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〔85〕爾應法師の「摩邇説法」ブルゴジン兵諫の真相 6/27加筆

〔85〕爾應法師の「摩邇説法」 ブルゴジン兵諫の真相
 1991(平成3)年のソ連邦の解体に際してウクライナに併合されたドニエプル川の左岸(南東部)地区をウクライナから独立させる意図をもってロシア大統領ウラジミール・プーチンが出兵したのは2022(令和4)年2月であった。あれから一年半を閲したが、その間に当該地区の大部分がロシアの実効支配地となった。
 ロシアのこの行為を「兵力による境界変更」として国際条約違反とするのが西側の世論で、わが日本も政府は素よりマスメディアは悉くこれと軌を一にしているのは国際連合憲章2条に根拠があるらしいが、これに異を唱える
 少数の人たちがおる。
 すなわち馬淵睦夫元ウクライナ大使、幸福実現党の及川幸久などで、この爾應法師もその一派であるが、その主張は、そもそも1991年のソ連亡解体で定めた現状の国境が当該地域の歴史的経緯や各国の地政学的事情から観て公正でなく、合理性を欠くというものである。
 拙の場合は経済が破綻して国力が極度に頽落したソ連に対して、経済力はじめあらゆる国家力でソ連に優位に立ったに西側(NATO)が、旧ソ連領の分割に当って民族の歴史に基づくとの美名のもとに火事場泥棒的根性を発揮したのを眼にしたからである。
 帝政ロシア及びソ連による侵略を畏れた日本が満蒙を緩衝地帯としたのは
一種の被害妄想によるものであるが、西側(NATO)に対して同じような被害者意識を有するロシアが、ウクライナの分割を渋々認めざるを得なかったとき、西側諸国との間に位置するウクライナを緩衝地帯とするため、NATOの東方進出を禁止し、ウクライナ国民になったロシア語話者を虐待しないことを条件にウクライナの分割に合意せざるをえなかった。
 この分割合意も、右の条件もすべて“国際法”ではあるが、ウクライナの新政権は、間もなく領内のロシア語話者を圧迫し、虐待し始めた。
 さて、このような場合にロシアは、いかなる手段によって条約違反を咎めるべきであるか。幾つかあるが、最も基本的なものは「原状回復の要求』ではないのか。
 思わず長々と述べました。あとは今晩に続けます。

 〔85〕の続きです。

 というわけで、プーチンのウクライナ侵入に「原状回復」という大義名分を認める爾應法師は、2014(平成26)年の武力衝突が、東西(すなわちNATOとロシア)の両陣営のいずれもが、傭兵を使って行っていることを聞いていました。双方の傭兵には少なくない数の北朝鮮兵が加わっているとも聞きました。
 今回の特別軍事作戦で、まずウクライナ側で参戦したのがマウリポリを本拠とするアゾフ大隊です。「ネオナチ」とも呼ばれる白人至上主義者たちが主力で、若干の外国兵もいるようですが、戦死しなかった隊員はマウリポリの陥落と共に捕虜になるか逃亡したようです。
 次にロシア側で参戦したのが「ワグネル」という民間軍事会社です。2014年に設立されサンクトペテルブルグに本拠を置いています。ロシアでは民間軍事会社は非合法的存在ですが、プーチンの友人エフゲニー・ブリゴジンが設立したワグネルは「プーチンの私兵」と呼ばれており、ロシアの国家防衛体制におけるその地位はプーチンを支援する超法規的軍事組織と観て良いでしょう。
 ロシア連邦には当然正規軍が存在しますが、これと並んでプーチンの私兵ワグネルが存在し、軍令の統一を欠くことがロシア連邦の軍事体制の欠陥とされています。
 この二元性はプーチン政権の構造から生じたもので、KGB出身で大統領になってもKGBを権力基盤とするプーチンが、官軍と私兵の双方を配下にして、ロシア連邦を統治しているのです。

