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泡、A book 。

私は泡の中にいる。或いは私の”中”が泡にある。
浮かんでいるけど水の中。綺麗な青い水の中。
でもなぜか息が苦しい。なぜか苦しい。
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海と湖って何が違うのだろう。
海と水たまりって何が違うのだろう。
そんなことばかり考えていた。
問うと父はこう答えた

「海はずっと広がっている。世界中の全部の海につながっているんだ。」

湖だってそうじゃないか。私は思った。
川を辿れば湖だって海なのだ。
もっと言えば水たまりも。

私の屁理屈を人は嫌った。
屁理屈ってのは奴らの言い分で、私からすれば明確な理由で、根拠だ。
そんなことを言う私自身のこともどうやら人は嫌っていたらしい。

次第に私も人を嫌って、いつの間にか世界を嫌った。

「誰も端っこにならないようにと、君は地球を丸くしたんだろう?」

野田とオセロをしたなら私は絶対四隅を押さえるし、プロレスをしたならコーナーポストから雪崩式ブレーンバスターを喰らわして、教室のロッカーとロッカーの間の変なスペースに追い込んでやると誓った。誓って二十歳を迎えた。

大人になった。だからなんなのだろう。
「子供」とは所詮は盾だ。
刑事罰と年金という矢を受け止めるための盾。

盾を失ったなら、逃げれば良い。それしかない。
今まで盾に隠れて見えなかったものまで見えるようになった。明確にだ。

性欲、憎悪、嫉妬、羞悪、傲慢。

私は人を殺すことにした。


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