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砂沼から言葉歩いてー2016-6

砂沼から言葉歩いてー2016-6

図書館の整理整頓さつき咲き 俊克

夏の朝空を眩しく水撒いて 俊克

紫陽花の撒いてる水に朝の空 俊克

葛餅の何やそれやと失語症 俊克

声合わせ昔の歌に薫る風 俊克

〇久し振り朝の挨拶夏帽子 俊克

佳子選

久し振り朝の挨拶夏帽子 俊克

夏帽子と言う季語から小学生の2~3年生を想像しました。毎朝元気に挨拶してくれたあの子が暫らく姿を見せなかった。風邪でも引いたのかと心配していた今朝 元気な挨拶が戻って来ました。ホッとしながら 暖かい気持ちになりました。
良い日になりましたね(⌒▽⌒)

照り焼きのおやじの背中いなだかな 俊克

六月の日光遠く荒れて沼 俊克

蜘蛛の子の糸出し空に飛んで行け 俊克

湖畔みて水面荒れて青葉かな 俊克

店先の梔子の花和ませる 俊克

畦道の夏蝶生きてどこまでも 俊克

〇軽トラの熟れ麦取れて朝の顔 俊克 

〇燕の子木々のスイスイいつまでも 俊克

〇夏雲や疫病払い絵の鍾馗 俊克

木の下に光遮る夏日かな 俊克

〇茨城の花ばら咲いて紫峰かな 俊克

〇川越の小江戸をぶらり胡瓜づけ 俊克

〇追いかけて嬉しく橋に蛍狩り 俊克

〇歳時記や失語本読む昼寝人 俊克

アメ横の西瓜をひとつかぶりつく 俊克

〇畦道の朝の軽トラ一番草 俊克

ケロケロと空が怪しさ雨蛙 俊克

胡瓜咲く花を似合いし小筆けり 俊克

大宝になんちゃもんちゃの相撲取る 俊克

〇水郷の櫓を漕ぐ水路花あやめ 俊克

〇花菖蒲十二橋めぐりサッパ舟 俊克

〇先生が桜桃の実をふたつづつ 俊克
昔の話 先生の実家は山形県 

十河智選

先生が桜桃の実をふたつづつ 俊克

俳句には、突然ある特別の個人的記憶を引き出す
効果があるのかもしれない。学生時代、
東京見物に親が親戚に泊まる条件で友人と
娘二人の旅を許可してくれた。其処の伯母様が
寝る前にくださった高級なお茶菓子をこの句の
「二つづつ」を見て、突然の思い出した。
正に二個ずつ、手にのせてくれ、「味わって
お食べなさい。」と言ったのだ。まだ18の頃であ
る。