 戦前の日本で国家統治の真のカナメであったのが内務省です。内務省は警察のほか暴力装置を持たず、陸軍を表に建てて遠隔操作していたのですが、プーチンが建国したロシア連邦はまだその域に至っておらずKGBと連邦軍の二元制ですが、やがて統一されるのは必定で、6月23日に生じた「ワグネルのモスクワ進軍」すなわち「ブリゴジンの反乱」と呼ばれる軍事行動は、その過程で起きるべくして起きたもの、とみるのが爾應法師の私見です。
 それはさて、ワグネルの指揮官ブリゴジンとロシアの国防相ジョイグ及びロシア連邦軍参謀総長グラシモフとは、予てから不仲で知られています。
 官軍の首脳としてのショイグとグラシモフが、指揮命令権の一元的掌握を要求することは当然で、予てから民間非軍事会社を官軍の指揮下に置くことをプーチンに要求してきたことは思い半ばに過ぎるものがあります。

 これを受けたプーチンが「ワグネルの官軍への編入」をブリゴジンに要請したことは確認するまでもありませんが、ブリゴジンも手塩に掛けた手兵を軍務官僚ショイグの支配する官軍に渡したくはありません。ことに手兵の多くは解放囚ですから官軍に入ったら虐待されて当然です。
 それにブリゴジンには「愛国民兵」としての誇りがあります。そもそも民間軍事会社の本質は「半商半兵」ですが、およそいかなる軍事行動も理念を必須とするものです。つまりブリゴジンには見せかけではない「愛国意識」があるのです。そこで折角自分が設立したワグネルの官軍編入については、色々の条件を付けたのです。
 まさにワグネルは新徴組で、ブリゴジンは清河八郎です。プーチンは会津侯松平容保、、とすればショイグ、グラシモㇷは会津藩士か。

 さて、爾應法師は今から朝粥の時間です。その後で続きを語ります。

〔85〕の続きです。爾應法師は、紀州独得の茶粥を生シラスと金山寺味噌で頂きました。
  というわけで、今回のプリゴジンのモスクワ進軍は決して「反乱」などではありません。6月10日、ワグネルに対して発令された「国防省と雇用契約を結ぶべし」との命令を受けたプリゴジンは、契約の内容すなわち雇用条件などを巡って国防省と交渉する必要が生じましたが、彼が考える相手はショイグ国防相でなくプーチンだったのです。
 ロシア国防省は軍務官僚の常として傭兵に厳しい条件を課しますから、プリゴジンはショイグを斥けて直接プーチンを相手の交渉を望みますが、さすがに制度上無理なので、結局、直訴によったものと思われます。

 つまり、プリゴジンは二個師団にも匹敵する大軍を自ら率いてモスクワへ向かい、「プーチンと膝を突き合わせてワグネルの官軍編入条件を定める」という形をプーチンと合意したが、表向きは「兵諫」の形を採ったのです。
 若い人々で「兵諫」の意味と実例を知る者は少ないと思う爾應法師は、説明のためにウィキペデイアを検索した所、浅田次郎がズバリ『兵諫』の題で小説を発表しているようです。
 さいわい書評がありますので、その凡そを下記した爾應法師は同著を発注します。

 二・二六事件と西安事件。1936(昭和11)年に起きた二つのクーデター事件を、つなぐ見えない糸をたぐることによって、歴史の転換点を描いた傑作。命や名誉よりも大切な価値を知る者が真の英雄なのである。(佐藤優氏・作家・元外務省主任分析官)
 日本で二・二六事件が起きた昭和11年。中国の古都西安近郊で、国民政府最高指導者の蒋介石に張学良の軍が叛旗を翻すクーデターが発生。蒋介石の命は絶望視され、日米の記者たちは特ダネを求め、真相に迫ろうとする。
日本では陸軍参謀本部という秘密の匣の中で石原莞爾が情報を操っており、中国では西安事件の軍事法廷で、張学良は首謀者ではない、とする証言がなされた。日本と中国の運命を変えた二つの兵乱にはいかなるつながりがあったのか。
 

