2020年4月 読書リレー
例のアレで花見もロクにできないまま葉桜を迎え、友達に会えない日々が続き、休みの日をもれなくぼっちで寝て過ごす生活に嫌気がさしてきました。癒しが欲しい。
今までのモーメントはこれ↓
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●宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』2019年、新潮新書
https://www.amazon.co.jp/dp/4106108208/ref=cm_sw_r_em_apa_i_1MrVEbHPKPV2W
書店で見かけて、ずっと気になっていた本。帯(というかもはや、第二のカバー)が秀逸ですよね、人目を引くというか。ずっと面陳されてるのも、そりゃしたくなるよねって思います。
児童精神科医である著者が、医療少年院勤務で関わった非行少年たちを観察・分析し、犯罪に至った原因の一つ「境界知能(知的障害には含まれない、認知力の弱さに苦しむ人々)」の問題を重点的に、非行のメカニズムと解決の糸口を探っていく新書。
生きているとどうしても、「なんでこういうことするの」「なんでこれができないの」などなど、理解できない人に出会うことも多いと思います。それは決してふざけているから、悪人だからというわけではなく、見る力、聞く力などの「外部からの刺激を正しく受け取る(認知する)力」が、先天的だったり生育環境だったりといった問題で弱いから、という場合も多いそうです。物事を正しく判断するのが苦手だから、誤解して怒ったり、理解できない苛立ちをぶつけてしまったりするってことですね。専門的ですが、分かりやすくてへぇ~と面白く読めました。
どうもこういうのを知ってしまうと、どうしてもその行為が理解できなかったり、理不尽なことをぶつけられたりした時に、「この人もこういう理由でこうなのかもしれない」「だから怒っちゃいけない、もっと上手い接し方があるはず」と自分を諫めがちなのですが、そのベクトル自体はよくても、やり過ぎるとこれも認知のゆがみなんだろうなあと思います。自分を責めすぎる人とかは、「こういう理由でこの人はこうなのかもしれないよ、だから割り切って接そうね!」ぐらいの認識で読むのでもいいかも。知識が自己嫌悪の材料になるのはしんどいからね。
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●岡田尊司『愛着障害』2011年、光文社新書
https://www.amazon.co.jp/dp/4334036430/ref=cm_sw_r_tw_apa_i_cOrVEbQSV93B4
新書がわりとするっと読めたので、今なら読めるかなと引っ張り出した本。自己分析にも、対人関係にも参考になるかなと思って買ってたのです。
今までは虐待を受けた子どもなどの問題として扱われてきた「愛着」の問題を、一般的な家庭で育った子ども、さらには大人も抱えているものとして、発達障害や心身症などとの関係にも触れながら解説している新書。
虐待やネグレクトなど、親に愛された実感を得られなかった子どもはもちろんですが、そうでなくてもさまざまな要因で「安全基地(なにか辛いことや困ったことがあった時に頼れる人や場所、もの)」を上手く築けなかった人たちがいます。そういった人たちはそれぞれ傷を抱えており、それによる性質の傾向とその克服策を、数パターンに分けて解説してくれてます。
読みながら「ああ……うん……分かる……」「僕じゃん」「あの子じゃん」と、もう心当たりありまくりでものすごく参考になりました。活用とか、解決は本当に難しいけどね……。
さまざまな人物の実例も多く載っているのですが、夏目漱石、太宰治、中原中也にヘミングウェイなどなど、わりと作家が多いんですよね……なんか、頷けます。本の中でも言及されてるのですが、愛着の傷を埋めるのに、やっぱり創作ってすごく効果的というか、書かずにはいられない、という強い魅力があるんですね。分かります。
一つ前のもそうですけど、専門的な新書は内容説明するとなると、そもそも僕の理解が正しいのか不安になってきますね……間違って要約してたらすみません。気になる人は読んで確かめてください。
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●瀧羽麻子『うさぎパン』2011年、幻冬舎文庫
https://www.amazon.co.jp/dp/434441621X/ref=cm_sw_r_tw_apa_i_EPrVEb2C96DEP
真面目な本が続いたので、息抜きしたいな、でもふざけた内容の気分じゃないな、なんか優しい話が読みたいと引っ張り出した本。ずっと放置してて、たぶん大学の頃に買った本……? 僕より先に、母さんが借りて読んでたりする。
優しい継母と暮らす高校生・優子が、パン屋を営む父親と暮らしている同級生・富田くんと仲良くなり、二人でパン屋巡りをするうちに惹かれていく、あまずっぺー表題作「うさぎパン」。
でもラブストーリー一辺倒ってわけではなく、継母や実母、優子の家庭教師・美和ちゃんとその彼氏などなど、いろんな人のいろんな思いが錯綜する話でおもしろかったです。途中急にファンタジックな展開になったからちょっとびっくりしたけど、短く柔らかい文体なのですごく読みやすい。
文庫版では、美和ちゃんの大学での友達・桐子が主人公の書き下ろし小説「はちみつ」も収録されてます。こちらは、失恋してから大好きだったパンが食べられなくなった桐子が、ひょんなことから研究室の吉田先生(よく分からない)と昼ご飯を一緒に食べることになる話です。僕はこっちの方がより好きでしたね。
この先生がね、いいんですよ。三浦しをん『愛なき世界』の松田先生といい、僕はこういう飄々としつつちょっとおとぼけてる研究者キャラが好きです。
どちらの話もパンが出てくるので、読んで数日はパン屋に行きたい欲がすごかった。僕はゴリゴリのご飯党なのですが、それからちょこちょこ行ってます、パン屋。ミニクロワッサンばっか買ってる。
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●谷川俊太郎訳『マザー・グース1』1981年、講談社文庫
https://www.amazon.co.jp/dp/4061331485/ref=cm_sw_r_tw_apa_i_vQrVEbZM13BMS
まだちょっと軽い本が読みたくて、前から父さんに借りてた本を。これを見つけた時、「父さんこんなん持ってたんや」とちょっと驚いた記憶があります。
マザー・グースは、イギリスやアメリカで歌い継がれてきた伝統的な童謡の総称です。昔から興味があるし読みたいんですが、正直読んでもよく分かんないんですよね。まぁ、元が子どもに向けた歌なので、内容とかではあんまりないんですけども。
本編は短いですし、するーっと読めるんですけど、巻末に原文と簡単な初出等の解説がついてまして……原文の方も、子ども向けだから、まぁ文法的にはすごくシンプルで平易な英文なんですよね。だから谷川さん訳と照らし合わせて、「あ~ここのリズムを再現するためにこういう意訳なんだぁ」とか、いろいろ発見があっておもしろかったです。普段英文に触れないので、くっそ時間かかったけど。なんか、前に「曾根崎心中」を、原文と現代語訳を照らし合わせながら読んだ時のことを思い出しました。
ちなみにこの講談社文庫版、4巻まであります。全部借りてます。……いつ、返せるだろうか。
5月への繰り越し本はありません。読書はちょっとだけお休み。
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