先生の実家は山形さくらんぼ 俊克

〇紫陽花や抹茶と和菓子に癒されて 俊克

〇農道の看板描きて夏蜜柑 俊克

〇爪切りを手出し足出し梅雨曇 俊克

木が暗くベンチも暗い梅雨曇 俊克

〇単線の群れに飛び交い雨燕 俊克

改修の物置直す守宮消え 俊克

貯水池の県境分けて旱梅雨 俊克

筑波山天気が悪く雨蛙 俊克

池の前トイレ生きたし井守窓 俊克

十四の時をかけるやラベンダー 俊克

今朝の声窓を開けつつ四十雀 俊克

通所からさつきの庭に咲いてをり 俊克

梅雨晴の図鑑持ち足る浅い沼 俊克

ミュージアム自然楽しく梅雨晴間 俊克

五月晴筑波を見上げ田が揺れる 俊克

リハビリに一度泣きつつ夏の風 俊克

田の飢えに川のため息梅雨曇 俊克

枇杷の実に二階の窓や祖母の家 俊克

転げ落ち桑の実避けて少し怪我 俊克

追いかけて熊が笹の子藪の中 俊克

子の想い噴水空に向かっていく 俊克

生垣の縁をつながる花榊 俊克

初めての京都の買うや鱧の皮 俊克

病棟のリハビリ三種旱雲 俊克

湯の川の薫る滝風サラサラと 俊克

〇日影差す守宮の風に消える壁 俊克

父の日のいつも動入ぬ日曜日 俊克

目が覚めて夏の未明の西の空 俊克

〇暑き日や水をゴクゴク飲み干して 俊克

〇木の陰に蜥蜴走るや森の中 俊克

父の日の刺身切れるや親父顔 俊克

家鼠必死に逃げるや青大将 俊克

ごろごろと昼の天気は梅雨の雷 俊克

落雷の田圃の神社あちこちに 俊克

父の日の家族で出かけ久し振り 俊克

梅雨晴の川を大きく桜川 俊克

風鈴の静かな音に聞き惚れて 俊克

〇筑波嶺の風の香揺れて田圃かな 俊克

五月晴れ畑を愛し田を愛す 俊克

◎朝の葉の雨が消えゆく蝸牛 俊克

鈴の音や揺れる風鈴列車来る 俊克

汗拭きやエスカレーター練習す 俊克

沿線の紫陽花咲いて走り出す 俊克

〇鈴の音のチャグチャグ馬コ引いて行く 俊克

〇空梅雨の川に一杯水路往く 俊克

〇磯浜の海に向かって炎天下 俊克

久慈川の矢祭鮎に舌鼓 俊克

涸梅雨の枯れてる川に枯れ田畑 俊克

照り梅雨や自然を渡り水の橋 俊克

川溜めて水は満タン旱梅雨 俊克

干上がれの穀物駄目に旱雲 俊克

上げ下ろし市場漁港に夏の朝 俊克

切り絵して服を着替える夏衣 俊克

五月晴海に着きたし大洗 俊克

夏星や山の越え足る登りけり 俊克

〇水郡の幟りあゆ焼舌鼓 俊克

〇理髪屋の頭が丸く麦茶飲む 俊克

植物の朝の暑さに水を撒く 俊克 

〇苛立ちをセコイ日本語旱梅雨 俊克

〇変わらずに雨晴れ雲に夏至一日 俊克

〇流用の退職ボーナス夏旱 俊克

北野和良選 

〈流用の退職ボーナス夏旱 俊克〉
         
この句は時事俳句として鑑賞してみたい。
季語の「夏旱」は、『太平洋高気圧に覆われて、
連日雨が降らずに日が照りつけることをいう。
旱魃とも言いい、地面は渇ききって草木は枯れてしまう。農林災害はもちろん、人々の飲料水にも深刻な打撃を与える。』とある。天の無情に為す術もなく、ひたすら慈雨を祈る気持ちの籠った言葉だ。
上五中七は、公金であるべき政治資金を私的に流用し、その発覚によって辞職に追い込まれた人物に、規則はボーナスや退職金を出すという。庶民の感覚では、何でそこまでするのか? と理不尽さを覚え、天の公正はどうなっているのだと嘆くしかない。
新聞の川柳に《どうでなら無給でやると言いなはれ》とあった。
《退職金など要らぬと見栄を切り》といかないものか・・・・・

病棟の庭の芝生に夏雀 俊克

〇嬉しさの土産に地ビールウィンナー 俊克

〇平安の筑波が沼に百合の景 俊克

祖母の手をガラスに入れて氷水 俊克

沼に張る雨が降らない旱空 俊克

暴れ川朝に夕にや梅雨の雷 俊克

〇水無月や細かく描き龍の空 俊克

窓開いて夜は蛍の迷い道 俊克

網窓の夕餉に揃う日曜日 俊克

半世紀青蚊帳眠る電気消す 俊克

〇釣堀の眺め浮き浮き竿出して 俊克

〇考えて開くノートをてんと虫 俊克

佳子選

考えて開くノートをてんと虫 俊克

とても静かな穏やかなほっとする
お句だとまず感じました。
そっとノートを開く仕草とてんとう虫
が羽を広げる様子が重なって
お句がふわりと浮き上がりました(^▽^)
見える様です??

(???)??

右足の水虫触れて感じ無し 俊克

荒南風や心溜息崖崩れ 俊克 

荒はえ崩落田んぼや記録的 俊克

黒南風の観測史上あぜを越え 俊克

新聞の今月写し梅の雨 俊克

鳴きはじめメダルを取るや金蛙 俊克

河畔咲き水の冷たし水芭蕉 俊克

梅雨の熊ダムを泳ぐや水不足 俊克

浜茄子の海の散歩に母と犬 俊克

◎海を釣る夕の仕事はアジフライ 俊克

室木 助樹【一日一句互選】

海を釣る夕の仕事はアジフライ 俊克

個人的な嗜好なのだが、こういう遊び心満載の句は
大好きである。休日に趣味の釣りに出かけたお父さん。
アジが釣れて、持ち帰って家族に料理して振る舞う。
そんな趣味を満喫した一日を楽しく詠んでいる。
お父さん今日は釣れて良かったねという家族の団らんの
温かさが聞こえてきそうな雰囲気である。
また、アジフライという措辞の選択が素敵である、
実際に釣った魚がアジなのだろうけどw私も少々釣りを
嗜むのだが、釣りをしたことがある人なら、鯛や平目と
せずにアジにすることで、比較的釣りやすく、料理も
専門的な技術は必要がなく、趣味で料理をする
釣り人らしさが一層伺える。
この句を拝見して、久しぶりに釣行にでようという
気になった。良い句をありがとうございます。w

〇山雀の声が聞こえる朝散歩 俊克

ニンニクの鰹刺身に半身買う 俊克

◎丼の鯵のたたきや釣りの海 俊克

〇青鷺のちょこと隠れし田んぼかな 俊克

〇水量の梅雨穴降れし暴れ川 俊克

テレビ見て天気予報の井水増す 俊克

◎生き物と百鬼夜行絵巻五月闇 俊克
(ひゃっきやぎょうえまき)

〇甦り旧道抜けて虹の橋 俊克

〇羽化の池流れスローは糸蜻蛉 俊克

ワクワクと食べる料理や船遊び 俊克

蓮の花女人描きや画家の夢 俊克

夏霧の昇る傾斜地棚田けり 俊克

誘われて黄鶲歌声森に棲む 俊克
(キビタキかせい)

〇夏の雉二羽の飛べない雨雫 俊克

御来迎感じる歴史を虚空蔵 俊克

行列に朝餉ハラペコ夏雀 俊克

高原の彼方此方遊ぶ夏の蜂 俊克

足を出しサササと蜘蛛は細い脚 俊克

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