「兵諫」とは、要するに主君に諫言をするに武力による脅迫を以てする行為です。西安事件については爾應法師が筆名落合莞爾で書いていますが、真相は一般史書が説くものより、はるかに奥深いもので、結局ハプスブルク家と大東社を知らないものには理解できません。
 西安事変の当事者の呉達閣(呉滌愆)と張学良、周恩来がまさに大東社員ですが、そのあたりを浅田がどう書いたか極めて興味がありますが、批評と感想は読んでからにします。
 この続きは昼飯のあとに。
 〔85〕の最後の部分です。

 先ほどから昼飯を食べながらユーチューブを観ていました。日テレニュースという番組で、東大何とか研究所の小泉悠とつくば大学教授の東野篤子が語っているが、その程度の低さに驚きました。低さの程度は諸子が自身でご覧になって判断してください。
 右松司会者を入れた三人が「これだけの反乱を事前に止められなかったことで、プーチンの統率力の乏しさが露呈した」と、口を揃えていうが、爾應法師からすれば「事前に止める必要なぞなかった」筈である。
 爾應の見解に似るのは日本維新の会の参院議員鈴木宗男の6月26日のブログです。プリゴジン氏について言及し「日本のメディアは、どこからの情報かは知らないが、プーチン政権の弱体化、内部のほころび等、悲観的な見方の報道ぶりだったが、結果は、プーチン政権はびくともしなかった」と国内ニュースを批判しておられます。
 ここ迄は正しいのですが、「今回のプリゴジンの動きにロシア国軍の中からも市民からも同調する動き、理解する声は上がらなかった」と独自の分析を披露したうえで、「今回の出来事で一つはっきりしたのは、『プーチン政権は揺るがない』ことである」と断言されたのは良いが、「わずか一日の茶番劇を大袈裟に扱った西側の報道は正しかったのかどうか、冷静に検証すべきだ」とメディアに釘を指したのは如何なものか、と思います。
 ロシア通を以て任じる鈴木宗男さんも、これがプーチンとピリゴジンが組んで行った八百長芝居と気が付かないのですかねえ。
 爾應が洞察するところでは、ピリゴジンのモスクワ進軍は莫逆の友プーチンと腹を合せて打った大八百長です。そのように見ればすべてが合理的に説明できるのですが、「そんな事あり得ない」というのであれば、ピリゴジンが関ったほとんどの活動が謎に包まれてしまいます。
 テレビやユウチュウブの常連の教授・評論家たちが誰一人としてこの八百長に気が付かないのは、ウクライナ危機を遥かに超えた日本の危機ではないかと思う爾應です。
ここから加筆。
 最前線で戦うワグネルにショイグ国防相とグラシモフ参謀総長が弾薬の供給を惜しんだことで、かなりの部下を失いながら戦果を得られなかったピリゴジンが、自分が彼らを激しく責める動画を公開したのは、プーチンに訴えるためです。ピリゴジンと同じくロシア軍上層部の用兵に満足できないプーチンは、彼らに活を入れるため盟友のピリゴジンと腹を合わせて、モスクワ進軍を謀ったと思われます。
 ショイグ国防相がピリゴジンの条件を呑めばワグネルのロシア陸軍編入が7月1日に行われますから、ショイグにはピリゴジンのモスクワ進軍を阻む動機はありません。 ワグネルのロシア軍編入条件が満たされたことで、兵諫の目的を達成したピリゴジンはその場で姿を消します。
 すべてプーチンとピリゴジンには信頼関係が成立していたからこそできた八百長ですが、さらにベルルーシのルカシエンコ大統領が保証人となって裏打ちしたのです。
  これで大役を果たし終えたピリゴジンは、今後二度とロシアに姿を現さないこともあり得ます。その場合は中央アフリカ共和国の採金業に携わるのではないかと爾應は推察しております。

 それはさて、爾應法師の狸庵は昨日から「夏安居」に入りました。托鉢を控えればおのずから腹が減ります。善男善女よ、願わくば喜捨を賜らんことを!
 それはさて、爾應法師の狸庵は昨日から「夏安居」に入りました。托鉢を控えればおのずから腹が減ります。
 善男善女よ、鷺烏戦争はもうすぐ終わるでしょう。それを予祝して、南光院に幾ばくかの喜捨をなしたまえ。

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