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物流DXを現場視点で考える

自分の職場、自分の業界で様々な知識や経験を高めていることでしょう。
アパレル業界、飲食業界、小売り業界、製造業界などなど
いろいろな業界があります。

それぞれの業界で工夫していることがあります。
自分が扱っているアイテムの特性を理解し、効率的に、正しく、早く、できるように工夫している事例は多くあります。

他業界の現状と効果

例えばアパレル業界の在庫管理の仕組み。
多くのアイテムを棚卸して、節目節目で在庫の把握をします。
以前は、アイテムごとに色、サイズ別でスペースを広げて仕分けをし、山積みをして多くの人と時間を使っていました。
さらに目視で数を数えて、手書きで棚卸をしていました。
時間のかかる大変な作業だったと思います。
棚卸のために臨時休業している店もあったほどです。

しかし、今ではタグに情報を書き込んで一括で情報を取得できるようになっています。
その技術は、さらに進化させ、一括清算、販売動向の分析から店内のお客様の動線、自動発注、滞留日数、など商品情報をリアルタイムの取得できるようになっています。
商品は、品揃えを充実させつつ、在庫を最小化する。
お客様には、購買層に合わせた陳列をして動線をつくる。
待たせることを最小化し、レジに滞留させない。
購買実績からお客様の動向を探って、仕入れに繋げていく。
さらに関わる人員も効率化して費用を抑えて利益率の向上につなげていく。
在庫管理は、倉庫の数を数えることではなく、経営戦略の大切なデータとしてリアルタイムに状況を知り、全体最適に繋げているのです。
確かに設備投資はありますが、それにまさる費用対効果があれば問題はありません。
顧客要求に応え、品質を高めて、生産性を高め、さらに付加価値を高めていくという取り組みであるといえます。

やりがちなシステム検討

やりがちなシステム検討

システム業界と打ち合わせを通じて実現性を探っていくと、初めは実現可能の期待感を持つことができます。
お互いが新しいアイテムの導入事例に繋げたいニーズが先立ち、良い点が中心の会話が進みます。
次に具体的な内容がから条件的な難しさが見えてきます。
このフェーズでは、双方が大枠の条件下で「実現させたい」という思いから期待感を膨らませて会話がスタートするのですが、条件が具体化するにつれ、障害が顕在化してきます。
状況によっては課題を残す「落とし所」を探し出し、結果的には使い続けられないものが出来上がってしまいます。
取り扱うアイテムの特性を理解し、それにマッチした設備機能の検討は必要になります。
素材によっては電波の通信障害や、乱反射などに正しく情報を取得できないものもあります。
繊維とスチールでは条件も大きく異なり、コストを抑えた導入は難しくなるでしょう。
最初にしっかりとやりたいこと、要求事項や作業内容や取り扱うアイテムの特性を掘り下げておく必要があります。
が、ここをしっかりとやらずに取り組み頓挫するケースは少なくありません。
「部分最適な考えから卒業し、全体最適を考える」ことが大切です。

物流DXは物流現場に導入できるか?

物流DXとは「デジタル技術を活用し、物流のこれまでの在り方を変革すること」です。
物流業界のDXは、他業界、他国と比べて大きく遅れをとっていると思います。
もともとマンパワーに頼ってきた業界で、デジタル技術を導入できる基盤が十分ではありません。ソフト面、ハード面共にです。
他業界のDXが、どんどん進み、物流業界がノロノロと遅れが取り戻せなければ、処理スピードのズレや遅れが全て停滞につながり、業務負荷が高くなる方へ働き、長時間労働につながってしまいます。
ただでさえ、
・少子高齢化に伴う労働力不足
・物流の需要拡大による労働者の負担増
・災害の増加、激甚化による物流ネットワークへの影響
・国際物流の重要性の変化
・トラックドライバーの年間残業制限(ドラーバーリソースの減少)

など多くのマイナス課題の認識が低く、解決に向けて「動き出している感」がないと感じるのは私だけでしょうか?

物流現場にDXは導入できるのか?

「商品に付加価値」がある場合と「作業に付加価値がある」場合では、判断が難しくなるので、物流の現場などには導入が進まないというのがあります。
作業効率はもちろんですが、作業品質がリスクコストにも働くのですが、それを十分、評価しようとしていない。
物流現場などには作業の効率化をし、生産性を高めて、作業品質も向上させることが肝要です。
作業自体の動線や、探す、確認するなどのムダをなくして、新人の教育期間を低減し、配置換えなどの変化点にスムーズに対応し、誤出荷などの作業品質不具合を未然に防ぎ、リスクコストを低減させていくのです。

最先端の物流センターには導入されています。
まさに、見学会が開催されるモデルセンターと呼ばれる物流センターです。
多くのアイテムを最短リードタイムでよって大量出荷していく物流センターには、多くのメリットがあり、対費用効果も期待できると思います。
しかし、今のままでは多くの中小の物流センターには最先端技術を導入していくことは難しいと思います。

物流現場がしなければいけないこと

だからこそ「自分たちを知る」ことが大切です。
取扱う貨物の特性や種類、物量、モノと情報の流れ、作業工程、作業動線、工数、リードタイムなどお客様の要求事項や取り扱う設備やマテハンの能力。等など。
これらを書類上だけではなく、現地現物で現認することで実態がわかってくるにつれ、問題や課題が見えてきます。
日頃の現場巡回では見えてこないものがどんどん見えてくると思います。
これを整理して、改善活動していくのです。
仕事を十分理解していない管理スタッフに任せるのではなく、仕事を理解している現場スタッフが発信していくことは大切なことなのです。

一番怖いことは、この物流センターはずっとこのやり方でやってきているので改善するところはないと思い込んでしまうことです。


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