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砂沼から言葉歩いてー2016-5

砂沼から言葉歩いてー2016-5

〇何百の川を昇って鯉幟 俊克

植える田を八十八夜のお昼時 俊克

〇水跳ねて乗込鮒は点に為る 俊克

この道を散歩に逢える雉もかな 俊克

鉛筆の書き方習う春心 俊克

〇藤棚の話を止めて香り出す 俊克

仕事して夜の体は春の風邪 俊克

白もいい赤やピンクも躑躅咲く 俊克

〇春風の横切る空を追い越して 俊克

狂ふ蝶低く低くに飛びつづけ 俊克

小魚の水音聞こえ薄霞 俊克

花鳥の水を泳いですいすいと 俊克

春の川あちこち水の田圃引く 俊克

みどりの日自然に感じ俳句かな 俊克

〇面影草数キロ歩き散歩道 俊克

春帽子散策歩き仔犬追う 俊克

みどりの日嵐が吹いて旅行かな 俊克

土砂流れホーム列車や遠霞 俊克

水を跳ね乗込鮒を響きげり 俊克

脅されて蜥蜴そろりと消えるなり 俊克

地の底に染る城跡朧月 俊克

眠りそう子犬の描いて夏日影 俊克

田植時朝から夕の一日か 俊克

海霧の母と犬連れ波見えず 俊克

一羽見て湖畔の苑に黒揚羽 俊克

〇地震ありテレビのニュース夏の空 俊克

Aniko Papp 【地震ありテレビのニュース夏の空】
俊克 このお句の基底部は、【地震ありテレビの
ニュース】です。テレビのニュースによると、地
震が起こったということであり、心配ですね。
干渉部は、【夏の空】であり、
このお句の季語です。夏の空を見ながらテレビの
ニュースを聞いていて、地震が起こったと知らさ
れて、心配ですね。干渉部の「夏の空」と基底部
の「地震」のコントラストは、作者の感じを
効果的に伝っていると思っております。
綺麗な夏の空を見ながらのんびりしている一方、
急にテレビのニュースから地震が起こったと
知らされてしまいます。ですから、心配のあまり、
それほど楽しくのんびりできません。
感じ深いお句です。

亀の子の泳げる沼に甲羅干し 俊克

新緑の聞こえる打球中学校 俊克

腹ペコの筍食べて将棋打つ 俊克

登る坂休むベンチの薄暑かな 俊克

買い物にいつもの歩道薄暑なり 俊克

散策を牛乳飲むや夕薄暑 俊克

下向きに奥ゆかしくて夏桜 俊克

母は酔うコーラ飲み干す夏の星 俊克

〇竜頭の朱色に染まる滝見茶屋 俊克

足立 光隆 ぶせふ選 【一日一句互選】

大久保 俊克[竜頭の朱色に染まる滝見茶屋]
 俊克
ちょっと気になったお句です。竜頭が
先ず「りゅうとう」なのか「りゅうず」なのか。
検索で調べてたら「りゅうずの滝」があった。
とすれば字足らずな句になる。そこを敢えて
「りゅうとう」だけ切り離したお句なのか。
しかし続く中七下五に、朱色に染まる滝見茶屋
と来てとても印象的な句になっている。私には
これが良いのか悪いのか判断出来ないが、
不思議な魅力に思えた。

