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〔55〕稽古26

〔55〕稽古26 旺相死囚休の2
 狸が四柱推命学を知ったのはもう五十年も前です。以来十数冊は読んだと思いますが、たいていは人にあげてしまい、目下手元に在る命理書はほとんど武田考元師の著作です。
 武田孝元師と他の命理家との違いは、具体的には「格局論」と「旺相死囚休」にある、と狸は思います。他には「神殺」の無視も武田流です。
 武田孝元師が「旺相死休囚」を尊重するのは、命理学の根本を五行哲学に置くからです。その著『四柱推命学詳義三』において、実に詳しく「生旺墓絶」説の由来・本質・非合理性を論難されるのは、「生旺墓絶」とは、本来土を除く金・水・木・火が一年十二支を順行する際の循環律に過ぎず、命理を判断する重要な決め手ではない、との考えによるものです。
 かるがゆえに、月支はともかく年・月・時の生旺墓絶は命理の判断における意味はほとんどなく、重要なのは「旺相死囚休による五気十干の力量如何、四柱八字の組織如何、生剋制化の如何、干の特性と調候」である、とされております。
 ところが日本の推命家の大半は、生旺墓絶を「十二運」とか「十二運星」と称してすぐさま具体的判断に利用するのです。これは大きな誤りというより、五行哲学の基本を理解せずまた理解しようともしない態度ですから、もはや四柱推命の名に値せぬ土俗的蕃習と言うも過言ではありません。
 白頭狸も初歩の頃は多分にこれに頼ったのは何より簡便で、季節の推移とコラボして実感が湧くからですが、武田流を知るに及んで改めました。
 どうせ簡単にするなら、命理学の理論のごくごく一部を切り取り、「天中殺」とか「大殺界」などと騒いで善男善女をたぶらかす占い屋の方が、罪が軽いかも知れません。
 以下では白頭狸の命式から、その旺相死囚休を具体的に見ていきます。

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