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大学院試験、合格。と科挙

※私事ですが、大学院入学試験に合格しました。嬉しい。大体の内容は以下記事

1.1畳に3日3晩監禁されて試験を受け、カンニングがバレたら内容によっては一族が打首。合格者は時に10万人に2人。歴史上最古、かつ歴史上最難関とも言われる大規模試験・科挙についての逸話である。中国の官僚登用試験である科挙は、貴族の世襲に代わる役人の登用方法として隋代である6世紀に始まった。日本では聖徳太子が「平和大事にしようヤ」と言っていた時代の話である。中国の歴史はなげえ。


1300年に渡り中国の歴代王朝を支えたこの試験は、数々の改革を経て凄まじい難易度へと変化していった。60万字ある「四書五経」を一字一句暗記するのは当たり前、暗記した上でその解釈や応用も問われる。ちなみに文庫小説一冊で10万字くらい。あれを全部漢字にしたのを6冊分暗唱できてようやくスタートラインのトンデモ試験である。

多くの優秀な政治家や役人、軍人を輩出したこの試験も、産業革命を経て自然科学を武器とする欧米に対抗するには役に立たずに1904年にその歴史を終える。その前も、不必要なまでに難化した試験、勉強だけできて実務のできない役人の排出など、現代日本の受験戦争期に似通った課題が表面化していた。とはいえ、貧しい農家の息子も貴族の息子も区別なく受けられる平等な点、各地方に定員を設けることで全土の実情を把握し、地方の格差拡大を防ぐ点などにおいて非常に優れた試験だったと言える。

翻って現在、日本は教育改革が叫ばれ、経験重視やら多方面評価やらの入試形態が激増している。欧米に倣えという形での改革だが、筆記重視の入試と比べ貧富での格差はより大きく出る可能性があり、階層の固定化が進む恐れがある。1400年前、貴族や豪族による役人の世襲を防ぐために平等な入試制度の確立に奔走した隋の役人たち。海外でのボランティア実績を金で買うような現代の入試を見た時、彼らは何を思うのだろう。

-詰め込みは応用のスタートライン-

今日も人生、超カラフル。

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