品がオーバーラップするのがうまい。それと、二人とも出会いがもたらした変化について描写されてるけど、女子高生の方が「変化が速く描かれてる」のに膝を打った。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) February 2, 2020 外枠の話で、1話12ページというのが話しのサイズを規定していて、小さいお菓子を次々つまんでいけるような読み心地がある。SBRが掲載誌が変わって1話40ページくらいになったときに顕著に感じたのだけど、話数の切れ目はビートなので、1話のサイズで話のノリが大きく規定される感じがする。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) February 2, 2020 たそがれたかこたそがれたかこ、1-10巻(完結)。ぼけ気味の母親と同居、離婚歴と中3不登校の娘あり、という重めの人生を歩んでいる40代中盤の女性(人にものをはっきり言えない)が、人と出会い、音楽と出会い、未だ広がる暗闇の中に光明を見出していく。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 7, 2020 まずすげえなと思ったのが、「何かをきっかけに人生がまるっと変わっていく」話じゃないんだよねこれ。あくまで変わるのは主に自分の気持ちで、重くのしかかる現実は本当にゆっくりしか変えられなくて。この重さが作中途切れる事なく描写されるのでまあきつい。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 7, 2020 自分はもうすぐ40代突入、というようなところにいるけど、現実の重さみたいなものが全く他人事でない。今はまだだいぶ気楽な生活ができているけど、親の事とか考えるとそれもいつまでやら。5年後10年後に読んだら今とは刺さり具合が違うかもしれんなあ、とは。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 7, 2020 でも、たかこさんは、好きになった音楽(20代、スリーピースのバンド)を本当に祈るように縋るように聴いていて、それが生きる支えになってる(ここで先述のきつさの描写とのコントラストが効く)。なんかあのようなあり方を見ていると、本当に、人が何かを好きである事を馬鹿にしてはいけないのだな、— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 7, 2020 そこを支えになんとか立てている人がいるのだな、という事について思いを新たにした。自分はたくさんの物に少しづつ、そしてそれらを探索(旅)できる事には支えられているけど、1つ1つに対してはそんなに重くないので、あり方が違うんだよね。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 7, 2020 後半、話の主題(たかこさんの心の多くを占めるもの)に恋愛感情が入ってくるのだけど、興味深い点として、語り口が乱雑というか、きれいにまとまってなくて、いろんな要素が出たり引っ込んだりしていて、そこが逆に生々しい、「作られた物語っぽくなさ」を感じる作りだった。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 7, 2020 最後の展開は(読んでほしいから具体的なことは控えるけど)あれはどうだったんだろうなあ。たかこさん視点ではハッピーエンドだと思うけど、最後まで相手がどう思ってたかはふせられているし、逆からみたらたかこさんの行動がめちゃくちゃ自分勝手でえげつないという見方もできるものだったから。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 7, 2020 だいぶ自分語りが入ったが、まあそういう話がしたくなる作品ということで一つ。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 7, 2020 読んでみてそれから1年。完結している「たそがれたかこ」以外は途中までだけど、4作とも読んだ。で、今、改めて増田を読み返してみる。主語の大きい話としては、相変わらずわからん、という感じ。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 だけど個人としては、気持ちよく解決しない話も、スカッとはしなくても、染み入る事はあって、それも物語の快楽の一種として全然摂取できる、という事に関して、理解が進んだように感じている。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 昔見たテレビドラマそれと、学生の頃に見て強い影響を受けたテレビドラマがあるんだけど、今思い返すと、あれも、「生きづらい人の生き方」だったなあと。気持ちよく何かが解決するわけではない、というところで、今までは日常系アニメとつなげてしか捉えていなかったけど、むしろ「生きづらさ」の軸だなあと。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 https://t.co/yAsAPO8Ozr 1つは「彼女たちの時代」。26歳の女性が3人、まあそんなに世間のすみっこって感じじゃなかったけど。一番生きづらそうだったのは椎名桔平がやってたリーマンだったしな。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 https://t.co/CvGtekbwnl もう1つは「すいか」。これは主人公が34歳女性(信用金庫職員)、あと同じ下宿に年齢バラバラの女性が3人。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 2作とも記事見たらわかるけど視聴率は低いけど評価は高かった。メインストリームではなかったという事なわけだけど、今ならどうなんだろう。凪のお暇のドラマは平均9.9%だったそうだけど、これが今のテレビドラマとしてどうとらえられる数字なのかわからないな。— 旅人くろっく (@ClockWorkStudio) July 9, 2020 ダウンロード copy この記事が参加している募集 #マンガ感想文 19,954件 #マンガ #マンガ感想文 2 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート