図書館本37冊目『電通マンぼろぼろ日記』福永 耕太郎
久しぶりに ” 汗と涙のドキュメント日記シリーズ ” を借りて来ました。
以前の「お仕事日記シリーズ」は、自分でも経験したことのある仕事や、これから経験するかもしれない仕事、お世話になった、もしくはなるかもしれない仕事など、自分事のように読める内容が多かったと思います。
この『電通マンぼろぼろ日記』は、読んでいて「ぽかーん」としてしまうところだらけでした。
「こういう世界で生きている人達で、広告が作られているんだ…」
「これが世の中というものなんだ…」(飛躍し過ぎか…)
電通、クライアント企業、マスコミの絡み合い、コネ入社、接待、広告など、動く力やお金が大き過ぎて、私にはすべてがテレビドラマのような話です。
特に、Jリーグ開幕後、筆者の思いつきから始まり、クラブチームのユニフォームロゴのスポンサー契約を取り付けるまでの話はとてもスリリングで、スカッとする展開が面白かったです。(単独での綿密な準備、社内外での賭けとも言える体当たりなど、企業モノのドラマのよう)
他にも、力を持った一個人のために(単なる趣味、嗜好のことであったりもする)、こんなに大きなお金が動く世界があるのか、天竜人ですか、これはマンガですか、と思わされるような場面も色々ありました。
それが当たり前の世界なんですね…
筆者は、進学を機に雪深い故郷を離れて上京し、アルバイト先の関係で広告代理店業のダイナミズムに魅了され、就職活動を始めると「あれよあれよというまに電通から内定を得た。」ということです。
そして入社後は電通マンとして、約30年にわたって業界の第一線で奮闘されますが、関連会社へ出向させられたあたりから、あらゆることが良くない方向へ・・・
結局、早期退職され、妻子とも別れ、失意の中で体を壊して入院もされます。
「重症化すれば命にもかかわる」と、死をも意識する中でこの本の執筆を思い立ち、ひたすら原稿を書く生活を送るうちに、生活が整い、人生への意欲が戻ってきたそうです。
本書を書き上げたあと、新しく職探しを始めたということなので、またもう一冊、この方の新しい「お仕事日記」を読める日が来るかも知れませんね。
やはり、「書くこと」で人は救われる可能性があるのだなぁ。
そして、「お酒」には気を付けましょう、ということなのだなぁ。
と、しみじみ思う通勤読書となりました。
あと、CMや広告を見る目が変わりましたね。(用心深くなる…)
「不思議なことに、CMの出来が優れていると商品は売れる。」
「そうでなければ、広告代理店なんて世の中からとっくの昔に消えているのだ。」と書かれていました。
なんやかんやあっても、そうなんですね。
企業の力、大金、そこに個人の思惑等々、不思議な世界をのぞき見させてもらいました。
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