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ジョン・フォード アパッチ砦

町田にミニシアターをつくろうという集まりに参加しています。

その仲間と、ともだち上映会をしようということになって、自分の持っている映画のDVDをまとめました。そしたら、夫がもらってきた未開封のDVDを見つけて、ジョン・フォード見てみたかったのでパソコンで1人映画を楽しみました。

ここから下ネタバレがあります。

ほんとうは「駅馬車」が見たかったのですが、同じジョン・フォードということと、まだ封も切ってない作品だったので、評価欄が書けないなぁと思い、見てみることにしました。

「アパッチ砦」は、西部開拓時代の話なので、最近見た中ではクエンティン・タランティーノの「ヘイトフルエイト」と背景がかぶるなあと思いましたが、「ヘイトフルエイト」の場面のほとんどが、駅馬車の中継地点となっている店を中心にそこに居合わせた数人の関係性が描かれている(しかも冬で雪に埋もれている)のと違い、アパッチ砦の周辺の広大な砂漠の風景、そそり立つ断崖絶壁(ピナクルあり)を持つ岩肌を遠景に走る馬車の様子から始まり、広大なアメリカの砂漠地帯の風景に目を奪われます。

そして、砦から一番近いミーチャムの店の様子が、ちょっと狭いですがヘイトフルエイトに出てくるミニーの紳士服飾店を彷彿とさせます。

アパッチ砦は、電信線が故障することが多く、司令官として派遣されたサースデイ中佐の迎えは現われず、店に居合わせたオローク中尉と中佐の娘フィラデルフィアは、運命的な出会いをします。

とまあ、運命の出会い(娘の父親の反対)あり、アメリカの広大な風景あり、制作年度もいまよりずっと当時に近いわけですから、衣装や背景のディティールが実に違和感なく溶け込んでいます。CGなんて無い時代ですから、すべて政策関係者の力量が問われてくるわけです。

砦の士官たちの集まるダンスパーティの様子は、トルストイが描いたロシア社交界が舞台をアメリカ南西部に移して再現されているかのようで、物資の少ないところにもかかわらず、女性たちは華やかに着飾り、軍服(正装)の男性たちはエレガントに女性をエスコートする。

映画って昔は写真と呼ばれていたんですよね。活動写真。映画の醍醐味は、ストーリーだけでなく、その一瞬一瞬の画面の変化にあると思うのです。そういった意味で、ジョン・フォードの作品が持つ画面の美しさは、ちょっと最近の映画では見られない際だったものなのです。

サースディ中佐の無茶な作戦によって、部隊は壊滅的な打撃を被り、アパッチ族との関係はその後どうなったかは詳しく描かれてはいません。しかし、アパッチ族が待ち構える敵地へ進軍する直前に、オローク中尉は補給隊への後退を命令され、戦死をまのがれます。

そして、闘いの詳細は描かれず、結婚を反対していたサースディ中佐の戦死により、オローク中尉とフィラデルフィアが結婚して子供が生まれて幸せに暮らしていたという場面で終わりを迎えるのです。

ストーリー展開からいえば、心理劇に乏しくも感じられなくはないですが、それを余りある、演技、例えば、新入りの訓練兵のへっぽこぶりや、砂漠を疾走する馬や幌馬車の臨場感、階級差のある人々の描き分けなどなど、見るものを飽きさせない工夫が随所に見られました。

そして、ジョン・ウェインの格好良さときたら。。。

というわけで、アパッチ砦は、私的には、二重丸の作品となりました。

次は、「駅馬車」を手に入れてぜひ見てみたいです。


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