見出し画像

ぼくはみずいろ

神様は強い魂を傍に置きたがる。



これは私が好きな小説の中の言葉。
だから、魂の強いやつほど早く天国に行ってしまう。神様が連れて行ってしまう。そんな内容だった。
残された側のどうしようもないやるせなさを、ほんの少し慰める言葉だと思った。



緊急事態宣言の真っ只中にも、同じことを思い出していた。あの時と同じくらい、穴が空いたような心。


ファンと呼ぶにはおこがましい。遠くから、眺めるように、見ていただけだ。直接会ったこともない。画面の中で、本人から発信されているとされている情報を得て、生きていることを認識していただけ。



それでも、好きだった。
好きだったんだと思う。
人間として、大人として、マイノリティを進むことを決めた姿を見て、心から尊敬していた。

更新されるSNSから、人間を想像して、勇気をもらっていた。こんな人が輝いている世界を想像して、元気をもらっていた。好きなものを好きだと語る姿が強くて。明るく振る舞う姿がたくましくて。美しくて。綺麗で。



今朝、最近のラジオの内容が見出しについた記事が目に入った。見慣れた名前と写真に、いつものように、記事を開いて、2秒。
胸元を氷がすべるような感覚がして、視界が歪んだ。




私は画面の向こう側で、いつも通りの日常を送るのに。靄がかかったようで、体も頭もうまく動かない。



神様は強い魂を傍に置きたがる。
あの人はとても強くて美しい魂を持っていたから。



そうでも思わないと、やってられない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?