大晦日のお寿司
大晦日。今日は年越しの食事を整える準備で表参道やら渋谷やらを歩き回り、帰って来て紅白を見ながらささやかな晦日を過ごす予定。
実家は酒の小売りをやっていて、コンビニもディスカウントストアもない時代に年中無休だったから大晦日は大事なかきいれどき。夕方配達が一通り終わるまでばたばたとして、ようやく一区切りできるとレコード大賞から紅白を見ながら過ごす、と言うのが定番だった。大晦日の夕食はいつからかお寿司を取るようになり、お寿司を食べてお風呂に入り、行く年来る年の頃そばを食べる。なんとなくそれが定番になっていた。
家を出て自分が年末年始の食事の誂えをやるようになってわかったのが、その大変さ。いくらお節を自分で作らなくても、何段階もの手順があって、この日このタイミングでこれを出す、というのが身に染みついており、そのための食材をあらかじめ準備しておき、必要に応じて整えて出す。実家の母は店もあって忙しい中よく毎年あれをやっていたものだと思い、だからこその大晦日のお寿司だったのだな、と、今になってよくわかる。
実家の母は「嫁に行ったらよその家の人間だから」と年末年始に帰ることを許さない。許さないというと少し大げさだが、要は相手の実家の方を優先しろと言う。今どき珍しい昔気質の人かもしれない。
いつからか店は元日だけは休むようになった。そのうち一カ月に一回ずつ休みを入れて、その商売も昨年末でとうとうやめ、疲れた身体に鞭打って働く毎日からようやく開放された父母は、どんな年末年始を過ごしているのだろうか。
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