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改善活動を阻むベテラン社員の心理

⚫︎この職場をこうしていきたい…思いは一緒

・ミスも事故も起こしたくない。減らせない。従業員にケガさせたくない。
・ミスも事故は、いつ起きてもおかしくないと感じている。
・仕事は「楽に」「簡単に」できるようにしたい。
・作業ミスや事故がない、明るい職場を作りたい。
・作業品質を満足していただき、信頼される職場にしたい。
・毎日が楽しいと思える。
・職場全員が心身ともに健康である。
従業員全員がその通りだという。
これらを実現できるように教育や改善活動に取り組むのだが…。

⚫︎改善活動に対するベテラン社員の反発

管理監督者が、なりたい姿に近づけようと改善活動を通じて、計画を立て、調査し、改善案をまとめてみた。
さあ、現場のメンバーとの共有の場を設けると順調だった流れが、急に停滞するときがある。
よく耳にすることが…「ベテラン社員の反発」だ。
ベテラン社員の反発に閉口しながら、向き合って何度も会話をするのだが、議論が進まずに活動が停滞し、最終的には、改善内容が大幅に縮小される場合がある。ということだ。
ベテラン社員がそういう行動になることにも理由がある。
その「理由ある行動」を探り、要因を洗い出して、対応していくことが大切です。

⚫︎阻むベテラン社員の心理

心理学で「コンフォートゾーン」というものがあります。
Comfort(快適)とZone「場所・空間」を組み合わせた言菜で、「居心地のよう場所や状態」のことや「自分が安心・安全でいられる領域」のことをいいます。
例えば、ベテラン作業者が、自分の発言ひとつで他人を指示通りに動かしたり、そこにいるだけで尊敬され、承認欲求が満たされるような、すでに今あるものだけで、一切の努力や苦労が必要ない状況です。
「身体的にも精神的にも快適で、自身や周りの状況を完全にコントロールできる状態ということです。
これは決して、悪いことだけではなく、経験や知識により培われた「異常に対する感性」、「安全や品質に対するリスク感性」もここからきている。
これまでに困難な場面を乗り越えて、苦労されてきたからこそコンフォートゾーンにたどり着けたと思います。
しかし、考えていることは…
「今のままで良い。」「今まで良かったのだから、変な風に変えるなよ!」

⚫︎居心地がいいから、工夫をしない

居心地がいいから、コンフォートゾーン内の人とだけ関わります。
物流センター、特に小規模の物流倉庫では狭い領域で限られた固定人員で数年間過ごすことが多く、立ち位置も変わらず、「裸の王様」でいるような状況になります。
そこでは変化を嫌い、「成長を止める」「自己成長しない」ということになります。つまり、より高いスキルを身につけたり、知識を深めることは難しくなります。
いわば、自分が気持ちの良い環境で「現状に甘んじている」といえます。

●ホメオスタシス

人間には、ホメオスタシスという「変化を拒んで同じ状態でいようとする」心理的作用が働きます。
これまでのやり方を変えようとした時に、「変えると悪くなる」「よくはならない」「面倒」「今のままでよい」という不満がホメオスタシスです。
この「不満」がベテラン作業者から強く出てくると、若い管理者は突き崩せずに、作業改善をあきらめてしまう。
または、効果があると考えてる改善提案も今後の運用のリスクを感じて、小さな変化の改善にとどまり、わずかな効果しか得られない。
すると、ホメオスタシスからきた抗議による勝利の達成感から、改善をやってもしょうがないという新たな「自分だけの正論」を手に入れる。
このサイクルが繰り返されると、自発的な改善活動は、ほぼ行われることはない。
改善をやる気はあるけど、改善行動ができない職場が出来上がる。

「ベテラン作業者をコンフォートゾーンから抜け出させる」働きかけについては、別の機会にふれてみようと思います。


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