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第189週

運命、この文学的なるもの
「運命とは、あえて大きくいうならば、人間の弱さと創造性に基づいた、本質的に文学的な観念なのだ」(本書より)──『存在の耐えられない軽さ』などの小説作品で知られ、長年ノーベル文学賞の有力候補に名を連ねながら惜しくも世を去った作家ミラン・クンデラ(1929–2023)。東と西、政治と文学、歴史と現在、偶然と必然のあいだを揺れ動く人間の運命を見つめ続けた作家の仕事を読み解く本格評論。第4回東京大学而立賞を受賞した博士論文を大幅改稿。

【目次】
序論 運命の星座
第1章 歴史の終わり、運命の終わり──『冗談』におけるメランコリー
第2章 成熟と小説──『生は彼方に』における自己批判
第3章 運命の皮肉、歴史の怪物――『ジャックとその主人』におけるアイロニー
第4章 世界と亡命──『笑いと忘却の書』における語りの視差
第5章 運命の様相──『存在の耐えられない軽さ』における偶然性
第6章 身振りと根拠──『不滅』における悲劇の散文化
第7章 「軽さ」を祝う──『無意味の祝祭』における反出生主義との対峙
結論 スターリンと天使
あとがき
参考文献
索引

須藤輝彦『たまたま、この世界に生まれて──ミラン・クンデラと運命』晶文社


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