夏めくやディズニー行ける午前五時 俊克

田の夕のケロケロ鳴いて夏蛙 俊克

庭園の宝鐸の花咲き揃い 俊克

糸の先どんこの釣りに夏の川 俊克

ほんのりと磯の香りが心太 俊克

ちびまる子ちゃんの六時に夏の夕 俊克

可愛いと下唇に踊子草 俊克

舟歌に新緑映る流れるる 俊克

朝早く馬鈴薯の花咲いてをり 俊克

大祭の煙を浴びて神事かな 俊克

〇燕子花紫一色風物詩 俊克

図書館の家に緑雨や窓の本 俊克

〇鈴蘭にドレスの白は可憐なり 俊克

薔薇咲いて花の大きさピンク色 俊克

〇諦めず一歩一歩に蟻の道 俊克

〇薫る風フランスパンとゆで玉子 俊克

〇散歩するあっと忘れて夏帽子 俊克

車道避け歩道歩いて四十雀 俊克

〇ハンカチを右の唇涎拭く 俊克

偽装して根拠に乏し夏館 俊克

午後の葉を草木の休み夏の蝶 俊克

追川魚の流れて消えて川の縁 俊克

〇楽しくで折り紙使う日傘織る 俊克

〇窓開けて庭の雨降り紅い薔薇 俊克

〇優しくて光に淡く夏の月 俊克

植物の色々花やクレマチス 俊克

照れる手にカップル話や南風 俊克

蚊の唸りどきどき聞こえ頭振る 俊克

酢漿の花の願いは庭に居り 俊克

浮かぶ池睡蓮庭に静かなり 俊克

青葉潮帰る漁船が手を振って 俊克

百本をバケツの店に青葉潮 俊克

電話取る明日大漁鰹潮 俊克

二年目の紫蘭の花に咲き誇る 俊克

夏燕家に住みたい離れあり 俊克

夏雀突いて喰らう虫の息 俊克

通勤の花々咲かせ夏日かな 俊克

〇今泣くや綺麗に死んで黒揚羽 俊克 

二羽抱いて廻り速さに斑蝶 俊克

〇楽しいと橋を廻って夏雀 俊克

杉落葉砂沼の神社参拝す 俊克

〇くるくるとジェットコースターねぢればな 俊克

鳳蝶平和を届け世界呼ぶ 俊克

睡蓮の左のレンズもどかしさ 俊克

椎若葉通所を通う週三日 俊克

階段を足元注意桜若葉 俊克

〇葉が映り雨に打たれて蝸牛 俊克

燕の子雨に降り出し瓦屋根 俊克

まだまだと紫陽花の雨降り出して 俊克

夏浅し隠れ狛犬神社かな 俊克

古民家の空の農道除虫菊 俊克

風薫る木々の優しく歩き出す 俊克

おたふくやサブレ牛乳夏の夕 俊克

餌探す低く飛び立つ夏雀 俊克

〇小満や細く狛犬ゆかしかな 俊克

〇箱根空木の花咲きや赤と白 俊克

暗黒の峠の空に夏の星 俊克

竹の子の一緒に掘り足しごっつんこ 俊克

腕組みを筍料理通所かな 俊克

〇おたふくの通所に行けぬ青田道 俊克

〇駒鳥や警告威嚇遠ざけり 俊克

〇子を育て飛ばすバランス夏雀 俊克

麦の風心を歌に舞い降りる 俊克

風の香や再び走れ南阿蘇 俊克

〇風薫るりんりんロード花の駅 俊克

草花の庭の打水眠りつつ 俊克

早朝の幻想広げ夏の霧 俊克

夏日影眠い珈琲窓開けて 俊克

名を読んで揺れる花咲く薔薇の園 俊克

馬鈴薯の花を育てて咲き誇り 俊克

窓開けて草の名前や夏の庭 俊克

〇優しくて広がる景色雪の下 俊克

水飲みし夜の怠さに短夜かな 俊克

〇暑き夜の窓を開けつつ月明り 俊克

Anikó Papp 

【暑き夜の窓を開けつつ月明り】俊克 

このお句の基底部は、【窓を開けつつ月明り】です。窓を開けてまま夜を過ごしていて、月の光が部屋を明るくしているんですね。写生がよく働き、ロマンチックな感じが伝われている基底部ですね。何故、窓を開けてまま夜を過ぎしているんですか。干渉部は、【暑き夜】であり、このお句の季語です。夏になって、蒸し暑くなり、夜も暑苦しいですね。しかし、窓を開けてまま夜を過ごすと、月の涼しげな光が見えているんですね。「月」は秋の季語ですが、このお句は季重なりでもいいと思っております。干渉部の暑苦しいが伝われているイメージと基底部の涼しげな感じが伝われているイメージのコントラストがあるから。季語もよく働き、「暑き夜」と「月明り」のはっきり矛盾・対立することは珍しいと思っております。

農道を夏の蛙は田んぼかな 俊克

被爆地や歓迎聞かれ時鳥 俊克

〇夕空の低く伸び伸び親燕 俊克

〇いなさ吹く風を避けつつ釣り師けり 俊克

湯上がりの背中の汗に滴りす 俊克

描き方の素材を描く薔薇の人 俊克

草ぶきの水滴落ちる注ぐ滝 俊克

人消えた流れる音に夏の夕 俊克

裏庭の聞こえる声に時鳥 俊克

〇田の上に雨が降り出す走り梅雨 俊克

◎夏雲の乗り込む電車北に向く 俊克

〇月凉しいくつも越えて白い池 俊克

天井のびしょびしょ濡れる夏の宵 俊克

忘れない原爆慰霊碑夏の夕 俊克

惨劇の七十一年夏の空 俊克

〇緑蔭の阿闍梨の橋に散歩道 俊克

風に乗り飛び立つ北に夏の蝶 俊克

筑波山仕事が終わる梅雨の入り 俊克

梅雨の入る言語の言葉傘を差す 俊克

入梅の風に舞い降り北の雨 俊克

下野草源平飾り茶席けり 俊克

蠍座の南の空に星凉し 俊克

可愛いといんげんの花水を撒く 俊克

プチトマト黄の花咲いて緑つむ 俊克

〇夕焼や折り鶴渡す一羽ずつ 俊克

夏木立庭のベンチに一休み 俊克

紫陽花のまだまだ咲かぬ雨の傘 俊克

工場へ沼の散策夏柳 俊克

〇まざまざと畑の力梅雨の蝶 俊克

〇噴水や数回会えて病気逝く 俊克

〇花胡瓜育て通所に壁新聞 俊克

夏霞見えぬ筑波に仰ぎ見る 俊克

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