恋愛を書こうとしてみたが

なにか恋がしたいという心の面で悶々としていて、だったら恋愛小説を書けばいいじゃない、そうやって鬱屈を晴らせばいいじゃない、どうせ現実はそんなうまい具合には降ってこないんだし、と思った、思ったまではいいものの、じゃあどのような恋愛小説を書けばいいのかわからない。
どろどろしたもの。
美しいもの。
現実的なもの。
妄想的なもの。
あるいは理想の未来。

どれも書ける氣がしない。
……というか、私は”恋に落ちる”ということを甘く見ているように思う。最近そんな、燃え盛るような恋、自分の身が破滅するような、どう考えても好きになっちゃいけないような相手なのに抗いがたく、恋焦がれる……といった展開について、私は自分に可能性を見ていない。
だっておれが不幸になるところなんて見たくないもの。
こちらを大事にしてくれない男に捕まるのはまっぴらごめん、である。結構勘定高いタイプなのだ、これでも。泥沼に片足突っこんだところで、おかしくなってる自分に飽きる。すぐに頭は冷えてしまう。
だからといって、素敵な男に出会って幸せになりました、めでたしめでたし、では藝がなさすぎる。そんなの、つまんない。見合い結婚ならいいが、恋愛のしどころがない。
じゃあ望むのはなんだ、出会い系での火遊びか、と言われればそれも違う。
私は現実に何を求めているのか。それが、わからない。
……わからない。
例えばどんなストーリーラインなら、自分を代入したくなるか。
安アパートの一室で、クラスメイトを殺してきたきれいな男とセックスする話。
ああ、こういう話、今でも好きだ。人を殺した男を愛す才能が自分にあるかわからないが。ああ、悪くないね。
あとは、会社の同僚が実は自分のことが好きで、セックスしてから付き合うことになり、果ては結婚へ……ってティーンズラブ展開。
う~ん、そもそも会社勤めしてる男が好きじゃない。自営業とか農業とかやってる人が好き。
じゃあフリーで活躍するカメラマン、あるいは美術家の作品のモデルに……って、平成みたいなロマンスだな。好きだけど。そしてやっぱりあるわけない展開でもある。
ああ、思いつかなくなってきたな。
でも、そうだな、私が欲しているのは平成的ロマンスなのかもしれない。セーラームーンのような、あるいは…あるいは、なんだろう。”彼氏彼女の事情”は好きだったな。”フルーツバスケット”は全然ぴんと来なかった。あとはロマンス…と言えばなんだろう、ハーレクイン…を思いついたけど、読んだことなかったな。
ロマンス。
あるいは、運命的。
おれはこの人と出会うために生まれてきたんだ!という類の、間違いようのない直感を、運命を、びびびと体液に喰らわしたい。
そういう欲望。
そうだな、運命だったらなんでもいいや。
とりあえず運命の出会いってやつを書いてみよう。
近くにいたイケメンが、セックスしてみたら実は私のこと好きでした、なんてやっぱ萎えるんだわ。


おこづかいちょーだい!